サイボウズがB2愛媛オレンジバイキングスを子会社化　創業地・愛媛でプロバスケットボール支援へ

IT企業のサイボウズ＜4776＞が、プロバスケットボールB2リーグの愛媛オレンジバイキングスを運営するエヒメスポーツエンターテイメント（愛媛県松山市）を第三者割当増資により子会社化した。2025年6月26日、松山市内で開かれた記者会見で、両社の経営陣が今後の展望を語った。

愛媛オレンジバイキングスは2年連続でB2西地区最下位と低迷が続いている。サイボウズは約1億9300万円を投じて50.15%の株式を取得し、筆頭株主として長期的にチームの経営に参画し、チーム強化に努める。エヒメスポーツエンターテイメントの北野順哉代表取締役社長は続投し、サイボウズからは青野氏が取締役会長、河原成紀会長は副会長となる。

愛媛オレンジバイキングス記者会見

創業地への恩返しとサイボウズ青野社長の思い

「実はサイボウズは愛媛出身の会社なんです」

青野慶久・サイボウズ社長は2025年6月26日、松山市内で開かれた共同記者会見でこう切り出した。

1997年に松山市のマンションの一室から始まった同社は、現在では従業員千人規模に成長。本社は東京に移転したが、今も松山には約100人のメンバーが在籍している。

青野氏は愛媛県今治市出身で、中学時代はバスケットボール部に所属していた経歴も持つ。

4月の最終戦で、2日間で8,000人が来場し、客席がオレンジ色に染まる光景を目の当たりにした。青野氏は「女性や子どもたちが安心して楽しめるエンターテインメント」という点に大きな可能性を感じたという。「東京ばかりに人が集まるのはなぜか。地方が活性化していくためには、バスケットボールというコンテンツを育てることが必須だと強く感じた」と、今回の決断の背景を語った。

具体的な支援策とDX推進組織強化とスポーツDXへの挑戦

サイボウズ執行役員でBリーグ理事も務める中根弓佳氏は、副社長として参画する。「組織をいかに効率よく、情報共有を通じて働けるようにするか。

• 主な支援内容組織運営の効率化とDX推進
• 選手の体調管理システムの導入
• 練習効率化のためのデータ活用
• フロントスタッフの業務改善

中根氏は「働きやすさと働きがいのある会社ランキングで、上場企業中1位になった」というサイボウズのノウハウを活かし、人手に頼りがちなスポーツビジネスの現場に変革をもたらす考えだ。

記者会見で話す北野社長

チームの現状と将来構想

北野順哉社長は、チームが「2年連続で地区最下位」という厳しい現状を率直に認めた上で、今シーズンの目標を明確に示した。

• 今シーズンの目標はB2西地区での優勝争い
• クラブ史上初のプレーオフ進出
• 2026-27シーズンのB.LEAGUE PREMIER参入

観客動員の課題と対策現在の平均観客数は約1500人。B.LEAGUE PREMIERの参入条件である「年間平均2000人を2年連続」という基準には届いていない。北野社長は「愛媛の休日のファーストチョイスになる」というコンセプトのもと、以下の施策を進める。

• 総合演出の強化（音楽、照明、チアパフォーマンス）
• 松山市総合コミュニティセンター以外での試合開催増
• 武道館（愛媛県）での試合を年1回から4回に増加

アリーナ構想への意欲と地域活性化への貢献

青野社長は「まずは勝てるチームを作り、観客動員を増やす。その先に、もっと大きなアリーナが欲しいと言える状況を作っていく」と、段階的なアプローチを示した。将来的なアリーナ建設については、「自治体、企業、ブースター、住民の皆様を含めてオープンに議論していきたい」と述べた。

河原副会長は「地方であっても都市部に劣らないクオリティの高いバスケットボールとエンターテインメントを提供する」と決意を表明。サイボウズの「チームワークあふれる社会を創る」という理念と、愛媛オレンジバイキングスの「愛媛をスポーツで元気にする」という思いが重なった今回の提携により、新たな地域活性化モデルの構築を目指す。

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