「マンションを売った方がいい」と言われたらどうする?悪質な買取業者の手口と見極め方
「マンションを売った方がいい」と言われたらどうする?悪質な買取業者の手口と見極め方

マンションを所有していると、「所有しているマンションを売却しませんか?」という営業電話や営業訪問が来ることがあります。

特に投資用マンションを所有している場合、「このままだとマンションの資産価値が下がりますよ」「今が売り時です」といった言葉で不安を煽られ、焦って売却を決めてしまうケースもあります。

しかし、こうした営業の中には、相場よりも安く買い取ろうとする悪質な業者が紛れ込んでいることも事実です。不動産市場では、専門知識を持つ業者と一般の所有者との間に情報格差があり、その格差を利用して不当な利益を得ようとする業者が存在します。

本記事では、悪質なマンション買取業者の典型的な手口や特徴、信頼できる業者を見極めるポイント、そして「売ってください」と言われたときの適切な対応方法について解説します。大切な資産を守るために、ぜひ参考にしてください。

■悪質なマンション買取業者には注意しよう

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(画像:PIXTA)

不動産取引では、一般的に不動産会社と物件の所有者との間に情報格差が存在すると言われています。不動産会社は日頃の業務を通じて、市場動向や周辺の取引事例、法律知識や様々な不動産取引からの経験などを豊富に持っている一方で、個人の所有者は一部の限られた情報の中で購入や売却などの投資判断をしているケースも珍しくありません。

マンションの売却にあたっては、そうした特性を認識し、自分自身でも不動産情報サイトなどで取引事例を調べてみたり、不動産会社が提示する売却査定額の査定根拠が妥当かどうかなどを丁寧に確認したりする必要があります。

また、この情報格差を悪用して、個人の所有者に対して賃貸管理会社や金融機関を装って詐欺的なアプローチをする悪質な不動産会社がいるのも事実です。「このままだと空室だらけになる」、「今すぐ売らないと損をする」といったような不安を過度に煽る営業トークで、本来であれば売却する必要がない物件を無理に売却させようとする悪質な営業行為も確認されています。特に、投資用マンションを人に勧められて購入し、その後十分な情報収集をしていない所有者は、こうした不動産会社のターゲットになりやすい傾向があります。

悪質な不動産会社は相場よりも安い価格での売却を迫り、所有者が冷静に判断する時間を与えないよう急かすことが特徴です。大切な資産を守るためには、まずこうした不動産会社の存在を認識し、適切に対処することが重要です。

■悪質なマンション買取業者の典型的な営業トーク

悪質な買取業者は、所有者の不安を煽るような営業トークを駆使します。以下のようなフレーズが出てきたら、特に注意が必要です。

悪質業者の典型的な営業トーク
・このままだと空室だらけになります
・修繕に莫大な費用がかかります
・今すぐ売らないともっと資産価値が下がります
・今日中に決めないとこの価格は出せません
など

「このままだと空室だらけになります」という言葉で、将来の収支が得られない不安を煽り、賃貸需要について根拠のない悲観的な見通しを示します。

「修繕に莫大な費用がかかります」は、建物の老朽化を過度に強調し、今後の維持費用への不安を煽ることになります。

「今すぐ売らないともっと資産価値が下がります」と言うことで価格下落の危機感を煽ったり、「今日中に決めないとこの価格は出せません」と即決を迫ったりするのも典型的な手口です。

これらのトークに共通するのは、所有者に冷静な判断をする時間を与えず、焦りや不安を利用して契約を急がせる点です。こうした営業トークを聞いたときは、その場で決断せず、必ず第三者に相談したり、自分で情報を調べたりする時間を確保しましょう。

また、こうした営業トーク以外にも、最近はさらに手口も巧妙化し、以下のような手口でアプローチしてくる悪質業者も存在します。

  • マンション所有者が当初購入した販売会社や関連の賃貸管理会社、建物管理会社、さらには金融機関を装って連絡してくる。

  • 物件の売却査定をしませんかという話から、高額な違約金を定めた売買契約を早急に締結しようとする。

  • 物件に入居者がいるにもかかわらず、未入居であると偽って接触し所有者の不安を煽る。

  • 複数の会社がグルになり、所有者に二重契約をさせる。

    売却することを止めれば違約金や損害賠償の支払いが生じる場合もある。

こうした営業を受けた場合には、決して焦らずに落ち着いて対応することが何よりも大事です。

■悪質なマンション買取業者の特徴

「マンションを売った方がいい」と言われたらどうする?悪質な買取業者の手口と見極め方
「マンションを売った方がいい」と言われたらどうする?悪質な買取業者の手口と見極め方

(画像:PIXTA)

悪質な買取業者にはいくつかの共通する特徴があります。これらのポイントを知っておくことで、リスクの高い不動産会社を見分けることができます。

●相場に対する説明がなく「今日だけ」「今すぐ署名」を迫る

物件の売却価格について、十分な査定根拠を示さないまま即決を迫る不動産会社には注意が必要です。なぜその価格になるのか、周辺の取引事例と比較してどうなのかといった具体的な説明をせず、「今日だけの特別価格です」「今すぐ決めてください」と契約を急かすような場合です。

