高精度3次元地図データの「ダイナミックマッププラットフォーム」測量業界でロールアップ型M&Aを展開

自動運転などに必要な高精度3次元地図データを手がけるダイナミックマッププラットフォーム<336A>は、測量業界でロールアップ型(複数の中小企業を買収し、統合することで一つの大きな企業として成長を目指す手法)のM&Aを展開する。

第一弾として2025年10月に、測量、調査、土木設計を行う日本海測量設計(富山県高岡市)を子会社化。

今後、測量、設計、建設コンサルタントなどを対象に候補企業の探索を進め、グループ化を加速する。

これらの取り組みを通じて、国内インフラのデジタル化や測量業界の持続的な運営を支える測量ネットワークの構築を目指す。

能登半島地震の復旧にも対応

ロールアップ1社目となる日本海測量設計は、富山県を中心に測量事業を行っており、2024年には能登半島地震の復旧対応に従事した。

日本海測量設計は今回のM&Aについて「デジタルインフラの整備は、これからの社会を支える重要な取り組みであり、当社の技術や知見がその中で活かせると確信している」としている。

ダイナミックマッププラットフォームは、2016年に日本政府の支援のもと、国内自動車メーカー10社などの出資によって設立された。

自動運転やADAS(先進運転支援システム)向けをはじめ、空港、港湾、物流センター、企業内施設など、さまざまな産業に高精度3次元データを提供。現在は日本をはじめ北米、欧州、中東、韓国に拠点を持ち、26カ国で事業を展開している。

今後、事業をさらに拡大するには、ドローンやハンディースキャナーなど、公道とは異なる計測手段が必要になることから、測量能力の強化を目的にロールアップ型M&A戦略を採用した。

新たに立ち上げた統括会社であるダイナミックマッププラットフォームコンサルタンツが中心となり、複数地域の測量や設計、建設コンサルタント会社などのグループ化を進め、将来は比較的規模の大きい企業を中核に据えたグループ経営体制を構築する。

またグループ化した企業では、地域特性を残しつつ、人材や技術、機材などの共有化や最新技術への投資などを進める。

進まない新技術の導入

異常気象による自然災害の増加や、社会インフラの老朽化が進む中、災害復旧やインフラ修繕などの現場では、測量技術の重要性が高まっている。

測量業界の市場規模(公共工事の契約金額)は、この20年間に約10%増加し、2024年度は約734億円となった。

その一方で、測量業者の数は2003年度をピークに21年連続で減少している。また企業規模は小さく、2023年度末時点で登録業者の95%が資本金1億円未満の中小企業だった。

ダイナミックマッププラットフォームによると、3次元測量やドローン測量などの新技術は進歩しているものの、多くの企業が設備投資の負担から導入に踏み切れず、後継者不足により廃業するケースも出ているという。

EBITDAの赤字幅は縮小

ダイナミックマッププラットフォームの2025年3月期の売上高は74億6500万円(前年度比34.1%増)と大幅に増加した一方、営業損益は12億1900万円の赤字(前年度は25億5400万円の赤字)となった。

2026年3月期は米国の関税政策による影響が見込まれることから、売上高は70億円と前年度より6.2%減少する見込み。

同期の営業損益は公表していないが、調整後EBITDA(営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用)は5億円の赤字を予想しており、前年度(6億900万円の赤字)と比べ赤字幅は縮小する。

M&Aについては、今回の日本海測量設計の子会社化のほかに、2019年に高精度道路地図を手がける米国のUshr Inc.(現 Dynamic Map Platform North America, Inc.)を買収した実績がある。

ダイナミックマッププラットフォームは、ロールアップ型のM&Aで測量業界の課題を解決し、新たな価値を生み出すことができるだろうか。

高精度3次元地図データの「ダイナミックマッププラットフォーム」測量業界でロールアップ型M&Aを展開
ダイナミックマッププラットフォームの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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