日本M&Aセンターホールディングス<2127>、M&Aキャピタルパートナーズ<6080>、ストライク<6196>、M&A総研ホールディングス<9552>のM&A仲介上場4社の決算(3月期1社、9月期3社)が2025年10月30日に出そろった。
悪質な買い手による、買収先企業からの現金抜き取りなどのトラブルが明らかになり、業界全体のサービス品質やモラルの向上などに関心が集まったことなどが影響し、2社が営業減益、1社が減収となり、増収営業増益は前年度の3社から1社に減少するなど厳しい内容となった。
4社ともに期初予想に届かず
日本M&Aセンターの2025年3月期は、売上高440億7700万円(前年度比0.1%減)、営業利益167億1500万円(同4.0%増)と微減収営業増益となった。
悪質な買い手によるトラブルの影響で、顧客の意思決定が慎重になったほか、金利上昇よりM&A融資審査が厳格化されたことなどによる、成約率の低下や商談の長期化などで売上高が伸び悩んだ。
ただ、売上原価率の低下や販管費の抑制などで、営業利益は4.0%増加し、増益基調を維持した。
ストライクの2025年9月期は、売上高203億1400万円(同12.0%増)、営業利益63億3200万円(同6.5%減)と増収営業減益となった。
同社は2025年9月期第2四半期に、案件の大型化や新ガイドラインに基づく新たな業務対応による影響から当初計画より案件成約までの期間が長期化し、成約組数が当初計画を下回ったため同第2四半期の業績予想を下方修正した。
この時点では第3四半期以降に大型案件の成約が見込めることなどから、通期の予想は据え置いたが、実績は期初の予想には届かなかった。
M&A総研ホールディングスの2025年9月期は、売上高166億200万円(同0.3%増)、営業利益49億6400万円(同41.0%減)と、売上高はほぼ横ばい、営業利益は半分近くにまで減少した。
期初に売上高232億円、営業利益104億円を予想していたが、案件のブレイク数が増加し、成約数が当初想定を下回ったことから、2025年4月に業績予想を下方修正していたが、実績はこの修正数値をさらに下回った。
M&Aキャピタルパートナーズの2025年9月期は、売上高224億4900万円(同17.1%増)、営業利益は77億7100万円(同21.9%増)と4社の中で唯一増収営業増益を達成した。
大型案件の成約が多数あったことで平均成約単価が上昇したことや、成約数が増加したことなどから、売り上げ、利益ともに伸びた。ただ同社も期初の予想には届かなかった。
コンサルタント数、未達は3社
事業拡大を左右するコンサルタント(案件をとりまとめる専門家)の増員については各社とも積極的だ。
日本M&Aセンターの2025年3月期のコンサルタント数は71人純増の716人(前年度比11.0%増)。当初は120人の純増を目指していたが、新人層での離職が多い中、採用を厳格化した結果、未達となった。
M&Aキャピタルパートナーズの2025年9月期のコンサルタント数は258人(同20.5%増)で、前年度より44人の純増。当初目標の265人には届かなった。2026年9月期は62人純増の320人(同24.0%増)に引き上げる。
ストライクの2025年9月期のコンサルタント数は、74人純増の377人(同24.4%増)で、期初の増員計画の61人を13人上回った。
M&A総研ホールディングスの2025年9月期のコンサルタント数(M&Aアドバイザーとマッチング部門の合計)は、75人純増の466人(同19.1%増)で、同社では「採用後のパフォーマンスデータ<予想される成果>を重視した採用を実施した結果、採用数は当初計画を下回った」としている。
案件数は増加と減少が半々に
売上に直結する成約数については、2社が減少、2社が増加となった。
日本M&Aセンターの2025年3月期の成約数は悪質な買い手によるトラブルの影響などで1078件(同5.9%減)に留まった。
2026年3月期第2四半期時点では、488件(前年同期比7.5%増)に増加し、1件当たりのM&A売上高も 4460万円(同12.6%増)に上昇するなど、回復の兆しが現れている。
M&A総研ホールディングスの2025年9月期の成約数は、成約率の回復が想定よりも遅れたため、234件(同3.3%減)となった。2026年9月期は30%ほど増加の300件前後を見込む。
一方、M&Aキャピタルパートナーズの2025年9月期の成約数は248件で、前年度よりも12.2%増加した。
248件のうち大型案件は62件で、こちらは40.9%の大幅な増加となり、成約数、大型案数ともに過去最高を更新した。
ストライクの2025年9月期の成約数は534件で、前年度より8.9%増加した。ただ大型の案件(1組当たりの売上が1億円以上の案件)の成約は45組で、前年度より3組少なかった。
今期は増収増益基調
日本M&Aセンターの2026年3月期は、悪質な買い手企業に不安を感じる顧客に丁寧に対応するとともに、買い手企業の審査体制を強化して安心して取引できる環境を整える取り組みで成約率の向上を図り、売上高463億円(同5.0%増)、営業利益170億円(同1.7%増)を見込む。
同社は成約数の増加や、1件当たりの売上高の上昇などを理由に、2026年3月期第2四半期の業績予想を上方修正し、売上高を11.9%、営業利益を22.1%引き上げた。
M&Aキャピタルパートナーズの2026年9月期は売上高269億9100万円、営業利益102億8000万円を見込む。2026年9月期の業績予想は、これまでの日本基準に代わって、国際財務報告基準(IFRS)を適用したことから、増減率は記載していない。
ストライクの2026年9月期は、売上高243億4600万円(同19.8%増)、営業利益83億7000万円(同32.2%増)を見込む。コンサルタントを増員するとともに、社内研修を充実させ、技術的な知識の向上、法規制や会計制度の共有などの人材の育成に力を入れて成約数の増加につなげる。
M&A総研ホールディングスの2026年9月期は、売上高221億8400万円(同33.6%増)、営業利益59億9300万円(同20.7%増)の増収営業増益を見込む。
直接型営業では生産性の回復に取り組むとともに、提携部門では新規提携先の開拓と既存パートナーとのリレーションを強化することで実現を目指すとしている。
業界の信頼回復は
悪質な買い手によるトラブルなどを防ぐための対策としては、中小企業庁が2024年8月に「中小M&Aガイドライン」を改訂し、手数料の透明化や不適切な買い手企業への対応を追記した。
合わせて中小企業庁では2025年4月に「中小M&A専門人材(個人)向け」スキルマップを公表し、M&A専門人材の質を向上にも力を入れ始めた。
また、M&A業界の自主規制団体であるM&A支援機関協会は2025年4月に、不適切な買い手企業を登録し業界内で共有する「特定事業者リスト」を改訂し、登録までの時間の短縮や、登録期間の延長などの措置を取った。
日本の中小企業は経営者の高齢化や後継者不在などの課題を抱えており、事業承継型のM&Aの潜在需要は、今後20年ほどは年間9万社台で推移すると見られている。
こうしたニーズに応える形でM&A仲介事業への新規参入が相次いでおり、2025年3月時点でのM&A支援機関数は約3000社となり、このうち2020年以降に設立された企業が57%ほどに達している。
業界の信頼回復に向けた取り組みが、各社の業績にどのような影響を与えるのか。計画通りに着地できるのか、節目の年となりそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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