三菱ケミカルグループは経営資源を本業の化学事業に集中させるため、新薬開発に多額の研究開発投資が必要となる医薬品事業を切り離す。同社は昨年11月に発表した2030年3月期までの新中期経営計画で、モビリティー、半導体、食関連など5領域での高機能素材開発を重点的に進めるとし、医薬品については将来成長の実現を可能とするベストパートナーの探索を検討するとして非中核事業との位置付けを鮮明にしていた。
三菱ケミカルグループは2020年に田辺三菱製薬(大阪市)を完全子会社化した。しかし、化学と医薬の親和性や相乗効果が希薄化していたのに加え、グループ内で医薬品事業への大規模な投資を継続するのは難しいと判断した。田辺三菱製薬は売上高4370億円、営業利益562億円、資産合計9620億円(2024年3月期)。譲渡完了は2025年7~9月期を予定。譲渡価額は約5100億円。これに伴い、約950億円の譲渡益を計上する見込み。譲渡方法は今後詰める。
田辺三菱製薬は2007年に田辺製薬と三菱ウェルファーマが経営統合して誕生し、この際、三菱ウェルファーマの親会社だった三菱ケミカルホールディングス(HD、現三菱ケミカルグループ)が株式の過半数を保有した。三菱ケミカルHDは2020年、TOB(株式公開買い付け)などを通じて4900億円超を投じて田辺三菱製薬を完全子会社化した。

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