2025年の外食産業は、原材料費・人件費の上昇が続き厳しい環境だった。この局面において、大手は業態の多角化、インバウンド需要の獲得と海外展開を成長の柱に据えて経営を推進。
2025年はラーメン・つけ麺業態を対象としたM&Aが急増した。外食・フードサービスにおける適時開示案件の約3分の1を占め、取引金額で上位につける案件も複数あり、「ラーメン・つけ麺M&A元年」と言えるほどに活況を呈した。
ラーメン・つけ麺M&Aはなぜ増えた?
急増の背景には、2つの理由がある。ひとつは、中小規模の店舗が多く、市場の寡占化が進んでおらず、シェア拡大の余地が大きい点。もうひとつは、原材料費を始めとしてコスト高が続いていることだ。
収益圧迫は売り手にとっての譲渡理由へとつながり、買い手となる大手はコストダウンで対処できる。原材料の一括仕入れ、セントラルキッチンの活用、物流網の整備などコストダウンの方法は様々。人気店の”ブランド”を手に入れて国内では多店舗・FC展開も可能だ。インバウンド需要も高く、海外展開も期待できるラーメン・つけ麺は、大手外食にとって時流にも適った買収対象と言える。
この点を買収理由として挙げているのが、魅力屋だ。つけ麺専門店「三田製麺所」を運営するエムピーキッチンホールディングスを50億円で買収すると発表した。ラーメンに加えて、つけ麺を新たな業態とし、サプライチェーン、事業管理の効率化をシナジーとして見込む。
さらに、同社は「肉そばけいすけ」や「札幌みその一期一会」などのラーメン店を展開するグランキュイジーヌも買収(約9億7000万円)しており、急速なマルチブランド展開を図っていることがわかる。
年末になって大きく注目されたのが、牛丼チェーンの松屋フーズホールディングスの案件。つけ麺・中華そば店「六厘舎」など全9ブランド、111店舗(2025年3月末時点)を経営する松富士を約91億円で買収する。
松屋フーズHDは、マルチブランド化を推進しており、2025年7月にラーメン専門店の「松太郎」をオープン。この新領域強化のためにM&Aで補強する。関東ドミナントで展開してきた松富士に、松屋フーズHDの新規出店のノウハウや物流網を組み合わせて事業拡大を図る。店舗展開には海外を含めて出店余地が大きいと評価している。
店舗開発力でブランド育成を目指す大手外食
振り返れば、ラーメン・つけ麺のM&Aが増える予兆は2023年頃からあった。カレーチェーンの壱番屋がラーメン・つけ麺の「麵屋たけ井」を買収、翌年にも「極濃豚骨らーめん小僧」などを経営するKOZOUを傘下に収めている。2024年には、クリエイト・レストランツ・ホールディングスがラーメン店「えびそば一幻」の運営会社を子会社化、吉野家ホールディングスも2024年に、麺・スープなど製造の宝産業を子会社化している。
壱番屋は、マルチブランド、FC展開を見据えた戦略を推進。クリエイト・レストランツ・ホールディングスも自社の立地開発力を生かして、国内外での店舗展開を目的とする。
こうした動きがうねりとなって花開いたのが2025年というわけだ。2026年も環境に変化がない限り、ラーメンM&Aに注目が集まりそうだが、その一方でM&Aの成否を確かめる一年になるともいえるだろう。仕入れや製造、物流面でのコストダウン、国内のみならず海外出店も見据えた店舗展開が各社の目算通りに進むかどうかが試される。
文:阿部まみ
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