
「肉のハナマサ」「生鮮館」などのスーパー事業を展開するJMホールディングス<3539>は、今後4年間(2026年7月期~2029年7月期)に、既存事業の強化や新規事業につながるM&Aを積極的に検討する方針を打ち出した。
すでに同社は2020年代に入り、2010年代と並ぶ5件のM&Aを実施しており、今後はさらにM&Aが加速することになりそうだ。
食品メーカーを傘下に
M&Aを検討している業種は、主力のスーパーマーケットをはじめ、青果店、鮮魚店、惣菜店、精肉店のほか、食品メーカーや、食肉に関わる外食店などで、これら企業や事業を傘下に収めることで一段の業容拡大を目指すという。
また同社ではグループの強みや資産を活用した事業の多角化を狙いに、ハム、ソーセージなどの加工や、冷凍スライス肉加工を自社で行うために、食品製造事業への参入を検討しており、この取り組みの中でM&Aを活用する可能性もある。
同社の最初のM&Aは2003年に実施した青果の黒田青果の子会社化で、その後2004年に鮮魚の兼高を、2006年に惣菜のそうざい男しゃくを次々に子会社化し、2000年代は3件のM&Aを実施した。
2010年代は2013年のスーパーマーケットの花正の子会社化を手始めに、2017年にイベント関連事業のAATJや、レジ業務請負のアクティブマーケティングシステムを子会社化するなど5件のM&Aで事業領域を拡大。
さらに2020年に入ってM&Aを加速し、2021年の商業施設運営管理のニコモールの子会社化から始まり、2024年のフライフィッシュからスーパー玉出8店舗の譲受まで5件を実施。これまでのM&A件数は合計13件に達する。
こうしたM&Aなどにより、現在は精肉、青果、鮮魚、惣菜などの食品販売をはじめ、外食事業や、肉フェスなどのイベント、レジ業務のアウトソーシング、施設運営管理など多岐に渡る事業を営んでいる。
今後は、これに食品製造事業が加わることなる。

スーパーの売上高、3年連続で前年実績越えに
全国スーパーマーケット協会がまとめた「2025年版スーパーマーケット白書」によると、2024年のスーパーマーケットの売上高は、全店ベースで3年連続、既存店ベースでは2年連続の前年実績越えとなった。
帝国データバンクが2025年7月に公表した「スーパーマーケット業界の動向と展望」によると、2025年度も「販売額の増加基調が続く見通し」という。
ただ、物価高や人件費の上昇、先行き不透明な経済状況などが消費マインドを低下させることが見込めるため、同バンクではこうした状況が「各社の経営に影響を与える」と分析する。
さらに将来は、少子高齢化の進展に伴い、スーパーマーケット市場の縮小や、これに伴う中小スーパーの業績の低迷や、これらスーパーを対象にしたM&Aの増加なども予想される。
JMホールディングスも3期連続の増収営業増益
JMホールディングスは1945年に食肉の小売り、卸売りを目的に茨城県で創業した丸八肉店が前身。1978年にジャパンミート(現 JMホールディングス)を設立し、卸売店舗を出店。
1984年に惣菜の製造販売を目的にジャパンデリカを設立したあと、1997年にジャパンデリカの事業目的を外食事業に業態転換し、「焼肉や漫遊亭」を開業するなど業容を拡大していった。
2025年7月期は、スーパー事業や外食事業が堅調に推移した結果、売上高は1862億700万円(前年度比8.1%増)と過去最高を更新。営業利益も100億4800万円(同9.8%増)と2ケタ近い増加となり、2022年7月期以来、3期連続の増収営業増益となった。
2029年7月期は、M&Aをはじめ既存店の活性化や、新規出店などを積極化し、売上高2500億円(2025年7月期比34.2%増)、営業利益150億円(同49.2%増)を目指す計画だ。
M&Aなどを活用した多角化による成長を目指すJMホールディングスの業績は、果たしてそのシナリオ通りに伸びていくだろうか。

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文:M&A Online記者 松本亮一
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