ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法|比較のコツと注意点
ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法|比較のコツと注意点

ワンルームマンションを売却する際に、「いくらで売れるのか」を把握することは、適切な売却戦略を立てるうえで欠かせません。しかし、不動産の相場は築年数や立地、利回りなどさまざまな要素が絡み合って決まるため、初めて売却を検討する方にとっては難しく感じられるでしょう。

本記事では、ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法を、基礎知識から具体的な調査手順、注意点まで体系的に解説します。また、投資用ワンルームならではの利回り評価のポイントも含めて、売却前に押さえておくべき情報を詳しく解説します。

■ワンルームマンション売却相場の基本的な決まり方

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(画像:PIXTA)

ワンルームマンションの売却相場は、近隣の成約事例を基準にしつつ、投資家が求める利回り水準や面積あたりの単価レンジなどを組み合わせて決まります。ここでいう単価レンジとは、「このエリア・この条件であれば、1㎡あたりおよそ〇円~〇円で取引されている」という価格帯の幅を指します。

まずは近隣の「成約単価の相場」を把握し、そこに売却予定の物件の築年数・立地・管理状態といった物件固有の条件差を加味して、現実的な価格レンジ(価格の幅)を設定するのが基本的な考え方です。

ここでは、相場を理解するうえで重要な3つの評価方法を解説します。

●取引事例比較法

売却相場を把握する際の基本となるのが、取引事例比較法です。これは、近隣・類似条件の成約(取引)事例を比較して、㎡単価または坪単価のレンジを把握する方法を指します。

具体的には、最寄り駅、築年数、面積、階数などが近い物件の成約価格を参考に、自分の売却予定の物件の相場を推定します。

例えば、同じ駅から徒歩5分圏内で築15年前後、25㎡程度のワンルームマンションが近年で複数件成約している場合、それらの㎡単価の平均値や中央値を算出することで、おおよその相場レンジが見えてきます。

成約事例が多いほど精度が高まるため、できるだけ複数の事例を集めることが重要です。

●利回り評価

年間家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」や、年間家賃収入に管理費・修繕積立金などの諸経費も加味して計算した「実質利回り」の確認も重要です。

投資用ワンルームマンションは、家賃収入に対して価格が高すぎると利回りが低下し、投資対象としての魅力が下がります。そのため買い手がつきにくくなり、結果として利回り水準が物件価格を抑える要因となります。

これらの利回りが周辺相場と整合しているかを確認することで、投資対象としての妥当な価格を判断できます。一般的に、都心部では表面利回り4~5%程度、郊外では5~7%程度が目安とされますが、エリアや物件の個別性によって変動するため、同じエリアの類似物件と比較することが重要です。

利回りの種類や計算方法、ワンルームマンションの利回りの目安については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】ワンルームマンション投資の利回りはどれくらい?目安と注意点を解説

●坪単価・㎡単価の考え方

面積が異なる物件同士を比較する際には、価格そのものではなく「㎡単価または坪単価」に揃えるのが基本です。

例えば、2,000万円で25㎡の物件は㎡単価80万円、2,500万円で35㎡の物件は㎡単価約71万円となり、面積が異なっていても単価ベースで比較することで価格の妥当性が判断しやすくなります。

㎡単価のレンジを把握することで、自分の物件がそのエリアの価格帯のどの位置にあるのかを客観的に理解でき、高すぎる・安すぎるといった判断がしやすくなります。なお、1坪は約3.3㎡なので、坪単価×3.3でおおよその㎡単価に換算できます。

■ワンルームマンションの売却相場の調べ方

ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法|比較のコツと注意点
ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法|比較のコツと注意点

(画像:PIXTA)

売却相場の調査にあたっては、成約価格(実際に売れた価格)と売出価格(いま出ている価格)を分けて調査し、最後に利回り目線で妥当性を確認することで精度が上がります。成約価格は過去の実績、売出価格は現在の市場動向を反映しており、両方を組み合わせることで現実的な相場レンジが見えてくるためです。

ここでは、それぞれの具体的な調べ方を解説します。

●成約事例を調べる

成約事例を調べる際に活用できるのが、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」です。このサイトでは、実際の取引価格情報を検索・ダウンロードでき、成約価格の裏付けに活用できます。同じエリアや近隣エリアでの取引件数が少ない場合には、成約した期間を広げたり、周辺駅まで範囲を広げたりして、傾向を把握するとよいでしょう。

また、指定流通機構(レインズ)のマーケットインフォメーションでも成約価格を検索できます。レインズと聞くと「不動産会社向けのサイト」とイメージする方も多いと思いますが、マーケットインフォメーションは、「実際いくらで不動産が取引されたか」を誰でも検索することができます。

ただし、これらの情報はあくまでも参考値として過去の取引価格を示すものであり、これから売却活動をしたらいくらで売れるかということを必ずしも示すものではないことは、あらかじめ理解しておく必要があります。

●不動産情報サイトで売出価格を調べる

次に、不動産情報サイトで売却予定の物件と似た条件での売出価格を複数件比較し、㎡単価または坪単価でレンジを掴みましょう。

例えば「楽待」や「健美家」には投資用物件が多く掲載されており、「オーナーチェンジ」といわれる賃貸中の販売物件の価格感をつかみやすいのが特徴です。

これらのサイトでは利回り表示がある場合も多いため、利回りが極端に低い場合などは売出価格が高く設定されているケースも多く、そうした物件を複数見ていくことで少しずつ価格の相場観が見えてくるようになります。

