【2月資本提携サマリー】ジャパンディスプレイは国内外3社と提携、上場企業同士の案件も目立つ

2月もさまざまな業種で資本業務提携が繰り広げられた。上場企業同士の案件が比較的目立ったほか、提携解消も相次いだ。

JDI、米にディスプレー工場新設へ

ジャパンディスプレイ(JDI)は2月12日、海外企業との2件の資本業務提携を発表した。相手は車載向けを中心に有機EL(OLED)パネルを製造する米国オーレッドワークス、もう一つが先端半導体パッケージ用基板やセンサーの開発を手がける台湾スタートアップ企業のパネルセミだ。出資割合や出資金額はいずれも非公表。

なかでもオーレッドワークスとの資本業務提携は米国でのディスプレー工場新設を見据えている。新工場はJDIとしてアジア圏外で初のディスプレー生産拠点となるもので、防衛、自動車、医療向けなどの高性能ディスプレーの提供に特化する。JDIは米子会社を通じて、オーレッドワークスにすでに6.69%出資しており、かねて緊密な関係にある。

また、JDIは海外2社とは別に、三次元構造LSI(大規模集積回路)を研究・開発するテック・エクステンション(東京都世田谷区)に出資することで合意した。テック・エクステンションは東京工業大学(現東京科学大学)発ベンチャー。今後、新会社設立に向けた検討を始めるという。

ロートは音声バイオマーカー企業に出資

音声バイオマーカー技術を開発するPST(横浜市)に出資を決めたのはロート製薬。音声には人の身体や心理の状態を反映する情報が多く含まれる。PSTが開発した音声バイオマーカー技術は言葉になる前の非言語情報を解析し、うつ病などの予兆・早期発見を目的とする。ロート製薬はメンタルヘルス領域でのサービス展開につなげたい考えだ。

ENECHANGE、経営立て直しへ

2月中、目立ったのが上場企業同士による資本提携の動きだ。

ENECHANGEは伊藤忠エネクスと資本業務提携した。

伊藤忠エネクスが第三者割当増資を29億5000万円で引き受け、ENECHANGEの株式17.45%を取得し、筆頭株主となった。

ENECHANGEは電力・ガス切り替えサービス「エネチェンジ」の運営を主力とするが、EV(電気自動車)充填事業の会計処理問題や創業経営者の辞任で債務超過に陥るなど経営の混乱が続いていたが、新たな資本構成のもとで、業績の立て直しを急ぐ。

光学薄膜装置メーカーのオプトランは、AIメカニックの株式17.82%を33億3500万円で取得し、同社の筆頭株主になった。AIメカニックは日立製作所から分社して2016年に発足し、インクジェット印刷技術を活用したフラット・ディスプレイ製造装置、半導体パッケージ製造装置などを主力製品とする。

両社は2023年に共同出資会社を設立するなど協業を進めてきたが、今回の資本提携で関係をより緊密化する。

メルコホールディングスは入退室管理や監視カメラなどのセキュリティー事業を手がけるセキュアの第三者割当増資を引き受け、同社株式の14.35%を取得する。セキュアは14億5000万円の資金を調達し、財務基盤の強化やM&Aに充てる。

業務用厨房機器メーカーの中西製作所は家庭用日用雑貨品メーカーのレックに出資する。3月末に行われる第三者割当増資を約15億円で引き受け、レック株式の3.8%取得する。協業を進め、新製品の共同開発にも取り組む。

このほか、SBIホールディングスはトレードワークスに5.13%出資することを決めた。SBIはこれまでトレードワークスが開発した証券システムや暗号資産システムなどを導入している。

投資会社のAIフュージョンキャピタルグループはSNSマーケティング支援のラバウルマーケティンググループの株式20.04%を取得することになった。

千趣会、JR東日本との提携を解消

一方、提携の解消も相次いだ。千趣会はJR東日本との資本業務提携を解消した。2020年から両社の会員基盤を融合し、相互送客に向けた取り組みを進めてきたが、経営環境の変化などを踏まえ、役割を終えたと判断(業務上の連携は継続)した。JR東日本は千趣会の株式12%余りを保有するが、この取り扱いは未定という。

システム開発を手がける日本プロセスとアドソル日進は2014年以来の資本提携関係を解消した。上場企業に対して政策保有株(持ち合い株)の解消・縮小が求められる中、日本プロセスは保有するアドソル日進株式を売却した。ただ、アドソル日進は日本プロセス株式を継続保有する方針という。

システム構築のビジネスブレイン太田昭和は、日立ソリューションズ(東京都品川区)との2005年以来の資本提携を解消することを決めた。自己株取得を行い、日立ソリューションズから保有株を買い取る。 

◎2025年2月:主な資本業務提携(適時開示ベース

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文:M&A Online

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