このような不動産会社は、所有者が他社と比較検討したり、冷静に相場を調べたりする時間を与えないよう意図的に焦らせています。複数社で比較することで、提示価格が相場より大幅に低いことが判明してしまうためです。

また、断ろうとすると態度が豹変したり、しつこく食い下がったりするケースも見られます。信頼できる不動産会社であれば、査定の根拠を丁寧に説明し、所有者が納得するまで時間をかけることを厭いません。冷静な比較検討を嫌がる不動産会社ほど、なにかしらのリスクがあると考えましょう。

●会社情報が不透明(所在地・固定電話・実績が確認できない)

名刺やホームページが簡素で、会社の実態が見えにくい業者にも注意が必要です。

具体的には、住所がバーチャルオフィスやレンタルオフィスのみで実際のオフィスが存在しない、連絡先が携帯電話番号だけで固定電話がない、過去の取引実績や会社沿革が確認できないといったケースです。

こうした不動産会社は、何か問題が起きたときに連絡が取れなくなるリスクが高く、トラブル時の責任追及が困難になります。会社の所在地が実在するか、固定電話で連絡が取れるか、ホームページに具体的な事業内容や実績が掲載されているかなど、基本的な情報を確認することが最低限の防衛策といえます。

取引相手の実態確認は、不動産取引において非常に重要なプロセスです。情報が不透明な不動産会社との取引は避けるべきでしょう。

●宅建業免許が確認できない

不動産取引を反復継続して行うためには、宅地建物取引業の免許(宅建業免許)が必要です。この免許を持たずに営業している不動産会社や、免許番号の提示を渋る不動産会社は、法令違反に該当するため、警戒すべきです。

名刺や契約書に免許番号が記載されていない、免許の確認を求めても曖昧にされるといった場合は、取引を見送りましょう。悪質な買取業者の中には、過去に悪質なマンション販売を行い、行政処分を受けた経歴があるケースもあります。

また、ローン付けを行う金融機関から取引を拒絶され、個人への直接販売ができなくなった結果、買取業に転じているケースもあります。

さらに、中には宅建業免許を持たずに買取営業をしている違法業者も存在します。こうした営業を受けた場合には、契約を結ぶことは絶対に避け、しつこく連絡を受けた場合には消費生活センターや都道府県の宅建業指導課に相談しましょう。

■信頼できるマンション買取業者を見極めるポイント

悪質業者を避けるだけでなく、信頼できる不動産会社を見極めて選ぶことも重要です。以下のポイントを押さえて、安心して取引できる業者を見極めましょう。また、売却を検討しているものの、どこの不動産会社に相談すればいいかよくわからないという場合には、実際に購入した不動産会社など過去にやり取りをして問題がなかった会社があれば、そこに相談することで一定のリスクは排除できるでしょう。それ以外の会社を検討する場合には、以下の内容を参考にしてみてください。

●宅建業免許番号や行政処分有無を必ず確認する

宅建業免許番号は、国土交通省の「宅建業者等企業情報検索システム」や各都道府県の公式サイトに掲載されている「宅地建物取引業者名簿」で検索することができます。また、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」を活用し、過去に行政処分を受けていないかも確認しましょう。行政処分の履歴がある業者は、過去に法令違反や不適切な取引を行った可能性があります。

免許番号のカッコ内の数字(例:東京都知事(5)第○○号の「5」)は、免許更新回数を示しており、数字が大きいほど長く営業していることを意味します。ただし、更新回数が多いからといって必ずしも優良とは限らないため、他の要素と合わせて総合的に判断することが大切です。

●会社のホームページや営業実態を確認する

信頼できる不動産会社は、ホームページに会社概要、事業内容、過去の取引実績、代表者やスタッフの紹介などの基本的な情報を詳細に掲載しています。実際のオフィス所在地や固定電話番号も明記されており、透明性の高い情報開示を行っているのが特徴です。

取引相手の実態確認は最低限の防衛策といえますので、情報開示に積極的で営業実態が明確な業者を選びましょう。

●口コミを確認する

業者を見極める際の一つの参考情報として、インターネット上の口コミやレビューを確認する方法があります。

ただし、口コミは極端な体験談が集まりやすく、非常に良い評価か非常に悪い評価に偏る傾向があります。また、真偽が混在しており、競合他社による悪意のある書き込みや、業者自身によるステルスマーケティングの可能性も否定できません。

そのため、口コミもあまり鵜呑みにしすぎてはいけませんが、少なくとも一つの情報として確認しておく必要はあります。

●査定の根拠が説明できるか

「なぜこの売却価格なのか」を具体的に説明できる不動産会社は、信頼性が高いといえます。周辺の類似物件の取引事例、現在の市場動向、物件の状態や築年数、立地条件などを踏まえて、論理的に査定額を導き出せる不動産会社を選びましょう。