また、楽待や健美家以外にも、投資用物件の情報が得られるサイトとして、「不動産連合隊」がありますが、地域ごとに特化した不動産情報サイトとして、地域ごとの取引相場の補完に役立ちます。

サイトごとに掲載事業者や在庫、物件の傾向が異なるため、複数のサイトを併用して比較できる母数を増やすことが大切です。

●投資家視点で利回りを計算する

最後に、家賃収入から逆算して「投資家が買える価格帯」を推定し、成約単価・売出価格とズレがないか確認します。

具体的には、現在の家賃収入をもとに、そのエリアで投資家が期待する利回り水準で割り戻すことで、妥当な物件価格の上限が見えてきます。

例えば、年間家賃収入が120万円で、そのエリアで投資する場合の想定期待利回りが5%の場合、物件価格は2,400万円程度が投資家の一般的な投資判断の基準となります。

特に賃貸中のワンルームは利回り感が合わないと売れにくいため、相場レンジの最終チェックとして有効な方法です。

■相場を調べるときの注意点

ワンルームマンションの売却相場を自分で調べる方法|比較のコツと注意点
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(画像:PIXTA)

相場を調べる際には、表面的な数字だけでなく、その背景にある条件や前提を正しく理解することが重要です。ここでは、相場調査で特に注意すべき5つのポイントを解説します。

●ワンルームマンションの場合は不動産会社の買い取りが多い

ファミリーマンションの場合には、売却する際に仲介取引で個人の買主を探すことが一般的ですが、ワンルームマンションの場合にはファミリーマンションと比べて取引価格も安価となることから不動産会社が買い取り、転売するという取引形態が多いです。

仲介で取引されるケースも近年は増加してきていますが、ワンルームマンションの仲介を取り扱う不動産会社はまだ限定的であり、不動産会社による買い取りを前提とする場合には、仲介で個人の買主へ直接売却をするよりも、売却価格は下がる可能性があります。

●値下げ前提の売出価格に注意する

不動産情報サイトなどを閲覧して相場価格の参考にする場合、掲載されている物件の売出価格は、交渉や値下げを見込んでやや高めに設定されていることがあります。そのため、売出価格をそのまま相場と捉えてしまうと、実際の成約価格とギャップが生じる可能性もあります。

そのため必ず成約価格のデータと突き合わせてレンジを作り、募集価格は「売主の希望額」であり「実際に売れる価格」とは異なる場合があることを念頭に置きましょう。複数の募集価格を見比べる際も、極端に高い物件や長期間売れ残っている物件は参考値として扱い、現実的な成約価格に近い水準を見極めることが大切です。

●「利回り・賃料」をチェックする

賃貸中のワンルームマンションは、家賃と利回りを前提に価格が決まるため、賃料設定が相場とかけ離れていると比較が崩れてしまいます。

例えば、周辺相場より明らかに高い賃料で募集されている物件は、見かけ上の利回りは良く見えますが、入居者が退去した後に同じ賃料で募集できない可能性があります。逆に、相場より低い賃料で貸している場合は、利回りが低く見えても、適正賃料に引き上げることで実質的な価値が上がる余地があります。

比較対象の物件を選ぶ際は、賃料が適正水準かどうかを必ず確認しましょう。

●「サブリース」の有無をチェックする

サブリース契約の有無や解除条件も、物件価格に強く影響する要素です。サブリース契約が付いている物件は、空室リスクが低減される一方で、家賃保証額が入居者の支払う賃料よりも低く設定されていることが一般的であり、実質的な利回りが下がる場合があります。また、契約解除の条件や更新時の賃料見直し条項によっては、将来的な収益性が不透明になるリスクもあります。

サブリースの概要やメリット・デメリット、サブリース契約でトラブルを防ぐためのポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】「サブリースはやめておけ」と言われる理由とは?危ない点やデメリットを解説

●修繕積立金・管理費・大規模修繕実施状況を確認する

毎月の修繕積立金や管理費の設定額が過度に高い場合には、実質的な手取り収入が減少してしまうことで、購入希望者に敬遠されてしまうケースがあります。例えば、修繕積立金が月額5,000円の物件と10,000円の物件では、同じ表面利回りでも買主の実質的な手取り収入が大きく異なります。

また、逆に修繕積立金や管理費の設定額が低すぎてマンション全体としての管理が不十分になっていたり、修繕積立金が不足していたり、さらにはそれが原因で、大規模修繕工事が計画通りに実施できていない場合なども、購入希望者に敬遠されやすくなり、売却価格を下げざるを得なくなる可能性があります。

そのため、自分が所有している物件の管理費・修繕積立金の水準の妥当性や、大規模修繕工事を含めた過去の修繕が計画通りに行われているかといったことも、売却価格に影響を与える可能性があるポイントとして、あらかじめ情報を整理しておくとよいでしょう。これらの情報は、管理組合の総会資料や購入時に交付された長期修繕計画などを照らし合わせることで確認できます。

所有する物件を売却したらいくらになるかを、より精緻に見積もるには、不動産会社へ見積依頼をする必要があります。しかし、ある程度の情報を自分自身で持っていないと、不動産会社の提案をそのまま鵜呑みにしてしまい、結果的に安く売却してしまうというケースも決して珍しくありません。自ら積極的に情報を調べにいくことが、良い取引につなげるためには非常に重要です。

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