丸全昭和運輸は総合物流大手の一角を占める。「ヨコハマ」発のロジスティクスパートナーを旗印に、陸・海・空の複合一貫輸送をグローバルに展開する。
6年ぶり、日東富士運輸を買収
丸全昭和運輸は10月31日、日東富士製粉傘下の運送会社である日東富士運輸(東京都大田区)の株式66.6%を取得し、子会社化した。取得金額は約4億3300万円。同日付で「M&Fロジスティクス」に社名変更した。
日東富士運輸は1970年に設立し、直近業績は売上高20億4600万円、経常利益8000万円。長年にわたり製粉準大手の日東富士製粉グループにおける物流機能を担ってきた。丸全昭和は同社を取り込むことで顧客基盤の拡充に加え、トラック運転手不足などを背景とする製粉業界での共同物流を促進する狙いもある。
実は、今回のM&Aは丸全昭和にとって6年ぶり。2019年に74億円を投じて、持ち分法適用関連会社で港湾運送を手がける国際埠頭(横浜市)の株式を追加取得し、子会社化して以来となるのだ。
新中計、M&A投資に100億円
丸全昭和は今年4月、第9次中期経営計画「構造改革~ロジスティクスパートナーとしての飛躍に向けて」(2026年3月期~28年3月期)を始動した。売上高の拡大、事業競争力の強化、企業基盤の変革を3本柱とし、最終年度に売上高1760億円(2025年3月期実績1445億円)、経常利益185億円(同157億円)を目標に掲げた。
成長分野として産業機械、半導体材料、蓄電池、電子部品、サーキュラーエコノミー(循環型経済)などを位置付け、高品質な物流サービスの提供を通じて荷主に選ばれる事業パートナーを目指す。
また期間中、設備投資は400億円(情報システム関連50億円を含む)、M&A投資は100億円を計画している。
前回中計画では“不発”に終わる
M&Aについては前回の第8次中計(2023年3月期~25年3月期)でも100億円を想定していたが、実績ゼロに終わった経緯がある。複数案件を検討したものの、相乗効果が見込めず、実行までには至らなかったというのだ。
また、前回中計では最終年度の2025年3月期に売上高1445億円、経常利益157億円と過去最高を記録したが、当初目標に対してはいずれも未達で、手放しでは喜べなかった。売上高は目標値の1650億円を200億円近くショートした。
こうした中、万を期して臨むのが新中計。長らく途絶えていたM&Aも再開第1弾をようやく放つ運びとなった。
M&Aにあたっては今回の日東富士運輸に見られるメーカー系などの物流子会社をはじめ、新規事業領域の企業、3PL(物流一括受託)につながる中堅運送会社、設備メンテナンスに強みを持つ企業に照準を合わせている。
10年前のことになるが、2015年にはモーター大手、日本電産(現ニデック)の物流子会社である日本電産ロジステック(現丸全電産ロジステック、東京都港区)を傘下に収めた。同社は旧三協精機製作所(現ニデックインスツルメンツ)の流れをくみ、ニデックグループの国内外での物流業務を引き受ける。
ひところは国内外でコンスタントに
2020年代に入ってM&Aから遠ざかる形となっていた丸全昭和だが、それ以前はコンスタントに手がけていた。
2002年、昭和電工(現レゾナック)傘下の運送会社である昭和物流(川崎市)、昭和アルミサービス(栃木県小山市)の両社を子会社化したのを手始めにM&Aを本格化した。
続いて2004年にライオン傘下のスマイルライン(東京都港区)を、06年に同じくライオン系列の武州運輸倉庫(東京都港区)を子会社として迎えた。
2018年にはボリビアの「マルゼンサウスアメリカ」の営業権を取得し、南米での物流ネットワークを獲得した。
海外事業をめぐっては東アジア(中国、香港、台湾、韓国)、東南アジア(タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア)、北米・中南米(米国、ボリビア)、欧州(ドイツ)の4エリアに物流拠点や現地事務所を構える。
M&Aのハイライトが訪れたのは2019年。
国際埠頭は1966年に丸全昭和などが出資し、当時、東洋最大級のバルクターミナル(ばら積み貨物の陸揚げ拠点)として横浜港に開業。18万トン級の大型船舶が着岸可能な348メートルの岸壁を備え、東京ドーム3個分の敷地には屋内貯炭場、野積場、穀物サイロ、常・定温倉庫などの保管設備が並ぶ。
「国際埠頭」級の大型案件が飛び出すか
丸全昭和は1931(昭和6)年、横浜市で誕生。創業者・中村全宏が京浜工業地帯に立地する鉄鋼、化学メーカーの工場資材や原材料、製品の荷造り・運搬に乗り出したことに始まる。今日、「100年企業」の仲間入りが近づいてきた。
ただ、足元ではドライバー不足、トラックの多重下請け構造の見直し、倉庫建設コストの上昇など物流業界を取り巻く事業環境が大きく変化。ビジネスモデルの変容を迫られるとともに、業界再編のうねりも本格化しつつある。
こうした中、同社は最速のスピードで企業価値の向上が求められているとし、今までの手法、過去の成功体験を踏襲するだけでは、環境変化に対応できないとの認識だ。手立ての一つとして考えられるのがM&Aに他ならない。
現中計では3年間で100億円のM&A投資を想定している。
文:M&A Online
上場企業のM&A戦略を分析
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