査定の根拠を尋ねたときに、曖昧な回答しかできなかったり、「とにかくこの価格です」と根拠を示さなかったりする不動産会社は避けるべきです。一方、査定書を作成し、データや資料を提示しながら丁寧に説明してくれる不動産会社であれば、安心して相談できます。

また、複数の査定方法(取引事例比較法、収益還元法など)について説明できるかどうかも、専門性を測る指標になります。

■「不動産を売ってください」と言われたときの注意点

「マンションを売った方がいい」と言われたらどうする?悪質な買取業者の手口と見極め方
「マンションを売った方がいい」と言われたらどうする?悪質な買取業者の手口と見極め方

(画像:PIXTA)

訪問や電話で「所有している不動産を売ってください」と言われても、事前に対応手順を決めておけばリスクを大幅に下げられます。特に投資初心者は、「その場で決めない」ことを徹底しましょう。

●まずは相手を確認する|身元・免許・目的・買主は誰か

営業を受けたら、名刺を受け取り、会社名、担当者名、連絡先を確認しましょう。

そのうえで、相手が誰で、どの立場から、何をしたいのかを整理することから始めます。その場で、宅建業免許番号も必ず聞いておきましょう。

また、「なぜ自分の物件を知っているのか」「買主は誰なのか(自社買取か、別の顧客がいるのか)」「どのような目的で買い取りたいのか」といった点も確認が必要です。これらの情報を整理することで、相手の意図や信頼性をある程度判断できます。

そのほかにも、会社のホームページで免許番号や所在地を確認し、国土交通省のサイトで免許情報や行政処分歴を調べましょう。

●不動産情報サイトなどで相場価格を確認する

買取業者から提示される価格が妥当かどうかを判断するには、まず取引価格の相場を知る必要があります。相場を知らずに価格交渉に臨むと、不当に安い価格で売却してしまうリスクがあります。

そのため、楽待や健美家などの不動産投資情報サイト、国土交通省の不動産情報ライブラリ、指定流通機構(REINS・レインズ)のマーケット・インフォメーションなど、複数のサイトで周辺物件の価格を検索し、ある程度の相場感を掴んでおくことが重要です。

なお、これらは過去の取引データであるため、リアルタイムの適正相場を完全に把握できるわけではありません。それでも、大まかな相場を知っておくことで、極端に安い提示価格を見抜くことができます。

ワンルームマンションの売却相場の調べ方や、相場を調べる際の注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法|比較のコツと注意点

●複数社査定と仲介相場も並べて比較する

不動産会社に査定を依頼する際には、一社だけの査定で判断せず、必ず複数の業者に査定を依頼しましょう。

複数社に査定することで、価格のばらつきや相場感がより明確になります。単に査定額だけを見るのではなく、その際に提示される類似取引事例にも目を通すことで、相場観をさらに養うことができます。

また、買取査定額だけでなく、仲介で売却した場合の想定価格や売却期間も並べて比較することが重要です。買取は即金性がありますが、一般的に仲介よりも価格が低くなります。一方、仲介は時間がかかる場合がありますが、より高い価格で売却できる可能性があります。

ただし、ワンルームマンションの場合は、ファミリータイプのマンションなどと比べ取引価格が安価になることから、一般的に不動産業界の中では仲介取引があまり行われず、不動産会社が買い取り、転売するといった取引が主流です。そのため、仲介での売却に対応してくれる不動産会社は、やや限定的かもしれません。

●契約書の要注意ポイント(違約金・特約・手付解除など)

契約を結ぶ際には、契約書の内容を細部まで確認することが不可欠です。特に注意すべきは、違約金の設定、契約解除の条件、物件の引渡し期限、瑕疵担保責任(契約不適合責任)の扱いなどです。

内容に不明点があれば、必ず説明を求め、納得できるまで署名しないことが大切です。もし不利な条項があり、不動産会社が修正に応じない場合は、その契約を見送るようにしましょう。契約書は法的拘束力を持つ重要な書類なので、専門家(弁護士や不動産コンサルタント)に確認してもらうことも検討しましょう。

■最後に:売却戦略の基本を理解して焦らず売却活動をしましょう

マンション売却を成功させるには、焦らず冷静に行動することが何より重要です。以下の基本を押さえて、計画的に売却活動を進めましょう。

まず、相場を把握して自分なりの「最低ライン(これ以下では売らない価格)」を決めておくことが大切です。この最低ラインがあれば、不動産会社から安い価格を提示されても、感情に流されず断る判断ができます。

次に、時間に余裕を持って売却活動を行うことです。「今すぐ売らなければならない」という状況では、不動産会社の言いなりになりやすく、不利な条件を受け入れてしまうリスクが高まります。

最後に、仲介と買取の特徴を理解することです。仲介は時間がかかるものの高く売れる可能性があり、買取は売却価格が低めになる可能性があるが即金性があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の状況に合った方法を選択してください。

大切な資産であるマンションを守るため、悪質業者の手口を知り、信頼できる業者を見極め、焦らず慎重に売却活動を進めていきましょう。

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