ハウステンボス施設管理の「Cross Eホールディングス」M&Aで事業領域と活動エリアを拡大

オランダの街並みを再現したテーマパーク、ハウステンボスの関連企業であるCross Eホールディングス<231A>が、M&Aによる事業拡大を加速させている。

ハウステンボスは、2003年の事実上の破たん後、エイチ・アイ・エス(HIS)による再建を経て、2022年9月に経営権が香港投資ファンドのPAGへ移管された経緯を持つ。

一方、施設管理を担うCross Eホールディングスの経営権は、現在もHISが保持(2024年9月期時点でHISが70.57%保有)しており、独自の成長戦略を推進。その一環として、2025年10月1日には、新たに電気・電気通信工事の共新電設工業を子会社化した。

これを機に、技術者確保を目的とした事業承継型M&Aを積極的に模索し、事業領域と活動エリアのさらなる拡大を目指す。

Cross Eホールディングスの概要と事業

Cross Eホールディングスは、2022年11月にハウステンボス・技術センターの単独株式移転によって設立された純粋持株会社だ。傘下には、「ハウステンボス・技術センター」と「西日本エンジニアリング」を抱える。

ハウステンボス・技術センターは、ハウステンボスの施設管理業務が専門であり、一方の西日本エンジニアリングはごみ処理、排ガス、下水、汚泥処理など環境関連プラントの工事やメンテナンスを手がけている。

さらに2025年10月1日、電気工事や電気通信工事に携わる「共新電設工業(長崎県佐世保市)」を子会社化した。

これらの事業に加え、M&Aによって近接している事業領域を開拓することで、経営の安定化を進めるとともに、九州を中心とする西日本と、関東の一部に留まっている活動エリアをM&Aによって拡張することで、安定成長を目指す計画だ。

いずれの事業も技術者の確保が事業拡大の課題となるため、技術者を抱える企業を対象にした事業承継型のM&Aを中心に据えることにした。

今後3年間でM&Aに24億を投資予定

西日本エリアでは、ハウステンボス・技術センターと共新電設工業が、ロールアップ型(複数の中小企業を買収し、統合することで一つの大きな企業として成長を目指す手法)のM&Aと、事業領域拡大型のM&Aを推進。

関東以北のエリアでは、西日本エンジニアリングが、ロールアップ型のM&Aに取り組み、両エリア合わせて今後3年間(2026年9月期~2028年9月期)でM&Aに24億円(うち共新電設工業分は約4億円)を投じる。

すでに10月に傘下に収めた共新電設工業は、公共工事を主力としており、長崎県北部地区などに太陽光発電所9カ所を保有。自治体や防衛分野の電気、通信工事分野に進出するとともに、グループ内の電気、通信工事を内製化することで収益力を高めるとしている。

3年で売上高を1.4倍に

Cross Eホールディングスは、産業機械設置工事の市場は、コロナ禍後の設備投資の再開と半導体関連、化学素材関連などの新設により設備設置や管工事の市場は拡大基調にあると見る。



また、ごみ処理場の工事市場も、2000年施行のダイオキシン類対策特別措置法基準適合の施設が更新期に入ることから、市場規模は当面安定的に推移する予想する。

さらにハウステンボスではオープンから30年を超えているため、更新工事需要が見込めるほか、新規投資も継続的にあることから、中期的に安定した市場が見込まれるとしている。

同社では、ごみ処理場施設の運転技術者と施工工事技術者の両方を抱えており、施設の運転効率を考えた改修技術などに優位性があり、半導体、化学関連工場でも、設備設置、管工事での⾧年の経験やノウハウが強みと分析する。

ハウステンボスでは開業当時から電気設備や空調換気設備、給排水衛生設備の管理に関わっており、高い競争力を持つ。

こうした強みを活かし既存事業を拡大するとともにM&Aを活用することで成長を加速させる計画で、2028年9月期に売上高65億円(2025年9月期見込み比42.5%増)、営業利益6億円(同7.1%増)を目指すとしている。

文:M&A Online記者 松本亮一

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