アルコーブとは?マンションに設置するメリットや玄関ポーチとの違いも解説
アルコーブとは?マンションに設置するメリットや玄関ポーチとの違いも解説

マンションの物件情報を見ていると「アルコーブ付き」という表記を目にすることがあります。アルコーブとは、玄関前に設けられたくぼみ状のスペースのことで、プライバシーの向上や高級感の演出といった効果が期待できる設備です。

不動産投資を検討する際には、こうした設備が物件の競争力や資産価値にどのような影響を与えるのかを理解しておくことが重要です。本コラムでは、アルコーブの基本的な意味から、投資物件として見た場合のメリット・デメリットまで、わかりやすく解説します。

■アルコーブとは?

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(画像:PIXTA)

アルコーブは、建築空間に奥行きと独立性を生み出す設計手法として、古くから用いられてきました。特にマンションにおけるアルコーブは、共用廊下から各住居の玄関前までの空間のことで、単なる装飾的要素にとどまらず、居住者のプライバシー保護や生活動線の改善といった実用的な機能を果たしています。「アールコープ」や「アルコープ」と表記される場合もあります。

ここでは、アルコーブの基本的な意味と、マンション特有のアルコーブの特徴、そして玄関ポーチとの違いについて解説します。

●アルコーブとマンションアルコーブの違い

アルコーブとは英語のalcoveという単語で「くぼみ」という意味を持ち、建築用語で壁の一部を後退させた空間全般を指します。壁を凹ませることで、空間に独立性や奥行きを生み出す技法として、世界中のさまざまな建築物で採用されてきました。和室の床の間も、広義のアルコーブといえます。

これに対し、マンションアルコーブとは、共用廊下から玄関前にくぼみを作ったスペースを指します。共用廊下の一部を後退させて玄関扉の前に小さな空間を設けることで、居住空間と共用部分との間に緩衝地帯を作り出す技法です。マンションアルコーブは、一般的な建築用語としてのアルコーブを、集合住宅の玄関周りに応用した設計といえるでしょう。

●アルコーブと玄関ポーチの違い

マンションの玄関前スペースには、アルコーブのほかに「玄関ポーチ」と呼ばれる形態もあります。この二つは一見似ていますが、法的な位置づけと使用方法に大きな違いがあります。

例外はあるものの、アルコーブは共用廊下の延長として門扉がなく、玄関ポーチには門扉が設置されることが多い点です。玄関ポーチはベビーカーや自転車などの私物を置けることが多い一方、アルコーブは住人全員の共有スペースとして、個人で自由に物を置いたり装飾したりすることができないケースも多いです。物件によって使用ルールは異なるため、正確に把握するには管理規約などで使用ルールの確認を行う必要があります。

また、アルコーブは共用部分として扱われることが多い一方、玄関ポーチは専用使用権が設定されることが一般的です。ただし、いずれも物件によって取り扱いが異なるため、管理規約での確認が必要です。

不動産投資の観点からは、この違いは入居者の満足度に直結する重要なポイントとなるため、しっかりと区別して取り扱うようにしましょう。

アルコーブとは?マンションに設置するメリットや玄関ポーチとの違いも解説
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■アルコーブのメリット

アルコーブとは?マンションに設置するメリットや玄関ポーチとの違いも解説
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(画像:PIXTA)

アルコーブを設けることにより、居住者の生活の質を向上させ、物件としての競争力を高める様々な効果が期待できます。

ここでは、視覚的効果、プライバシー・動線面での利点、そして不動産投資における資産価値向上の観点から、アルコーブのメリットを詳しく見ていきましょう。

●プライバシーの向上を期待できる

マンションのアルコーブがあると、玄関扉が廊下から奥まった位置になるため、通行人から室内が見えにくくプライバシーが守られます。共用廊下を歩く人からの視線が玄関扉に直接届きにくくなることで、居住者は安心して日常生活を送ることができるようになります。

●生活動線の改善

マンションのアルコーブがあることにより、玄関ドアが共用廊下部分にはみ出さなくなります。玄関扉を開けた状態でも共用廊下を塞がないので、大きな荷物の搬入出時にもスムーズで通行人とぶつかりにくくなります。引越しや家具の搬入、宅配便の受け取りなど、玄関扉を開けた状態で作業する場面もあるため、アルコーブがあればこうした場面でも他の居住者の通行を妨げることなく作業できます。

