12期連続赤字の繊維老舗「ダイドーリミテッド」配当重視からM&A軸の成長投資へ転換

繊維老舗のダイドーリミテッド<3205>が、配当重視から成長投資重視へ経営方針を転換した。

アクティビスト(経営改革や株主還元の強化などを求める株主)の意見を踏まえ、配当を優先する方針を採用していたが、構造改革やM&Aの進展により、12期連続の営業赤字だった業績が2026年3月期は営業黒字に転換する見通しとなったことから、方針転換に踏み切った。

2027年3月期から2029年3月期までの3年間に86億円をM&Aに投じ、事業ポートフォリオ(事業構成)を再構築し、最終年に売上高650億円(2025年3月期比2.27倍)、営業利益40億円(2025年3月期は6400万円の赤字)を目指す。

成長投資に資金を振り向け

ダイドーリミテッドは2024年7月に、短期志向のアクティビストの意見を踏まえ、成長投資より配当を優先する方針を採用した。

当時は2014年3月期から続く慢性的な赤字からの脱却を目指す状況にあり、長期的な成長を確約できる状況ではなかったため、配当優先を決断した。

その後、構造改革やM&Aなどの施策により業績回復の見通しが立ち、2026年3月期は1000万円の営業黒字を見込むとともに、2027年3月期には営業利益15億円を射程圏内に捉え、成長を志向できる環境が整った。

こうした中、ステークホルダー(株主や取引先、従業員などの利害関係者)からは、短期的な配当を期待する声がある一方で、事業への影響を踏まえ、資金は成長投資に充てるべきとの意見が根強いことを確認したという。

これを踏まえ、2029年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画では「キャッシュカウ事業(安定的に利益を生む事業)で創出された資金をM&Aを含む高成長事業へ積極的に投下し、継続的に花形事業を生み出すサイクルを構築することで企業価値の最大化を目指す」方針に転換した。

事業・機能を補完するM&Aを実施

ダイドーリミテッドは2025年8月に、デニム製品の製造販売を手がけるジャパンブルー(岡山県倉敷市)を子会社化し、デニム生地に事業領域を拡大した。

ジャパンブルーは国産ジーンズブランド「MOMOTARO JEANS(モモタロウジーンズ)」を展開し、近年のインバウンド(訪日観光客)の増加を追い風に売上高を伸ばしている。

同社は、国内外で素材製造からアパレル製品の製造、販売までの川上から川下までを手がけており、こうした事業・機能を補完する、ジャパンブルーのようなM&Aを段階的に実施し、事業ポートフォリオの再構築を加速する。

2026年から事業開発(M&A、戦略的提携)専門チームを強化し、成長戦略の実行スピードを向上させ、M&Aにより3年目には10億円の営業利益を見込む。

キャッシュカウ事業で創出された資金をM&Aなどに積極的に投下する計画で、3年間で86億円のM&A投資を見込む。

また同社は、財務戦略として暗号資産ビットコインを保有・運用する。

M&Aの拡大に向けて資産の一部売却や資金調達を進める中、短期的な余剰資金の運用先としてビットコインをポートフォリオに組み入れる。

資本効率の改善に加え、インフレや円安などによる資産価値の変動リスクを分散する狙いで、最大10億円を投資する。

13期ぶりに黒字転換の見込み

同社は1879年に綿織物製造事業で創業。その後、毛織物や衣料製品の製造販売、工場跡地を活用した不動産賃貸事業を手がけるなど事業領域やビジネスモデルを進化させてきた。

現在は、自社アパレルブランドの「ニューヨーカー」や、ライセンスブランドの「ブルックス ブラザーズ」などを手がける衣料事業が売上高の88.4%を、残りの11.6%を商業施設やオフィスビルなどの賃貸を手がける不動産賃貸事業が占める。

12期連続赤字の繊維老舗「ダイドーリミテッド」配当重視からM&A軸の成長投資へ転換
ダイドーリミテッドの売上高構成比

2025年3月期は、売上高が286億900万円(前年度比0.3%減)、営業損失は6400万円となり、前期の営業損失4億4200万円から赤字幅が縮小した。

ブルックス ブラザーズが伸長したほか、商業施設が寄与し収益改善につながった。

2026年3月期は、売上高が12.8%増、営業利益は1000万円と13期ぶりの黒字を見込む。

2027年3月期は、売上高360億円、営業利益15億円、2029年3月期は、売上高650億円、営業利益40億円を目指す。

配当重視から成長投資重視へと舵を切った今回の方針転換は、長期低迷からの脱却を背景に、企業価値の向上に向けた新たな成長局面への移行を示すものとなりそうだ。

12期連続赤字の繊維老舗「ダイドーリミテッド」配当重視からM&A軸の成長投資へ転換
ダイドーリミテッドの業績推移_修正

文:M&A Online記者 松本亮一

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