ホームセンター大手の「DCMホールディングス」今年2件目の企業買収を実施

ホームセンター大手のDCMホールディングス＜3050＞が2025年12月に、今年2件目となるM＆Aに踏み切る。

M＆Aによって事業領域を拡大する戦略の一環で、コロナ禍の2020年以降のM＆A件数は、2022年と2023年に1件ずつだったのが、2025年は2件とペースが上昇している。

M＆Aなどによる増収によって2031年2月期に、2026年2月期見込み比65％増の9000億円の売上高を目指しており、今後もハイペースなM＆Aが続く可能性が高い。

リフォーム、DIY、ペット、園芸が対象に

2025年12月に傘下に収めるのは、東京都、神奈川県、埼玉県を中心にリフォーム事業を展開するホームテック。

子会社化によって首都圏でのドミナント（地域集中出店）戦略の強化や、施工領域の補完につなげる狙いがある。

同社は、リフォーム、DIY、ペット、園芸の4市場での事業拡大を目指している。

リフォーム市場については、中古住宅流通が増加しているのに加え、職人不足が顕在化しているため、人材難による施工能力不足を解消できれば、潜在需要の開拓が可能としている。

また、DIY市場は、長期的に堅調に推移し、今後も市場の拡大が見込まれるほか、ペット市場と園芸市場についても、コロナ禍後の生活様式の変化などにより、市場拡大は続くと見る。

このため、ホームテックに続くM＆A候補は、リフォームに加え、DIYやペット、園芸などの分野の企業が中心となりそうだ。

ホームセンターのエンチョーも子会社化

DCMホールディングスは2006年に、それぞれホームセンター事業を手がける愛知県を地盤とするカーマと、愛媛県を地盤とするダイキ、北海道を地盤とするホーマックの3社が経営統合して誕生した。

M＆Aに積極的で、経営統合後10件以上の実績がある。2025年はホームテックのほかに、9月に静岡県を中心にグループ全体で57店舗のホームセンターを運営するエンチョーを子会社化した。

エンチョーをグループに取り込むことで、出店エリアの拡大を進めるほか、スケールメリットを生かした仕入れ改善やコスト低減などの相乗効果を見込む。

このほか2020年以降は、2022年に家電を中心とするEC（電子商取引）事業大手のエクスプライスと、2023年にホームセンター中堅のケーヨーを子会社化している。

DCMホールディングスが 2010年以降に適時開示したM＆A

また事業部門を多角化しており、日用消耗品や食品などのハウスキーピング部門と、作業用品や工具などのホームインプルーブメント部門の売上高構成比がそれぞれ20％ほど。

次いで、園芸用品や農業資材などの園芸部門と、カー用品やペット用品などのホームレジャー・ペット部門がほぼ同程度の15％ほどで、家電などのホームエレクトロニクス部門、インテイリアや寝具などのホームファニシング部門などと続く。

複数の核となる事業部門を持つことが同社の強みで、2025年2月期は売上高に不動産賃貸収入などを加えた営業収益が5446億200万円（前年度比11.5％増）、営業利益が332億3000万円（同15.8％増）と2ケタの増収営業増益を達成。2026年2月期も1.7％の増収、5.3％の営業増益を見込む。

DCMホールディングス商品部門別の売上高構成

M＆Aの話題が豊富

帝国データバンクが2025年10月に発表した「ホームセンター業界の動向と展望」によると、ホームセンター市場は「成熟化が進み、売上高は横ばい傾向（4兆円前後）で推移しており、競争環境は厳しさを増している」としている。

さらに「M＆Aを通じた業界再編や物流効率化、IT技術を活用した業務改善など、経営効率化と新たな収益源の確保に向けた取り組みが加速している」という。

同業界では、最大手のカインズ（埼玉県本庄市）が2025年12月下旬に、工具や消耗品などを取り扱う、プロ向け通販サイト「トラノテ」などを運営する大都（大阪市）を子会社化する。

業界3位のコーナン商事＜7516＞は、ホームセンター事業に次ぐ未来の成長を担う新たな経営の柱の発掘にM＆Aを活用。

ジョイフル本田＜3191＞は業界再編や事業承継などにつながるM＆A案件を模索中で、コメリ＜8218＞もM＆A投資に向けた準備資金を計上するなど、各社の動きが活発化している。

ホームセンター業界では、当面M＆Aの話題が絶えることはなさそうだ。

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文：M＆A Online記者 松本亮一

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