▼CBCでは新型コロナワクチンの副反応問題などについて、2021年から取材を進めてきました。これまで放送した内容を複数回に分けて振り返ります。

この記事は、2022年に放送したものです。

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厚生労働省が発表している「10万人あたりの新型コロナウイルスの新規陽性者」のデータについて、ワクチンを打った人の一部を「未接種扱い」にしていたことが問題に。

指摘を受けて、厚生労働省はデータを修正し、厚生労働大臣が陳謝するなど波紋が広がっていますが、政府内でも「データ修正」の解釈について食い違いが生じています。いったい何が。

接種日を覚えていないと「打っていない」に分類?

医療機関で感染者が見つかった場合、オンラインで国に詳細なデータを送ることになっています。

その一つが「ワクチンの接種歴」。

「打ったか」「打っていないか」「打ったならいつ打ったのか」を調べることになっていますが、名古屋市のクリニックでは、打った日付については約半分の人が覚えていないと言います。

厚労省のずさんなデータ分類 新型コロナワクチン接種歴不明なら“未接種”にしていた 不可解な修正 食い違う主張【“ワクチン後遺症”を考える シリーズ3】
国に送るワクチンデータ

(細川外科クリニック・細川秀一院長 当時)
「(4月の陽性者30人のうち)15人は打ったと言っているが、いつ打ったかはわからないと」

厚労省のずさんなデータ分類 新型コロナワクチン接種歴不明なら“未接種”にしていた 不可解な修正 食い違う主張【“ワクチン後遺症”を考える シリーズ3】
細川外科クリニック・細川秀一院長

厚労省が感染者のワクチン接種歴を調べる目的は、ワクチンを打っていても感染する、いわゆる「ブレイクスルー感染」がどのくらいあるのかの実態調査です。
 
10万人あたりの新規陽性者数を、ワクチンを打ったか打たないかで分けて公表しています。

4月4日から4月10日までを見てみると「10万人あたりの新規陽性者数」は、ワクチンを打っていない人の方が多くなっています。

厚労省のずさんなデータ分類 新型コロナワクチン接種歴不明なら“未接種”にしていた 不可解な修正 食い違う主張【“ワクチン後遺症”を考える シリーズ3】
修正前のグラフ

ところが、このデータの扱いに根本的な問題があったのです。

厚労省に指摘後…グラフの形に変化

最初にこの問題を指摘した、名古屋大学の小島勢二名誉教授です。

(名古屋大学・小島勢二名誉教授)
「接種したかどうかデータが不十分な場合に関しては、厚労省は未接種者として分類して計算していた」

厚労省のずさんなデータ分類 新型コロナワクチン接種歴不明なら“未接種”にしていた 不可解な修正 食い違う主張【“ワクチン後遺症”を考える シリーズ3】
名古屋大学・小島勢二名誉教授

厚労省はワクチンの接種日が分からない場合、すべてを「未接種」、つまりワクチンを打っていない方に分類していました。これだとワクチンを打たずに感染した人が実態より多くなります。

指摘を受けた厚労省は4月11日の週から、接種日が分からないケースを「接種歴不明」に分類するよう変更しました。

その結果、グラフの形は大きく変わったのです。

ワクチン接種したほうが“感染しやすい”と読み取れるデータも

(名古屋大学・小島勢二名誉教授)
「4月11日からは(未接種者と2回目接種済みでは)感染予防効果が変わらないという話になってしまった。例えば、40代、60代、70代だとワクチンを接種した方が感染が起こりやすいということになった」

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修正前のグラフ

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修正後のグラフ

修正後のグラフでは、ワクチンを打たずに感染した人の数が減って、2回目接種済みの人と同じくらいになっています。

年代によっては、2回目接種済みの人のほうが、未接種の人よりも多くなっています。

そして、この修正によって「接種歴不明」の人の割合が20%近くも増えました。

厚労省のずさんなデータ分類 新型コロナワクチン接種歴不明なら“未接種”にしていた 不可解な修正 食い違う主張【“ワクチン後遺症”を考える シリーズ3】
修正後は接種歴不明者が増加

