教育と医療福祉の「学研ホールディングス」法改正を機にビジネスを転換 画一研修から伴走型支援へ

教育と医療福祉を両輪とする学研ホールディングス<9470>は、社外メンター(所属企業とは別の立場で助言する経験者)を活用して女性リーダー候補の成長を支援するMentor For(東京都品川区)を傘下に収めた。

2026年4月1日に施行される改正女性活躍推進法を見据えた取り組みで、企業向け研修を手がけるグループ会社のTOASU(東京都品川区)を通じて実現した。

研修メニューの拡充にとどまらず、研修提供を中心としたビジネスから、社外人材を活用した伴走型の人材支援へと領域を広げる節目となりそうだ。

DE&Iの取り組みが数値で可視化

改正女性活躍推進法では、これまで主に301人以上の大企業に義務付けられていた男女の賃金差異や女性管理職比率の公表義務が、従業員数101人以上300人以下の企業にまで拡大される。

学研ホールディングスは今後、性別や働き方の違いを認め、公平な機会を確保しながら誰もが能力を発揮できる環境づくり(DE&I=多様性、公平性、包含の英語の頭文字)への取り組み状況が、数値によってより明確に示されるようになるとみる。

TOASUは、階層別研修をはじめ新人研修やDX(デジタルトランスフォーメーション)研修などの人材育成サービスを提供しており、近年は女性リーダーの育成やメンター制度の導入支援の要望が寄せられていた。

一方のMentor Forは、女性の意欲向上や自信形成、生活も含めたキャリア課題の解決に向け、プロフェッショナルな社外メンターが中長期で伴走する支援を提供してきた。

メンター制度の構築支援や、DE&I推進に関する研修・講演も手がけ、導入実績は約170社に上る。

加えて、個人向けにメンタースキルの育成・認定を行う「Business Career Mentor Academy」を展開し、メンターを自ら育成・輩出する体制を整えている。

こうした実態を踏まえ、学研ホールディングスは、従来にない伴走型支援を取り込み、人材育成サービスの領域拡張につなげることを狙いに、Mentor Forをグループに迎えた。

今後はTOASUとの顧客基盤やノウハウを融合させ、企業ニーズに応じた人材育成サービスを拡充する。

あわせて、学研グループの知見を生かし、出版コンテンツの展開や個人向けキャリア支援サービスの拡充にも取り組む。

TOASUでは、企業の人材育成は大きな転換点を迎えており、従来の一律の研修だけでは解決できない課題が山積しているとみる。

Mentor Forをグループに迎えた背景には、個々のキャリアや行動変容に踏み込む領域まで人材育成の範囲を広げたいとの考えがある。

伴走ビジネスが成長を左右

学研ホールディングスは1947年、東京都内で学習研究社として設立された。

学習雑誌や教材事業を展開し、その後、介護や進学塾運営、家庭教師、園・学校などへ事業領域を広げてきた。

現在の事業構成は、教育分野(教室・塾事業、出版コンテンツ事業、園・学校事業)が売上高の47.9%を占める。

医療福祉分野(高齢者住宅事業、認知症グループホーム事業、子育て支援事業)も47.8%と同規模に達する。

このほか、物流事業や関連システムの運営・業務受託などからなるその他事業が4.3%を占める。

教育と医療福祉の「学研ホールディングス」法改正を機にビジネスを転換 画一研修から伴走型支援へ
学研ホールディングスの売上高構成比

教育分野と医療福祉分野を中心に、幅広い事業を展開しているのが同社の強みで、2025年9月期は売上高1991億1900万円(前年度比7.3%増)、営業利益82億3700万円(同19.7%増)の増収営業増益を達成した。

2026年9月期は3.0%の増収、3.2%の営業増益を、2027年9月期は4.9%の増収、11.8%の営業増益を見込む。

M&Aには積極的で、2010年以降に適時開示された学研ホールディングス関連のM&Aは11件に上る。

直近は2026年1月に、レアジョブからオンライン学習サービス「資格スクエア」事業を取得(発表は2025年12月)。教育分野の重点事業と位置付けるリカレント・リスキリング(社会人の学び直し)などの新領域の強化策の一環で、司法試験、行政書士、弁理士など難関資格の通信講座を取り込んだ。

法改正を追い風に、M&Aを通じて研修中心のビジネスから、個人に伴走するビジネスへ転換できるかが、今後の人材育成サービス事業の成長を左右しそうだ。

教育と医療福祉の「学研ホールディングス」法改正を機にビジネスを転換 画一研修から伴走型支援へ
2010年以降に適時開示された学研ホールディングス関連のM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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