整地とは、建物を建てたり農業や駐車場など特定の用途として利用できるようにしたり、地面を平らに整える「土地の基礎づくり」ともいえる重要な工程です。表面をきれいに整えるだけでなく、その内容や仕上げレベルによって、必要な費用や今後の活用方法、さらには売却のしやすさまで変わってきます。
本コラムでは、整地の基本的な意味から、造成工事・敷均し(しきならし)・更地との違い、整地の種類、メリット、費用相場まで、不動産投資初心者が押さえておくべき整地の知識を詳しく解説します。
■整地とは?|建物を建てる前に行う「土地の基礎づくり」
(画像:PIXTA)整地とは、建物を建てたり、農業や駐車場など特定の用途として利用したりできるように、土地の凹凸や雑草、残置物を除去し、地盤の状態を整えることを指します。整地を行うことで、土地は建築工事や外構工事に適した状態になり、次の工程へスムーズに移行できるようになります。
具体的には、地面の高低差をなくして平らにしたり、石やガラ(建築廃材)を撤去したり、雑草を除去したりする作業が含まれます。整地はあくまで土地の表面を整えることが主な目的であり、地盤そのものを大きく改良するわけではありません。
■整地が必要になるケース(新築・建替え・外構工事など)
整地が必要になる場面は多岐にわたります。代表的な例としては、新築物件を建てる前に更地にすることや、古い建物を解体した後の土地などが挙げられます。解体後の土地には建物の基礎部分や残置物が残っていることが多く、そのままの状態では建築工事を始められません。
また、外構工事の前に駐車場や庭のスペースを整える際にも整地が行われます。さらに、長年放置されていた土地を活用する場合や、農地を宅地に転用する際にも整地が必要です。
賃貸アパート用地や戸建賃貸用地として土地を購入する場合も、整地の程度によって追加費用や工期が変わるため、売買契約前に「どこまで整地されているか」を確認することが重要です。
■整地と造成工事・敷均し・更地との違い
整地と似た用語として、造成工事、敷均し、更地などがあります。これらは混同されやすいものの、それぞれ意味や目的が異なります。ここでは各用語の違いを明確にし、整地がどのような位置づけにあるのかを整理していきましょう。
整地(せいち)・土地の表面をきれいに整える作業のこと(雑草・石・ガラの撤去、転圧、砂利敷きなどが中心)
・小規模工事で、建築や外構工事の準備として行われる
・土地表面の調整が目的
(地盤そのものを強化するわけではない)
・比較的個人で行える小規模な工程が多い造成工事(ぞうせいこうじ)・切土、盛土、地盤改良、擁壁工事などを含む大規模な土地形成工事。整地が含まれることもある
・傾斜地や農地などを「建築できる土地」に変える工程
・地形そのものを変えるため、法規制(盛土規制法・都市計画法)が関わる
・建築可能な地盤と形状をつくることが目的
・業者の判断や地盤調査など、整地よりも工事が専門的敷均し(しきならし)・土や砂利を均一に敷き広げる作業のこと
・整地の一部として行われる工程(整地 ⊃ 敷均し)
・地面のムラをなくすための軽作業で、建築前の仕上げに使われる
・表面を均一にすることが主目的更地(さらち)・建物・工作物が何も建っていない状態を指す用語。工事の有無は関係なく、「状態」を示す言葉
・整地されているとは限らず、雑草・ガラ・地盤不良が残っている場合もある
整地と混同されがちなのが、造成工事です。造成工事とは、切土、盛土、地盤改良、擁壁工事などを含む大規模な土地形成工事のことを指し、傾斜地や農地などを「建築できる土地」に変えるための工程として、地形そのものを変える工事が含まれます。
そのため、盛土規制法や都市計画法などの法規制が関わることも少なくありません。造成工事は専門業者による判断や地盤調査が必要になるなど、整地よりもより専門的な工事といえます。
■整地の種類
整地には目的や用途に応じて複数の方法があり、仕上げの品質によって作業内容や費用が異なります。土地をどのように活用するかによって、適した整地方法を選ぶことが重要です。ここでは代表的な3つの整地方法について解説します。
●粗整地(建物解体後や造成前の初期調整)
粗整地(あらせいち)は、建物を解体したあとのコンクリートや残土、ガラス片、草木など不要なものを取り除き、大まかに地面を平らにする作業になります。もっとも基本となる整地方法で、「粗仕上げ」という場合もあります。
建物を解体した直後や、造成工事の前段階として行われることが多く、重機を使って大きな凹凸をならしたり、不要な廃材を撤去したりします。現状、使い道が決まっていない土地に施されることが多く、細かな仕上げは行わないため、費用は比較的抑えられます。
ただし、粗整地だけでは建築工事を始められないケースが多く、その後に仕上げ整地を行う必要があります。土地の初期状態が悪い場合や、まずは大まかに整えたいという場合に行われる方法です。
