11月15日、聴覚に障害のある選手のオリンピック、デフリンピックが東京で開幕します。聞こえない世界の頂点へ。

地元アスリートに密着しました。

(菰方里菜選手)
「甘いものが大好きなので、カフェ巡りもするし、ことしはケーキを作りたいなという目標は立てています」

全選手が補聴器を外してプレー “聞こえない世界”の頂点へ テ...の画像はこちら >>

スイーツ大好きな今時女子、三重県鈴鹿市出身の菰方里菜選手。デフテニス界では世界的なプレーヤーです。全豪オープン・デフテニス部門女子シングルスで去年、今年と2連覇、女子ダブルスでも去年準優勝、ことし優勝という成績を残し、今回のデフリンピックでは女子シングルス・ダブルス、混合ダブルスの3部門で金メダルが期待されています。

(菰方里菜選手)
「(デフリンピックでは)全種目でしっかりメダルを取りに行って、自分が活躍できれば、『デフテニス』のことも興味を持ってくれると思う」

全選手が補聴器を外してプレー “聞こえない世界”の頂点へ テニス・菰方里菜選手(23)陸上・坂田翔悟選手(26)11月15日デフリンピック開幕
CBC

デフスポーツは全選手が“補聴器”を外してプレー

趣味でテニスをやっていたお母さんの影響で、6歳からテニスを始めた菰方選手。ことし大学を卒業し、京都の島津製作所のテニス部に所属。社内広報を担当する部署で、しっかり仕事もこなしています。

(職場の上司 望月靖和さん)
「(菰方選手は)のみ込みが早く、非常に明るい。職場が非常にポジティブな雰囲気になっている」

Q.仕事は楽しい?
「楽しいです」

全選手が補聴器を外してプレー “聞こえない世界”の頂点へ テニス・菰方里菜選手(23)陸上・坂田翔悟選手(26)11月15日デフリンピック開幕
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補聴器をつけていれば、会話も普通にできる菰方選手ですが、デフスポーツでは全ての選手が補聴器を外して、聞こえない状態で試合を行います。

一般的には目と音で打球の強さや種類などを判断することができますが、デフテニスは目の情報しか頼るものがありません。

全選手が補聴器を外してプレー “聞こえない世界”の頂点へ テニス・菰方里菜選手(23)陸上・坂田翔悟選手(26)11月15日デフリンピック開幕
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「ジェスチャーや手話でコミュニケーション」

(菰方選手)
「シングルスでは特にコートも広いので、しっかり目で見て判断して、瞬発力をあげるようにしています。ダブルスはペアとしっかりコミュニケーションを取ることが大事になってくる。お互いのジェスチャーとか手話でコミュニケーションを取って、お互いがどういうプレーをしたいのかを伝えるようにしています」

全選手が補聴器を外してプレー “聞こえない世界”の頂点へ テニス・菰方里菜選手(23)陸上・坂田翔悟選手(26)11月15日デフリンピック開幕
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デフリンピックでの活躍を、デフスポーツ界の将来につなげたいと考えています。

(菰方選手)
「デフスポーツ自体まだまだ知っている人が少ないので、障害があったとしても、スポーツができるよということを教えてあげられると思うので、しっかり貢献していきたい」

「リレーの一走はこいつだ~!」

去年7月に行われた、デフ陸上世界選手権 男子4×100mリレー。世界新記録で見事金メダルに輝いた、愛知県刈谷市出身の坂田翔悟選手。

デフリンピックでは、個人男子100mのメダル、そしてリレーでは金メダルを目指します。

(坂田選手)
「個人種目の100mでは決勝に進むこと。リレーでは世界デフ記録を更新し、もう一度金メダルを取ることが目標」

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陸上はスタートの合図がランプ。バトンの受け渡しも声で合図できないため、何度も練習を重ね、タイミングや距離を合わせていきます。坂田選手は第一走者。うまくスタートを切る重要な役目です。

(リレー第四走候補 佐々木琢磨選手)
「(坂田選手は)安定感がある」

(リレー第三走候補 山田真樹選手)
「坂田選手が代表になった時に、こいつだ~(リレーの)一走だ~と。僕らも心おきなく、こいつなら(リレーの)第一走を任せられる」

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(リレー第二走候補 足立祥史選手)
「もう安心してバトンをもらえる…安心感がある」

普段の坂田選手について仲間はこう話します。

(リレー第三走候補 山田真樹選手)
「普段は無口。口数も少ないけど、野球の話になるともう止まらない。元気にハキハキしゃべってくる」

大のドラゴンズファン 沖縄キャンプにも!?

それもそのはず、高校で陸上を始めるまでは野球少年だった坂田選手。今でも大の野球好きで、ドラゴンズファン。自宅の部屋もユニホームなどグッズがずらり。

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バンテリンドームへ何度も応援に行ったり、春の沖縄キャンプにも見学に行っているそうです。金メダルを獲れば、バンテリンドームでの始球式も夢ではないかもしれません。

(坂田選手)
「(始球式で)投げたいです」

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「耳が聞こえない子どもたちに希望や夢を」

そして、デフリンピックを1か月後に控えた10月、坂田選手を激励しようと聾学校の同級生が食事会を開いてくれました。

(同級生)
「リスペクトしています」
「一生自慢できる友達です」

(坂田選手)
「小さい頃から、知っている仲間に『頑張れ』と応援されてうれしい。自分も頑張ろうと思った」

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先週、デフリンピック前最後の代表合宿で最終調整を行った坂田選手。大会で勝つことだけが目標ではないと話しました。

(坂田選手)
「デフリンピックでは、メダルを取ることはもちろん目標だが、競技をやって終わりではなく、耳が聞こえない子どもたちに、自分もデフリンピックに出たいとか、希望や夢を与えられるように盛り上げていきたい」

坂田選手は、2022年に100mでデフリンピックを経験していますが、菰方選手はこれが初のデフリンピック。母国開催となる国際大会で、地元選手のメダル獲得に期待しましょう!

全選手が補聴器を外してプレー “聞こえない世界”の頂点へ テニス・菰方里菜選手(23)陸上・坂田翔悟選手(26)11月15日デフリンピック開幕
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