CBCテレビの取材に対し、厚生労働省は「意図的な分類ではなかった」と答えましたが、結果的にこれまでワクチンの効果を高く印象づけていたことになります。 

官房長官が“火消し”とも思える発言を…

この問題は国会でも取り上げられ、ネットでも拡散されました。
 
(河野太郎・前ワクチン担当大臣 当時)
「厚労省のデータ改ざんですが、ワクチンの登録が間違っていて、反ワクチンの人たちに使われていますけど、データを直したとしてもワクチンの有効性が極めて高いことには何の変わりもありません。反ワクチンのデマを流して、他人に打たせないというのは、極めて問題あることだと思っております」

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CBC

河野太郎・前ワクチン担当大臣が、反ワクチン論者が騒いでいるとTwitter(現X)で批判。

そして、5月30日には官房長官も“火消し”ともとれる発言を。
 
(松野博一官房長官 当時)
「接種日が不明であっても“ワクチン接種歴あり”と届けられた事例については、従来より“接種済み”と扱っており、“接種している”と届け出があった方を“未接種”として取り扱ったものではありません」

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CBC

松野官房長官は、接種済みで接種日がわからない人は従来から「接種済み」に分類していて、ワクチンを打ったのに「未接種扱い」にはしていないと話しました。

接種日がわからない人を「未接種扱い」にはしていない?

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CBC

未接種に入れていたのは、接種そのものが不明な人だと言います。

ただ、分類は、接種済・未接種・接種歴不明の3つ。そもそも「接種そのものが不明な人」は、はじめから接種歴不明に分類されているはずで、官房長官の発言には疑問が残ります。


 
こうした中、河野前大臣は自身の公式ホームページで改めてこう書きました。
 
(河野太郎前ワクチン担当大臣の公式HP)
「厚労省は、未記入の場合、未接種に分類していました。ワクチン接種が進むにつれ、接種歴のある人が未記入の中にどんどん増えていきます。情報の点検とアドバイザリーボードの議論の結果を待ちたいと思います」

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CBC

打った人も未接種に分類していたというこの発言。松野官房長官の発言と食い違いが生じています。

ずさんなデータ分類 厚労大臣が陳謝「率直にお詫びしたい」

一方、後藤厚生労働大臣は6月14日、改めてこの問題について。
 
(後藤茂之厚労大臣 当時)
「資料の解釈に際しての留意点などについて、十分なご説明ができていなかったことについては、国民の皆様に率直にお詫びしたいと思います」

厚労省のずさんなデータ分類 新型コロナワクチン接種歴不明なら“未接種”にしていた 不可解な修正 食い違う主張【“ワクチン後遺症”を考える シリーズ3】
CBC

不適切な分類だったと陳謝したのです。
 
ずさんだった厚労省のワクチンデータ分類。

では、この問題を受け、データの厳密な扱いを始めたのか。現場の医師に改めて聞くと。

(細川外科クリニック・細川秀一院長 当時)
Q.厚労省から要請あった?
「全くそれはないですね。うちの診療所は名古屋の中でも陽性者がたくさんいて検査も治療もする。

一切連絡がない。我々の今のレベルでは厚生労働省が出したデータを一応信じるしかないですね。おかしいよねと思いながらも、信じるしかないのが現状だと思います」

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CBC

CBCテレビ「チャント!」2022年6月放送より

【“ワクチン後遺症を考える” これまでの記事】
■新型コロナワクチン接種後に急死…  検視をしても原因不明 医師が注意呼び掛ける“ある副反応”
■新型コロナワクチンを打っても“未接種扱い”に 厚労省「理由は不明だが意図的なものではない」 突如データ“修正”
■波紋広がる 厚労省のずさんなデータ分類 不可解な修正 食い違う主張

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