キヤノングループの国内販売会社キヤノンマーケティングジャパン<8060>は、ITソリューション事業の成長に力を入れる。
2025年12月期に50%ほどだった同事業の売上高構成比(製品・サービス売上)を、2030年12月期には60%ほどに引き上げる。
同事業の成長性が高いと判断し、さらなる領域拡大の方針を打ち出したもので、実現の手段の一つとしてM&Aを活用する。
キヤノングループの国内販売会社としてスタートした同社だが、製品販売中心の事業から、サービス主体のビジネスモデルへのシフトが一段と進むことになる。
サービス型事業を成長の柱に
キヤノンマーケティングジャパンの事業は、キヤノン製品を取り扱う事業と、企業の課題解決や業務の代行、セキュリティーなどからなるITソリューション事業の二つに大別される。
キヤノン製品事業については、ITソリューション事業とのかけ合わせによる新しい価値の提供を進め、収益性を高める計画だ。
一方、事業拡大を見込むITソリューション事業は、企業の課題解決を手がける価値創造インテグレーションや、生産性の向上を支援するビジネスプロセスサービスのほか、セキュリティーや中小企業支援の四つの分野からなる。
キヤノンマーケティングジャパンでは、これらの分野で機能強化に向けたM&Aを積極化する。
対象とする企業や業種などは明らかにしていないが、収益性と市場成長性を兼ね備えた領域に対象を広げ、非連続な成長を目指す。
中でもIT運用や保守、BPO(業務プロセスを一括して専門業者に委託する仕組み)などのサービス型事業(製品販売ではなく、サービスの提供によって収益を得る事業)の拡大に力を入れる。
同社は広範な顧客基盤、高い技術力に加え、保守サービス、IT運用、BPOなどのリカーリングビジネス(継続課金型の収益モデル)の継続性や収益性などを自社の強みとする。
今回の取り組みは、こうした強みを一層強化し、競争力を高める戦略といえそうだ。
6期連続の増収営業増益へ
キヤノンマーケティングジャパンは1968年に、キヤノンの事務機営業部門が母体となり東京都内で事務機販売として設立された。
1971年にキヤノンカメラ販売とキヤノン事務機サービスを吸収合併し、社名をキヤノン販売に変更。2006年に現在の社名になった。
近年はオフィス機器販売にとどまらず、ITサービスやDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、BPO領域の強化に取り組むなど、多角化を進めてきた。
現在のセグメント別(顧客属性別)の構成は、大企業を対象とするエンタープライズ部門が売上高の38.0%、中小企業を対象とするエリア部門が34.3%を占める。
このほか、個人や家庭向けのコンスーマ部門が20.7%、印刷業向けプリンターや半導体製造関連装置などを手がけるプロフェッショナル部門が7.0%となっている。
M&Aには前向きだ。同社の沿革によると最初のM&Aは1989年で、日本リニアックを傘下に収めた。
その後1991年の日本タイプライター、2003年の住友金属システムソリューションズ(現・キヤノンITソリューションズ)、2007年のアルゴ21など相次いで子会社化を実施。
最近では2022年にBPO関連のキュービーファイブを、2023年にSI(システムの企画、開発、運用などを一貫して手がける事業)関連の東京日産コンピュータシステムを、2024年にBPO関連のプリマジェストを買収した。
業績は順調で、2025年12月期は売上高6797億9900万円(前年度比4.0%増)、営業利益581億8800万円(同9.5%増)の増収営業増益を達成。2026年12月期は6期連続の増収営業増益を見込む。
さらに、2028年12月期は売上高7500億円、営業利益660億円、2030年12月期には売上高8500億円、営業利益750億円を目指している。
IT領域でのM&Aを通じたサービス基盤の拡充が、同社の次の成長を担うことになりそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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