「大和ハウス工業」レンタルオフィスのWOOCを傘下に 循環型バリューチェーン拡充へ

大和ハウス工業<1925>は2026年2月、不動産子会社のコスモスイニシア(東京都港区)を介して、レンタルオフィス・コワーキングスペース事業を展開するWOOC(東京都品川区)を連結子会社化した。

2027年3月期を最終年とする5カ年の中期経営計画では、ストックの拡充を掲げ、同社が「育む(運営・管理)」と呼ぶ運営機能の強化を打ち出している。

今回のM&Aは、循環型バリューチェーン(開発・運営・再生を循環させる事業構造)の拡充につながる施策となり、今後も同様のM&Aが続く可能性が高い。

「創る・育む・再生する」循環モデルを拡充

中期経営計画では、「循環型バリューチェーンを拡充する」と明記。事業モデルを「創る(請負・開発)」「育む(運営・管理)」「再生する(改修・再整備)」の循環構造で示した。

最新の統合報告書でも循環型バリューチェーン(創る・育む・再生する)を価値創造プロセスの中核として示している。

コスモスイニシアは2017年に、WOOCと資本業務提携を結び、レンタルオフィス・コワーキングスペース事業で協業拠点の設置や人材交流、共同イベントの開催などを実施してきた。

今回の子会社化では、協業成果を発展させるとともに、意思決定の迅速化や事業ポートフォリオ(事業構成)の強化につなげる。

今後は、WOOCのフレキシブルオフィス事業(企業や個人向けに柔軟な契約形態で提供するオフィス事業)と、大和ハウス工業グループの不動産開発・運営ノウハウをかけ合わせ、新たな価値創出と持続的な成長を目指す。

大和ハウス工業はこれまでも「育む」に該当する領域でM&Aを重ねてきた。

2024年のマンション管理会社マリモコミュニティの子会社化や、同年のカンファレンスホテル(企業研修や会議に対応した宿泊施設)などの運営受託事業を手がけるマックスパートの子会社化。

さらに2025年、建築物の総合管理事業を展開するシーレックス・ファシリティーズの子会社化などの事例がある。

いずれも、管理・運営機能をグループ内に取り込み、ストック収益の基盤強化につながる案件といえる。

WOOCはその延長線上に位置付けられる。

「創る」分野で大型投資

一方で中期経営計画では、「創る(請負・開発)」に該当する開発投資を積極的に進める方針を示している。

実際、海外住宅や物流施設への投資を進め、供給基盤を拡大してきた。

2020年以降に適時開示された大和ハウス工業関連のM&Aをみると、こうした動きが確認できる。

2021年の戸建住宅や宅地分譲を手がける米CastleRock(キャッスルロック)の子会社化や、2025年の物流施設賃貸事業を展開するインドネシアのHCD Properti Indonesia(HCDプロペルティ・インドネシア)の買収など「創る」分野での案件が目立つ。

直近では2025年10月に、電気・通信工事に強い住友電設をTOB(株式公開買い付け)で子会社化する(一連の手続きは2026年3月下旬に完了する予定)と発表した。

これも「創る」分野に含まれる案件で、データセンターや半導体工場の受注拡大に向け、設計・施工機能を取り込む狙いがある。

WOOCの買収は、開発後の運営を自社グループで担う体制強化につながる。

開発、施工、運営、再生を循環させるモデルが、どこまで収益の安定性向上につながるか。

中期経営計画の残り期間で、その成果を数字で示せるかが焦点となりそうだ。

「大和ハウス工業」レンタルオフィスのWOOCを傘下に 循環型バリューチェーン拡充へ
2020年以降に適時開示された大和ハウス工業関連のM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A速報、コラムを日々配信!】
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