SIer大手の「BIPROGY」データ主導の成長戦略を強化 M&Aに積極投資

SIer(システムインテグレーター)大手のBIPROGY<8056>は2026年1月に、大量の購買データを保有するカタリナマーケティングジャパンを傘下に収める。

データが競争力を決定する重要な要因になることが予想されていることから、売上高約100億円、営業利益約5億円の同社の取得に約400億円を投じることにした。

買収後は需要予測や販促最適化、需要や販促計画に基づく発注の自動化など流通業界全体の課題解決を支援するサービスの展開を目指す。

データが競争力を決定

経済産業省が2025年4月に公表した「デジタル経済レポート」は、ハードウエアの競争力がソフトウエアに左右され、そのソフトウエアも膨大なデータなしには成立しないという変化が進んでいると指摘。

こうした状況の中で、企業はデータが競争力を決定する環境下で競わざるを得ない現実に直面していると分析する。

BIPROGYによるカタリナマーケティングジャパンの買収は、まさにこの分析が示す方向に沿った取り組みといえる。

BIPROGYは、カタリナマーケティングジャパンの全株式を保有するYosemite1を買収し、その後Yosemite1がカタリナマーケティングジャパンを吸収合併したうえで、Yosemite1の社名をカタリナマーケティングジャパンに変更する。

リテールメディア市場は2.3倍に

カタリナマーケティングジャパンは、小売企業が購買データを使って、店舗やアプリなどで広告を配信するリテールメディアのプラットフォーム(基盤)を構築している。

同社はスーパーやドラッグストアと提携し、全国の約1万2000店の購買データを収集している。

同社によると、スーパーやドラッグストアの年間販売額は約23兆円に上り、そのうちの過半に当たる12兆円分の実購買データを保有しているという。

このデータを活用して生活者、小売り、メーカーが連携する業界横断型のマーケティング支援を展開しており、リテールメディア市場の有力企業としての地位を築いている。

電通グループ<4324>傘下のCARTA HOLDINGS<3688>によると、リテールメディア市場(店舗を持つ小売企業とEC事業者が提供する各種のオンラインメディア広告。店舗に設置しているデジタルサイネージ広告も含む)は、2028年に2024年比約2.3倍の1兆845億円規模に拡大する見込みだ。

BIPROGYはリテール領域を成長の牽引役として位置づけており、2030年度に企業価値1 兆円の達成を目指す中核分野として事業強化を進めている。

カタリナマーケティングジャパンの子会社化後は、需要予測や販促最適化、発注の自動化などのサービス展開に加え、AI (人工知能)企業との連携によるプラットフォームの高度化やアジアを中心としたグローバル市場への展開など、事業を拡大していく。

5期連続の増収営業増益へ

BIPROGYは1947年に設立された吉澤機器が前身。1958年に日本レミントン・ユニバック(現 BIPROGY)を設立し、1968年に日本ユニバックに社名を変更した。

1988年に日本ユニバックとバロースが統合して日本ユニシスが発足し、2022年に現在の社名である、光の7色の頭文字からなるBIPROGYに変更した。

同社は、基幹ソリューションやインフラサービスの提供・運用を通じて培ってきた「徹底した顧客・業務理解」に強みを持つ。

2025年3月期は売上高4040億1000万円(前年度比9.2%増)、営業利益390億6600万円(同17.4%)と増収増益を達成。

2026年3月期は5.7%の増収、9.0%の営業増益を見込んでおり、実現すれば2022年3月期以来5期連続の増収営業増益となる。

SIer大手の「BIPROGY」データ主導の成長戦略を強化 M&Aに積極投資

データ保有企業へのM&Aが過熱

BIPROGYはM&Aに積極的で、同社の沿革や適時開示情報などによると、2006年にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズを子会社化したのを手始めに、その後10件ほどのM&Aを実施してきた。

同社は成長投資を最優先し、インオーガニック戦略(M&Aなどによる外部の資源を活用した成長戦略)を推進するため、将来の投資候補のリストを整備するなど体制づくりを進めている。

2025年3月期~2027年3月期の3年間で、出資とM&Aを対象に500億円+αの投資枠を設けており、今回の買収ではその大半を投じることになる。

残る投資枠を活用し、今後もデータ保有企業を対象にしたM&Aを進める可能性が高い。

経済産業省が指摘するように、データが競争力を決定する時代が本格化すれば、BIPROGYに限らず、国内企業によるデータを保有する企業へのM&Aが過熱することになりそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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