【11月アクティビストサマリー】MBOのソフト99・太平洋工業・マンダムで新局面、旧村上系は3カ月連続で新規保有

シンガポール投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネジージメントは11月19日、カーワックス、補修剤などカーケア用品大手のソフト99コーポレーションの株式を35.04%取得したとする大量保有報告書を関東財務局に提出した。

不成立のソフト99、エフィッシモが筆頭株主に

創業家出身の田中秀明社長によるMBO(経営陣による買収)が不成立になる一方、エフィッシモが田中社長側に対抗して行ったTOB(株式公開買い付け)が成立し、筆頭株主となったのだ。

ソフト99に対するMBOは8月初めに始まった。

これに対し、エフィッシモは「買付価格が著しく割安だ」とし、MBO価格を7割近く上回る4100円を提示し、自らTOBに乗り出していた。

株式の非公開化を目的にMBO(経営陣による買収)に乗り出したものの、アクティビスト(物言う株主)の介入で行方が混沌とするケースが夏以降、相次いだ。その1社がソフト99で、今回、ひとまず決着をみた。

MBO中の太平洋工業、マンダムも防戦が続く

残る2社は自動車部品メーカーの太平洋工業と、男性用化粧品大手のマンダム。MBOを目的とするTOBは太平洋工業で7月末、マンダムで9月末にそれぞれ始まったが、当初予定していた期間が大幅に延長され、今なお進行中だ。

太平洋工業に噛みつく形になっているのはエフィッシモ。10月に入り、買付価格は2919円と一気に約4割引き上げられたものの、同社株価は3100円前後で推移し、成立がいぜん見通せない状況にある。エフィッシモは11月中、同社株式を買い増し、保有割合を16.37%まで高めた。

一方、マンダムについては旧村上ファンド系の投資会社であるシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が20.3%まで保有比率を高めた。ただ、マンダムの場合、11月末に買付価格を2520円に約3割引き上げたのに合わせ、シティ側と応募契約を締結したことで、MBO成立の可能性が高まっている(買付期間は12月18日まで)。

旧村上系、ウェーブロック株を28%超買い占め

そのシティによる大量保有が判明したのが建設・農業資材などの化学製品メーカー、ウェーブロックホールディングス(HD)だ。11月12日に14.93%の新規保有が分かったが、その後、6度買い増しの報告書の提出があり、保有割合は瞬く間に28%を超えた。

ウェーブロックHDをめぐっては国内投資ファンドのREVA(東京都千代田区)が11月初めにスタートしており、この直後から一気に買い占めを進めた形だ。保有目的は「投資および状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。

旧村上系による新規保有は9月の高島屋、マンダム、10月のディー・エヌ・エー(DeNA)に次いで3カ月連続となる。

英ファンド、M&A仲介大手に触手

投資会社のfundnote(東京都港区)はプリント配線板の日本シイエムケイ、半導体用リードフレームを手がけるエノモトの株式について5%超を新規保有。同社は10月も大垣共立銀行など2社での新規保有が分かっており、ここへきて動きが注目される。

成長が続くM&A仲介業界で海外勢のアプローチが判明した。英国ゼナーアセットマネジメントが業界2位であるM&Aキャピタルパートナーズの株式5.07%を新規保有した。「状況に応じて運営や資本の効率化に向けて、経営陣との意見交換や重要提案行為等を行う場合がある」としている。

【11月アクティビストサマリー】MBOのソフト99・太平洋工業・マンダムで新局面、旧村上系は3カ月連続で新規保有
11月 アクティビストによる主な保有状況

文:M&A Online

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