新年の幕開けセレモニーとして欠かすことができない初詣。しかし、ごったがえす人、人、人…。
「藁の馬」で願いが叶った
山口県防府市の住宅地の一角、かつて周防国の政治の中枢が置かれた国衙の近くに、「馬神様」と呼ばれる小さな社がひっそりと鎮座している。
正式名称は「石大人社(いしうどのやしろ)」。大きな鳥居や社殿を構える有名な神社ではない。だからこそ、この場所には現代の観光地にはない土地に根差した信仰の原風景が残っている。
この社が「馬神様」と呼ばれる由来は江戸時代にさかのぼる。敷地内に設置されている案内看板によると、寛政年間の1793年に、この一帯で咳や体の痛みなどの病が流行した際に、人々が一寸法師のモデルとも言われる少名彦命(すくなしこのみこと)を祀った社に藁(わら)で作った馬を供えたところ病が鎮まったという。
以来、この「藁の馬」が信仰の象徴となり、人々は親しみを込めて「馬神様」と呼ぶようになった。馬そのものを神として祀るのではなく、祈りの形として馬を捧げるというのも、いかにも民間信仰らしい。
祈願すれば病気快癒(かいゆ)以外にも、「筋の神様」とも呼ばれ、男性機能の向上や夫婦和合にも効果があるとの言い伝えも。
社の前に立つと、いかにも小さい。全国どこにでもある「街の片隅にある祠(ほこら)」だ。しかし、江戸時代の伝承が残っていることからも分かるように、この社には歴史的な価値がある。小粒ながらも、霊験あらたかな神社と言えるだろう。
周囲は古代ロマンを感じる「歴史地区」
「馬神様」は数分でお参りが終わるこじんまりした神社なので、参拝後は周囲の史跡をそぞろ歩きすることをおすすめする。徒歩圏に律令制時代の地方行政施設だった「周防国衙」の跡地がある。
国衙は全国の律令国府に置かれたが、多くは平安末期から鎌倉前期にかけて消滅し、かつての所在地が特定できないケースも多い。しかし、周防国衙は1186年に東大寺造営料国となったことから、比較的良好な状態で原型が保たれてきた、全国的にも貴重な遺跡だ。
同じく律令制時代の史跡である「周防国分寺」も徒歩圏にあり、全国の律令国に置かれた国分寺では古代の創建期から現在まで寺域が同じ規模で残り、創建期の金堂を踏襲して大規模な金堂が残る点で全国の国分寺でも珍しい存在だ。
国衙、国分寺と古代から続く史跡に囲まれた「馬神様」。権力者の歴史を彩った国衙や国分寺とは違う、名もなき人々の日常の不安や願いを受け止めてきた「小さな聖域」だ。
注意したいのは「馬神様」の周囲には駐車場がないこと。周防国分寺周辺の有料駐車場を利用することをおすすめする。周防国分寺から徒歩約10分。案内標識はあるが、小さくて見逃してしまいがち。スマートフォンの地図アプリを利用するか、地元の人に尋ねれば、迷わなくて済む。
JR防府駅から徒歩26分、タクシー5分。住所は山口県防府市国衙2-4-49。最寄りの新幹線駅 新山口駅までJR山陽本線の普通電車で17分。
3回にわたって「馬」にまつわる全国の神社を紹介してきた。皆さんと「馬が合う」神社が見つかっただろうか?初詣で心機一転、「生き馬の目を抜く」ビジネスの世界で駆け抜けることを、心からお祈りする。
文・写真:糸永正行編集委員
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