先が読めない不確実な時代に、私たちはどこを目指し、どんな組織をつくっていけばいいのか――そのヒントを探る、「星野リゾート」代表・星野佳路さんと、俳優・映像プロデューサーのMEGUMIさんの対談企画の最終回です。女性をエンパワーすることを意識して、作品づくりや場づくりに取り組むMEGUMIさんと、性別や役職にかかわらず活躍できるフラットな組織づくりを進めてきた星野さんに、仲間づくり・チームづくりの哲学をうかがいます。
女性を取り巻く現実をどう捉えるか
MEGUMI:2020年に日本人女性の自己肯定感が世界最下位というニュースに触れ、そこからは自分が関わる仕事は、少しでも女性が元気になるためのものにしていこう、それを仕事の判断基準にしよう、と決めました。自分が作る映画は女性を主人公にし、さまざまなことを乗り越えていく物語にしよう、と。
「女性の苦しさを分かって」と声高に主張するつもりはありませんが、結婚や出産といった人生のフェーズによって生活がジェットコースターのように変わっていく中で、自らの足で立ち、自分を整え、軽やかに世の中をサバイブしていこうよ、と。そんなメッセージを次世代にも発信していきたいという気持ちが強くなりました。
星野佳路(以下、星野):今の日本は、首相も都知事も女性です。上場企業の役員に女性がまだまだ少ないという現状はありますが、世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」の結果と実態には少し差があるな、というのが僕の印象です。
そんなことを考えるようになったのは、ジェンダー平等で世界1位のアイスランドを訪れてからです。ヘリコプターでのスキーにご招待いただき、行ってみたら結構仕事だったのですが、主に水産業の現場に足を運びました。数日間の視察からの印象で、全体像を反映していないのかもしれませんが、職種によって男女が分かれていて、中間管理職の女性は多くないという印象でした。ジェンダー関連の国際データは、その測定の仕方によって必ずしも実態とは一致していないかもしれないと感じました。
マネジメントは完全立候補制。人事の抜擢を待たない
星野:僕は1991年に家業であった温泉旅館を引き継ぎ、最初採用にとても苦労していたので、「男性」「女性」「日本人」「海外からの人」といった、枠組みを意識する余裕なんてありませんでした。明日、部屋を清掃してくれる方をすぐにでも見つけ出さなければいけない。そんな切羽詰まった状況でしたから。そうした中で自然とジェンダーギャップを意識しない組織文化が醸成されていきました。代表的なもので言うと、星野リゾートの場合、マネジメント職は原則立候補制なんです。
MEGUMI:それは素晴らしいですね。
星野:この対談の冒頭で、MEGUMIさんは「仕事を待っている」状態から「自分で自分のキャリアを切り拓く」意識に変わったと仰っていましたが、企業の中でもそうあるべきなんです。待つという受け身の姿勢では、あっという間に自分の旬の時期が過ぎてしまう。人事が自分の評価を見て、抜擢してくれるのをただ待っているのは、スタッフのニーズに応えられない。われわれは、会社の人事の権限を少し弱め、スタッフが自分でキャリアをデザインしていけるようにするためにはどうすればいいだろう、と考えたわけです。
足りないものがあれば、学び直せばいい
星野:少なくとも立候補制にすると、自ら手を挙げることができる。「今の自分ならできる」という思いとともに、プレゼンをしてもらい、それを多くのスタッフで評価する。立候補したスタッフの中からマネジメントポジションに就く人を選んでいくという仕組みにしました。
MEGUMI:自発的に「やりたい」と思っている人たちはここで働き続けようという気持ちになりますから。それが大事ですよね。
星野:立候補してマネジメントのポジションに就いた人の給与は、きちんと上げる仕組みにしないと、立候補者は出てきません。
MEGUMI:「言ったからにはやる」という、人間に備わった感覚もありますよね。
星野:一度マネジメントのポジションに就いてみて、自分に足りないものが分かることもあります。なので、実力が足りないと思ったら一度降りて勉強し、足りない部分を身に付けて再び立候補すればよいのです。
子育てにより多くの時間を費やしたいと思えばマネジメント職から一度降りて、落ち着いてからまた立候補することもできます。一般的な会社でのキャリアは下から上に一方通行で上がっていくものですが、星野リゾートでは上がったり下がったりしながらキャリアパスを描いていくことを特徴にしています。
MEGUMI:今の日本にはどこか「失敗したら終わり」という空気がありますが、星野リゾートにおいては、「うまくいかなくても勉強し直せば、また次がある」と思えるんですね。それは社員の皆さんにとって“光”と言えますね。
星野:給与の面では、マネジメントの立場から降りる場合は一度、給与を下げます。そして、マネジメント職に就き直したら、再び給与を上げる。多くの企業の給与制度では、一度上げると下げにくいということがあり、それが(給与を)出す側を慎重にさせてしまい、価値に見合った給与を出しにくくしています。下げる仕組みがあり、それが組織の中で当たり前になると、貢献度に合った給与に一気に上げやすくなります。
MEGUMI:その仕組みだったら本当にジェンダーが関係ないですよね。仕組みで自然とジェンダーギャップを生み出さない環境になっている、というのが本当に素晴らしいことだと思います。
人は必ずしも人を正しく評価できない
MEGUMI:今日いろいろとお話をしてみて、苦労したり、失敗したりしてみないと分からないことがある、というのは全てに共通するテーマであると感じました。星野さんの組織づくりと私の仲間づくりではスタイルこそ大きく異なりますが、共通するところもありますね。最初から完璧なチーム、完璧な組織を目指すのではなく、失敗したり違和感を感じたりしながら、仲間やチームはできていく。いまの時代はどうしても、うまくいっている人の情報や物語ばかりが目に飛び込んできますが、そうした方々だって、さまざまなプロセスを踏み、いまがあるんですよね。
星野:僕は35年ほど仕事をしてきて、ステージごとに少しずつ考えが変わってきました。最も大きく変わったのは、「なかなか人は人を正しく評価できない」という考えを持つようになったことだと思います。
企業間の商談やパートナーシップでも同じです。実際に一緒に仕事をしてみてようやく、その会社の本当の実力や価値観が見えてくる。なので、「短い時間で相手や企業を正しく評価することはできない」ということは、僕の中に感覚としてあります。では、最終的に何を大切にするか。僕の場合は「気が合うかどうか」、つまり価値観が合うかどうかを重視するようになりました。
MEGUMI:それは本当にそう思います。大きな決断をする時に、そうした感覚が発揮される場面はありますよね。
星野:全く知らない方から突然セールスを受けることがあるのですが、そういう時の「気が合うかどうか」は、スキーをするかどうか(笑)。スキー場で待ち合わせて初めてお会いして、その方と大きな仕事をすることになったこともあります。
MEGUMI:わ、なんと気持ちの良いお考え!
星野:誘っても9割の方が現れないのが現実ですが(笑)、中には雪山にスキー板やスノーボードを持って約束通り現れ、意気投合する方もいます。
MEGUMI:いくら優秀でも気が合わない相手だと、最終決断の時に何かがズレてしまう。感覚的なものって、結構大事だったりするんですよね。
ビジネスから人生のステージまで、たくさん、お話しできて楽しかったです。ありがとうございました。
スペシャル対談 第1弾「転機をチャンスに。磨き込んできたそれぞれのスタイル」、第2弾「地域の本物を見抜き、お客さまを引き寄せる「目利き」であれ」もぜひご覧ください。
[doda人事ジャーナル編集部]

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