●仕上げ整地(建築直前の整地)
仕上げ整地は、建物を建てる前に細かく地盤を整える工程です。粗整地で大まかに整えた土地を、さらに精密に平らにし、建築に適した状態に仕上げます。地面の高さを正確に調整することで、建築精度を高めるとともに、雨水が適切に排水されるよう勾配をつける作業も含まれます。
仕上げ整地の品質は、建物の施工精度や耐久性に影響を与えるため、建築工事を予定している場合には欠かせない工程です。粗整地よりも手間と費用がかかりますが、建築工事をスムーズに進めるために必要な投資といえるでしょう。
●砂利敷き・転圧整地(駐車場や庭用)
砂利敷き・転圧整地は、砂利を敷き、転圧機で固める整地方法です。
この方法は、駐車場や庭など、建物を建てない場所に用いられることが多く、雑草対策や排水性の向上に効果があります。砂利を敷くことで地面がぬかるみにくくなり、車両の通行にも適した状態になります。また、アスファルトやコンクリートの舗装と比較すると費用を抑えられる点もメリットです。
土地を整えつつ、見た目を綺麗にしたい場合や多少の防草効果を期待する人に向けた仕上げ方法です。ただし、砂利は経年で沈んだり散らばったりするため、定期的なメンテナンスが必要になります。
■整地の目的とメリット
整地を行うことで、土地の活用可能性が大きく広がります。不動産投資において整地は、単に地面を平らにするだけでなく、土地の価値を高め、投資効率を向上させる重要な工程です。
ここでは整地がもたらす具体的なメリットを3つの観点から見ていきましょう。
●土地利用の選択肢が広がる
整地された土地は活用の自由度が高まり、さまざまな用途に対応できるようになります。例えば、賃貸アパート、戸建賃貸、駐車場、トランクルームなど、幅広い選択肢の中から投資戦略に合った活用方法を選べます。
また、将来的に用途を変更する際にも、整地済みであれば柔軟に対応しやすくなります。
●土地の売却がしやすくなる
整地された土地は、購入希望者に与える第一印象が良くなり、売却しやすくなる傾向があります。雑草や残置物が取り除かれ、境界もわかりやすい状態であれば、購入後の追加費用や新しい建物の建築にかかる工期を具体的にイメージしやすく、検討が前向きになりやすいからです。
特に古家付き物件を解体して売却する場合、「解体+整地済み」の状態にしておくことで、買主はすぐに建築計画を進められます。その分、価格交渉で有利になり、結果的に希望の価格で、比較的早く売却できる可能性があります。
ただし、整地費用をかけすぎると投資回収が難しくなるため、想定売却価格とのバランスを考えたうえで整地の範囲を決めることが大切です。
●建築工事をスムーズに進められる
整地を済ませておけば、すぐに建築工事に着手できます。
整地が不十分な状態で建築工事を始めると、基礎工事の段階で追加の整地が必要になり、工期の遅れや想定外の費用が発生するリスクがあります。特に賃貸物件を建てる場合、整地未了に伴う工期の遅れは入居開始の遅延につながり、収益機会の損失となります。整地を事前に完了させておくことで、建築業者もスムーズに作業を進められ、全体的な効率が向上します。
自ら土地を運用する場合だけではなく、売却する場合でも、建物を解体して整地を済ませておくことで、買主から喜ばれる要素となり、売却価格を高く設定できる根拠にもなります。
■整地にかかる費用
整地の費用は、仕上げ方法によって大きく異なります。
このように、整地にかかる費用は、粗仕上げで1坪あたり990円~1,980円、コンクリート舗装で16,500円~33,000円と、高耐久・高仕上げになるほど費用は高くなります。同じ「整地」と表現されていても、どの仕上げレベルを指しているのかで総額が大きく変わるため、見積書では内容と単価を必ず確認しましょう。
■費用が高くなる要因(残置物・重機の必要性など)
整地費用は、土地の初期状態によって大きく変動します。費用が高くなる主な要因としては、草木の伐採、ガラや残置物の撤去、地盤の大きな凹凸などが挙げられます。
特に、古い建物を解体した後の土地では、基礎部分のコンクリートや配管などが残っている場合があり、これらを撤去するには追加の費用がかかります。また、重機が入りにくい狭小地や傾斜地では、作業効率が下がるため費用が上昇します。さらに、搬出した残土や廃材の処分費用も追加で発生します。
整地を行わないと活用できない土地の購入や売却を検討する場合には、整地にかかる費用を踏まえて対応を検討する必要があります。購入前に現地を確認し、可能であれば複数の業者から見積もりを取ることで、適正な費用感を把握することをおすすめします。
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