【横河ブリッジHD】総合橋梁メーカーに躍進へ、PC橋大手のビーアールHDを買収

横河ブリッジホールディングス(HD)は橋梁業界のリーディングカンパニーを自他ともに認める存在だ。業歴は120年に及ぶ。

鋼橋でトップに立ち、経営の第2、第3の柱とするシステム建築(工場、倉庫など)、エンジニアリング事業(地下構造物、海洋構造物の設計・製作)でも優位なポジションを築く。

M&Aについては距離を置いてきた感のある同社だが、ここへきて一転、狙いすましたかのような大型買収を繰り出した。

241億円買収、鋼橋・PC橋をフルにカバー

横河ブリッジHDは3月30日付で、プレストレスト・コンクリート(PC)橋大手のビーアールホールディングスを子会社化した。2月初めから実施していたTOB(株式公開買い付け)が成立したのに伴う。

今後、TOBに応募しなかった株主からの株式の買い取りを進め、完全子会社化する予定。ビーアールHDは東証プライム市場への上場が廃止となる。買収総額は約241億円で、横河ブリッジHDとして過去最大のM&Aとなる。

実はM&A自体も2009年に、住友金属工業(現日本製鉄)傘下で同業の住金ブリッジ(現横河NSエンジニアリング、茨城県神栖市)を買収して以来、17年ぶり。この時の買収金額は6億円ほどで、今回とはスケール、意味合いも大きく異なる。

横河ブリッジHDは鋼橋を主戦場としてきたが、これまで競合関係にあったPC橋分野に本格的に進出。鋼橋・PC橋専業メーカーの融合によって国内屈指の総合橋梁グループが誕生することになったのだ。

当初、ビーアールHD側に資本業務提携といったアライアンスを提案し、協議に入っていたが、相乗効果を最大限に引き出すために買収に方針転換した経緯がある。

売上高2000億円規模に

売上高も2000億円規模となる。足元の2026年3月期売上高は横河ブリッジHD1593億円、ビーアールHD370億円を見込む。

ビーアールHDは極東興和(広島市)を中核子会社として、中国、関西を地盤にPC橋工事で実績を積んできた。営業エリアは現在、北海道を除く全国に広がっている。前身企業の創業は1948年にさかのぼる。

鋼橋、PC橋はいずれも新設需要の縮小傾向が続き、案件の受注競争が激しさを増している。一方で維持・保全需要は増加している。横河ブリッジHDは総合橋梁メーカーとしてのブランド力を確立し、勝ち残りを目指す。

橋梁・システム建築・エンジ事業が3本橋

横河ブリッジHDは橋梁事業を主軸に、橋梁で培った技術・ノウハウを生かしたシステム建築事業、エンジニアリング事業を3本柱とする。

システム建築は建物の部材(骨組み、屋根、外壁など)を標準化し、短納期・低コストや大空間を実現する工法。同社は倉庫や工場、スポーツ施設向けなどで業界トップクラスのシェアを持つ。

エンジニアリング事業ではトンネル用鋼製セグメントなどの地下構造物をはじめ、海洋・港湾構造物の設計・製作を手がける。

売上高構成をみると、橋梁61%、システム建築25%、エンジニアリング10%。これら主要3事業以外では半導体製造装置や液晶パネル製造装置に使われるフレーム(架台)の製作などに強みを持つ。

横河ブリッジHDは現行の第7次中期経営計画(2026年3月期~28年3月期)で最終年度に売上高2000億円、営業利益185億円を掲げる。

滑り出しである26年3月期は売上高0.2%増の1590億円、営業利益28%減の120億円で着地する見通し。

【横河ブリッジHD】総合橋梁メーカーに躍進へ、PC橋大手のビーアールHDを買収

M&A投資は別枠扱いに

中計の基本方針は「成長分野へのグループ資源の積極投入と収益構造の強靭化」。そのための手立てとして位置付けたのがM&A投資。具体的な金額は示していないが、設備投資(180億円)、株主還元(220億円以上)とは別枠としている。

例えば、M&Aの検討対象として、橋梁ではコンクリート系、塗装会社、海外建設会社、システム建築では国内建設会社、設計事務所などを候補に挙げている。

橋梁では早速、コンクリート系、すなわちPC橋のビーアールHDの買収に動いた。これにより、中計で目標とする売上高2000億円達成に早くも王手をかけた形だ。

とくに鋼橋では維持・保全上、塗装更新が欠かせないことから、今後、塗装系の買収が具体化することも十分に考えられる。

エンジニアリング事業では地下河川構造物、洋上風力発電などの新規分野への進出を課題としており、この方面でもM&Aが浮上する可能性がある。

横河ブリッジHDのこれまでのM&Aへの取り組み状況はどうか。長い歴史の中でも、ほとんど縁がなかったのが実情だ。

実質的な第1号といえるのが2003年、地場同業の楢崎製作所(北海道室蘭市)の買収。すでに触れたように、2009年には住金ブリッジ(現横河NSエンジニアリング)を買収したが、以降は途絶えていた。

来年は創業120年の節目

創業者の横河民輔氏(1864~1945)は明治、大正、昭和を代表する建築家、実業家の一人。鉄骨造りの名建築で知られ、1907年に日本初の橋梁・鉄骨専業メーカーとして立ち上げたのが横河橋梁製作所。1915年には、横河電機の前身である電気計器研究所を設立した。

折しも来年は横河ブリッジ創業120周年の節目。総合橋梁メーカーとして面目一新した同社がどんな飛躍の扉を開くのか、要ウオッチとなりそうだ。

【横河ブリッジHD】総合橋梁メーカーに躍進へ、PC橋大手のビーアールHDを買収

文:M&A Online

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