【元銀行員が語る】銀行との上手な付き合い方

以前、銀行といえば、預金と融資が業務の中心だった。しかし、超低金利時代が長く続き、銀行は預金と融資という伝統的な業務だけでは稼ぐことが難しくなってきている。

そこで、多くの銀行は、投資信託や外貨預金などの販売に力を入れるようになった。いわゆる手数料ビジネスに比重を移しているのだ。

銀行で証券会社のように資産運用ができるのは非常に便利だが、銀行の投資商品は手数料が高くうまく付き合わないと食い物にされてしまう可能性がある。

そこで今回は、銀行との上手な付き合い方について説明する。

銀行の資産運用提案には気をつけるべき

金利が高かった一昔前であれば、銀行は預金を集めて融資に回せば利益を出すことができた。この記事を読んでいる方の中には、以前、銀行が熱心に預金勧誘をしていた時代を知っている方もいらっしゃるのではないだろうか。

しかし、長引く低金利のせいで、もはや預金を集めても収益に貢献しなくなっている。

そこで、銀行は投資信託や外貨預金などを販売する資産運用業務に力を入れるようになった。

預金や融資はわずかな利ざやしか抜けないが、投資信託や外貨預金の手数料は非常に高く、かつすぐに収益に貢献するものだ。この即効性があり高収益の資産運用に多くの銀行が力を入れるようになった。

結果として資産運用部門の収益の貢献度が非常に大きくなり、ますます銀行は資産運用業務に力を入れるようになったのだ。

もちろん、資産運用業務に力を入れることは間違いではなく、むしろ「預金から投資へ」という政府の大目標を推進する意味で非常に良いことといえる。

顧客本位を忘れ、収益偏重に走る

しかし、大義名分は良くても「やり方」が良くなかった。どういうことかというと、顧客本位ではなく収益偏重になってしまい、いかに手数料を取るかが最大のミッションになってしまったのだ。

結果として、投資信託の回転売買や高齢者へ十分な説明をせず、高い手数料の保険を売り付けるなどして、週刊誌などで大きく叩かれることになった。

以前は預金しか取り扱いがなかったため、個人の顧客は特に銀行との付き合い方に気をつけなくても問題なかった。

しかし、今では、銀行は投資信託や外貨預金だけではなく生命保険などありとあらゆる金融商品の販売を行っている。銀行の窓口に諸手続きに行って資産運用の勧誘を受けた方も少なくないはずだ。

このように、現在の銀行は、何も考えずに利用すると手数料の餌食になってしまう可能性がある。銀行と付き合う際は、資産運用などには手を出さず、自分が必要とする用件のみ済ませるようにするのが無難だろう。

銀行と個人の顧客が付き合う意味は決済手段に尽きるはずだ。公共料金の引き落としやクレジットカードの引き落とし、振り込みなどに限定して利用すれば銀行は非常に便利だ。

このように割り切って付き合うことが今の時代、求められているので気をつける必要がある。

法人が銀行と付き合うポイントについて

企業経営を行っていると銀行との付き合いは絶対にしなければならない。決済手段がないと他の会社と取引ができないからだ。また、融資を受ける必要もあるからだろう。

このように、法人が銀行と付き合うメリットはたくさんあるが、やはり法人も銀行と付き合うには気をつけるべきことがある。

なぜなら、法人にも資産運用の提案を銀行がしてくるからだ。法律で禁止されているが、融資をちらつかせ法人の資産運用を提案してくる銀行も残念ながらある。

個人のところでも説明したが、銀行で販売している商品は手数料が非常に高いため購入すべきではない。では、どうすれば融資をちらつかせてもきっぱりと資産運用の提案を断ることができるのでだろうか。

それは複数の銀行と付き合いをしておくことに尽きる。最低3行程度と付き合いがあれば、仮に1つの銀行が融資の提案を資産運用と抱き合わせで提案してきても、きっぱりと断ることができるはずだ。

このように、複数の銀行と付き合いを持つことで自身と自身の会社を守ることにつながりますのでぜひ実践してほしい。

ただし、いうまでもないことだが銀行と対等以上に付き合うためには財務諸表のブラッシュアップが必要だ。日々の業務に集中し、財務諸表を磨き上げる努力は欠かせないようにしてほしい。

まとめ

今回は銀行との付き合い方について説明した。以前は銀行業務といえば預金と融資業務が主だったが、最近では資産運用業務に力を入れている銀行が非常に増えている。銀行の取り扱っている商品は、総じて手数料が高いため、おすすめできないのが現状だ。

今回の記事を参考にして、銀行と適度な距離を持ち良い関係を築いていただければ幸いだ。

文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)

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