さらに、門扉がない分、日常の出入りが楽になるため、高齢者や小さな子どもがいる家庭でも安心して使え、動線が快適になるメリットもあります。門扉の開閉という一手間がないことで、両手に荷物を持った状態でもスムーズに出入りでき、日々のストレス軽減にもつながります。

●視覚的な広さ・高級感を演出できる

アルコーブを設けると玄関前にゆとりあるスペースが生まれ、視覚的に玄関周りが広く感じられる効果があります。壁面の凹凸がアクセントとなり、高級感や奥行きのある印象を与えるため、物件全体の付加価値向上につながります。

特にマンションの内見時には、玄関は最初に目にする空間です。こうした見た目の良さは、賃貸物件であれば周辺物件との差別化にも役立ちます。

●物件の差別化・資産価値向上につながる

前述の通りの付加価値は投資の視点でも大きなメリットとなります。不動産投資において、物件の競争力を高める要素は家賃収入の安定性に直結するため、アルコーブにより家賃設定や入居率の向上につながり、アルコーブがない場合と比べて物件価値が高まる可能性があります。

特に都市部の賃貸マンション市場では、同じような条件の物件が多数存在します。

そのなかで「プライバシーが守られる」「高級感がある」といった付加価値は、入居希望者の選択基準として重要な要素となりえます。

また、長期的な資産価値の維持という観点からも、アルコーブは有効な設備といえるでしょう。時代が変わっても「ゆとりある住空間」「プライバシーへの配慮」といった価値は変わりにくいため、将来的な売却時にもプラスの評価要素となる可能性が高くなります。

■アルコーブのデメリット

アルコーブとは?マンションに設置するメリットや玄関ポーチとの違いも解説
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(画像:PIXTA)

アルコーブには多くのメリットがある一方で、導入や管理にあたって留意すべきデメリットもあります。そのため、入居者の使い勝手の制約、オーナーの初期コスト負担、そして管理面での課題について、不動産投資を検討する際には事前に理解しておく必要があります。

ここでは、借主目線と貸主目線の両方から、アルコーブのデメリットを詳しく解説します。

●共用部分のため使用制限がある(借主目線)

物件によって異なりますが、一般的にアルコーブは共用部分として定められています。管理規約によって定められていますが、自由に物を置いたり改造したりすることができないケースも多いです。

特にファミリー世帯では、ベビーカーや子どもの外遊び用具、傘立てなどを玄関前に置きたいという場合でも、管理規約上の制限があれば、これらの私物を置くことは原則として認められません。

●建築・設置コストが増加する(貸主目線)

アルコーブを新規に設置・導入するには壁をくぼませる分だけ設計が複雑化し、施工の手間が増え、工事費用も余分にかかります。

そこまでインパクトは大きくないものの、マンションでは追加費用分が販売価格に転嫁されるため、同じ開発業者の類似物件と比べアルコーブ付き物件は坪単価が高くなる傾向にあります。不動産投資として新築や築浅物件を購入する際には、このコスト増が初期投資額に反映されることを考慮する必要があります。

ただし、前述したようにアルコーブには資産価値向上や差別化が図れるというメリットもあるため、単純にコスト増だけで判断するのではなく、長期的な収益性や物件の競争力を総合的に評価することが大切です。初期投資が若干高くても、安定した入居率や高めの家賃設定が実現できれば、投資回収期間を短縮できる可能性もあります。

●清掃・管理費負担が増加する(貸主目線)

汚れがたまりやすく、共用部分の掃除頻度や管理費用が増える可能性があります。通常の廊下であれば清掃員が直線的に掃除できるところを、アルコーブがあると各住戸の玄関前まで入り込んで清掃する必要があり、作業時間が長くなります。特に外廊下の場合には落ち葉やゴミが風で溜まりやすい構造になるため、定期的な清掃が欠かせません。

こうした管理面の手間やリスクを念頭に置き、導入済み物件の場合は管理体制を事前に確認しておく必要があります。管理規約でアルコーブの使用方法が明確に定められているか、管理組合や管理会社がルールを適切に運用しているかをチェックすることが、投資後のトラブル回避につながります。管理費の水準や清掃の実施状況なども、物件選定時の重要な判断材料となるでしょう。

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(提供:manabu不動産投資)

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