
保育所などを運営する中堅のAIAIグループ<6557>は、M&Aを事業拡大の重要施策と位置付け、認可保育所や児童発達支援施設の取得に注力する。
すでに2025年4月以降に、認可保育所「ぽこころ保育園」など4施設を取得(2025年6月30日時点)するなど、積極的に事業拡大を進めており、今後も高水準のM&Aが続きそうだ。
3倍近い300カ所に拡大
AIAIグループは保育、療育、教育の三つを一体的に提供する「AIAI三育圏」を展開しており、「保育」事業に加え、発達に課題のある子どもの発育を支援する「療育」と、小学校入学を控えた子どもに就学前の「教育」を行う体制を備えているのが強み。
東京(35施設)、千葉(62施設)、神奈川(4施設)、大阪(12施設)で事業を展開しており、今後は札幌や仙台、名古屋、福岡などに事業エリアを拡大し、2025年6月時点で113だった施設数(保育所91施設、療育事業所22施設)を、M&Aなどを活用して当面3倍近い300に拡大する。
M&A経費の増加などで大幅営業減益に
AIAIグループは保育・介護事業の運営を目的に、東京都内にglobal bridgeを設立したのが始まり。
M&Aには前向きで、2018年に認可保育所や介護施設を運営する東京ライフケアを子会社化し、サービス付き高齢者向け住宅の運営を始めたほか、同年には介護施設運営のYUAN(2024年に譲渡)を子会社化し、住宅型有料老人ホームの運営も始めた。
その後は2025年4月の、ぽこころ保育園の取得に続いて、5月には認可保育所「ナーサリーホーム稲毛海岸」(千葉市)、「ナーサリーホーム小仲台」(同)、「ナーサリーホーム園生」(同)の3施設を取得している。
AIAIグループの2025年3月期は新施設の開設や既存施設の園児数の増加などから売上高は130億7100万円(前年度比10.6%増)となり、営業利益も7億3300万円(同37.8%増)と大幅な増収営業増益となった。
2026年3月期も新規施設の開設や既存施設の稼働率向上などから売上高は137億円(同4.8%増)と増加するものの、営業利益は「ぽこころ保育園」や「ナーサリーホーム稲毛海岸」などのM&Aに伴う経費の増加などの影響で5億円(同31.8%減)と大幅な減少を見込む。

他業界からの参入も
保育所は共働き世帯の増加で需要は多いものの、長期的には少子化による保育園児数の減少に伴う競争の激化によって経営難や統廃合などが予想される。
一方、少子化の中、障害を抱える子どもの数は増加しており、AIAIグループによると2003年から2022年の間に5.89倍に増加し、これに伴って障害児施設数も増加傾向にあるという。
こうした状況のもと、他業界からの参入の事例も見られ、物流大手のセンコーグループホールディングス<9069>は2020年に、保育所や学童クラブなどを運営するプロケア(東京都新宿区)を子会社化した。
同社は介護サービス事業を行っており、子どもから高齢者まで幅広く生活を支援するのを狙いに、保育事業に参入した。
またソフトウエアテストなどを手がけるSHIFT<3697>は2023年に、保育所運営のインフィニック(神奈川県海老名市)を子会社化した。
少子化に伴う人材不足に対応するため、自ら人材を育てる仕組みづくりが不可欠であると判断し、保育事業の取得を決断したという。
文:M&A Online記者 松本亮一
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