
「磯丸水産」をはじめとする多くのブランドを展開する外食チェーン大手のクリエイト・レストランツ・ホールディングス(HD)<3387>は、今後5年間(2026年2月期~2030年2月期)に国内外で年間2件前後のM&Aを実行する。
同社では2025年2月末までの20年ほどの間に国内で18社、海外で2社のM&Aを実施しており、M&Aを一段と積極化することで成長を加速する。
シナジーが見込めるM&Aを
外食産業は、国内人口の減少やコストの上昇などの課題に直面しており、同社では今後、顧客をはじめ従業員や地域社会、取引先、株主などから選ばれるための「本質的な競争が激化する」との認識を持つ。
今後5年間は、こうした本質的な課題解決のための期間と位置づけ、成長の柱として「本質的価値の進化」「シナジーのあるM&A」「海外事業の拡大」の三つを掲げており、その一つであるM&Aについては、5年間に500億円を投じ、国内、海外で事業を拡大する計画だ。
まず国内では、質の向上につながる「ブランド・ブラッシュアップ」と、量の拡大につながる「展開エリア拡充」などの既存事業とシナジーが見込めるM&Aを検討する。
すでに、2025年5月につけ麺店「狼煙」を運営する狼煙(さいたま市)を子会社化しており、傘下の麺事業を手がけるYUNARI(つけ麺)、一幻フードカンパニー(ラーメン)、遊鶴(ごまそば)などと連携し、食材仕入れを効率化するほか、メニューの共同開発や店舗運営ノウハウなどを共有する。
今後も同様に、質の向上と量の拡大につながる案件を模索していく。
一方、海外では日本食にこだわらず、現地顧客に支持される「日常・定番・地域密着」のブランドを対象とする方針で、北米ではすでに子会社化している2社に加え、M&Aによってブランドを増やし成長を目指す。
アジアでは、シンガポール、香港、台湾、タイ、インドネシアの5カ国に進出しており、これら国などでM&Aと出店(直営やフランチャイズ)による事業拡大を、未進出の欧州ではM&Aによる店舗獲得をそれぞれ目指す。
海外売上高比率を2倍の30%に
M&A以外の今後の成長の柱である「本質的価値の進化」では、料理、サービス、立地を中心に据え、既存店でおいしさの追求や積極的な改装、新業態の開発などを進めるほか、新店では路面立地や地方都市立地などに取り組み、年間30~40店を出店。これら取り組みに5年間で200億円を投じる。
「海外事業の拡大」については、現在はアジア5カ国で50億円ほど、北米で200億円ほどとなっいる売上高を、M&Aを中心に拡大し、海外売上高比率を現在の15%から5年後には30%に引き上げる。
「グループ連邦経営」の強みを活用
クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、和食、洋食、中華、カフェ、ベーカリー、居酒屋、ラーメンなど多くの業態を展開しており、店舗数は1116店舗(2025年2月末)に達している。
連結対象の子会社は2025年2月期の有価証券報告書によると15社で、これら子会社が持つ特徴を活かす「遠心力」と、それぞれのノウハウなどを活かし競争力を高める「求心力」のバランスをとる「グループ連邦経営」を強みとしている。
こうしたグループの強みを活かし、2025年2月期は売上高1563億5400万円(前年度比7.3%増)、営業利益85億400万円(同20.2%増)と2期連続の増収営業増益を達成。
2030年2月期は、売上高2300億円(2025年2月期比47.1%増)、営業利益160億円(同88.1%増)を目指すとしている。

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・【クリエイト・レストランツ・HD】次のコアブランド獲得に向けM&Aを活発化
文:M&A Online記者 松本亮一
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