不適切会計問題を経て次の成長局面へ向かう「人・夢・技術グループ」その経営計画とM&A戦略は

建設コンサルタントの人・夢・技術グループ<9248>は、建設コンサルタントを中核とする事業基盤の強化に加え、技術力と人材の強化などを軸とした成長投資を打ち出した。

M&Aによって、橋梁などの調査・計画・設計・施工管理などのインフラサービスと親和性の高い成長分野への展開を実現し、技術や人材、顧客基盤を獲得し、事業ポートフォリオを拡充する。

同社は不適切会計問題を経て、成長戦略の再構築を進める局面にある。ガバナンス体制の強化を前提に、M&Aをどのように位置付け、次の成長につなげるのかが焦点となる。

M&Aで新事業領域を開拓

人・夢・技術グループは2024年8月に、子会社による原価付け替えなどの不適切な会計処理が判明。

これを受けて特別調査委員会を設置し、調査報告書で示された指摘に沿って、再発防止策の策定と改善に取り組んできた。

2025年12月に公表したコーポレート・ガバナンスに関する報告書では、「2025年9月までに不適切会計処理に対する再発防止策の全項目について対応を終えた」と説明している。

こうした状況を踏まえ、2025年11月に2026年9月期~2028年9月期の3年間の中期経営計画「持続成長プラン2028」を策定。

この中に国土強靭化や地域創生、持続可能なまちづくりなどへの挑戦が、同社の使命であり、成長のチャンスと位置づけ、基幹事業の新たな価値創出や、新事業・新分野の収益性向上などからなる成長戦略を盛り込んだ。

基幹事業の新たな価値の創出では、老朽化橋梁や道路の更新、耐震補修、点検・維持管理などの受注拡大や、新規顧客の開拓、海外業務の安定受注などに取り組む。

あわせて、有資格者数の増加による技術力と品質の向上や、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による業務効率化と生産性向上を進める。

一方、新分野・新事業では、空飛ぶクルマなどの新事業の受注拡大をはじめ、経営資源の活用やシナジーを創出する新事業投資などに取り組む。

M&Aについては、新モビリティーや再生可能エネルギーなど、インフラサービスと親和性の高い新事業領域への投資を検討する。

並行して、技術や人材、顧客基盤の獲得を通じ、港湾・河川分野や地域の建設コンサルタントなどへ事業領域を広げる。

こうしたM&Aに、3年間で30億円を投じる計画だ。

強みは世界最高峰の橋梁設計技術

人・夢・技術グループは、2021年に長大(1968年に設立の長大橋設計センタが前身)が単独株式移転で設立した企業。

2022年に建設コンサルタント業のピーシーレールウェイコンサルタントを、翌2023年にクラウドサービス提供やシステム開発のニックスを相次いで子会社化し、業容を拡大した。

同社では「世界最高峰の橋梁設計技術が強み」としており、インフラ全般の調査・計画・設計やエネルギー開発、地域開発などを幅広く手がけている。

現在の事業構成を見ると、橋梁や特殊構造物に関わる調査・計画・設計・施工管理などのコンサルタント事業が売上高の約96.3%を占める。

このほかに、道路運営、公共施設の運営、再生可能エネルギー事業などのサービスプロバイダ事業が同2.1%、エコ商品販売、レンタル、 情報システムの販売などのプロダクツ事業が同1.6%となっている。

不適切会計問題を経て次の成長局面へ向かう「人・夢・技術グループ」その経営計画とM&A戦略は
人・夢・技術グループの売上高構成比

中期経営計画初年度は減収営業減益に

2025年9月期は、大型業務の契約変更の一部前倒しなどが業績を押し上げ、売上高は459億8400万円(前年度比15.5%増)、営業利益は26億8300万円(同49.9%増)と大幅な増収増益となった。

中期経営計画の初年度となる2026年9月期は、前年度の契約変更の一部前倒しなどの影響がなくなるため売上高は448億円(同2.6%減)、営業利益は23億円(同14.3%減)と減収営業減益を予想する。

ただ、最終年の2028年9月期は、売上高487億円(2025年9月期比5.9%増)、 営業利益31億円(同15.5%増)と、2025年9月期比増収営業増益を計画している。

2025年11月に発表した2025年9月期決算短信では、「コーポレートガバナンス基本方針の下、今後も透明、公正な意思決定を行い、持続的成長に向けた取組みを着実に実施する」としている。

ガバナンス体制の強化を土台に、中期経営計画で掲げた成長戦略とM&Aをどこまで具体化できるかが、今後の成長を左右しそうだ。

不適切会計問題を経て次の成長局面へ向かう「人・夢・技術グループ」その経営計画とM&A戦略は
人・夢・技術グループの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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