
カメラ販売や写真プリント、スタジオ撮影などを展開するキタムラ・ホールディングス(HD、東京都新宿区)は、メガネ専門店「ビジョンメガネ」などを展開するE2ケアホールディングス(HD、大阪市)を子会社化する。
キタムラ・HDは、2023年3月に東京証券取引所プライム市場への上場が承認されたあと、同月に上場に伴う募集株式の発行と株式の売出を中止しており、現在は上場手続き再開待ちの状態にある。
株式市場の動向が手続き再開を左右
キタムラ・ホールディングスは、1934年に高知市で「キタムラ写真機店」(現 カメラのキタムラ堺町店)として創業したのが前身。
1970年にキタムラに社名を変更し、2005年に東京証券取引所市場第二部に株式を上場した。
写真プリントの需要の減少や、2016年4月の熊本地震の影響によるデジタルカメラなどの減産の影響を受けて2017年3月期に赤字に転落。
経営再建のため、2017年に「TSUTAYA」などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を引受先とする第三者割当増資と株式譲渡により、CCCの持分法適用関連会社となったあと、翌2018年にTOB(株式公開買い付け)でCCCの子会社となり、東京証券取引所市場第二部を上場廃止となった。
その後、CCCグループが経営方針を転換し、キタムラの持株比率を引き下げ、持分法適用関連会社としたことから、資金や人材の確保を目的に再上場を計画。
2023年3月には東京証券取引所プライム市場への上場が承認されたものの、同月に「最近の株式市場の動向等諸般の事情を総合的に勘案した」との理由で、上場に伴う募集株式の発行と株式の売出を中止した。
上場手続きの再開時期については「株式市場の動向などを見極めたうえで、総合的に判断する」としており、現時点で上場は実現していない。

強みを活かした店舗や新たな業態の開発などを推進
キタムラ・HDは、カメラ販売、写真プリント、スタジオ撮影などのフォトビジネスを幅広く手がけているのが特徴で、2023年に公表した新規上場申請のための有価証券報告書によると、2022年3月期の売上高は998億2600万円(前年度比0.1%増)、経常利益は48億8100万円(同39.5%増)だった。
一方のE2ケアHDは、関西地域密着型の「ビジョンメガネ」や、東北、信越地域密着型の「弐萬圓堂」、ファッション性や個性を重視したメガネなどを取り扱う都市型の「POKER FACE」の三つのブランドで狙いの地域や顧客層をカバーしているのが特徴。
キタムラ・HDによると「高い技術力と深い知識を持って地域の顧客に寄り添い、社会に貢献し続けたいという思いを持つ両社の意向が合致」し、子会社化が実現したという。
今後は、両社グループの強みや特徴を活かした店舗や、新たな業態の開発、商品サービスの拡充を進めるとしている。
成長戦略に必要な人材と資金を確保
キタムラ・HDが上場手続きを中止した2023年当時の新規上場数は、日本取引所グループによると、東京証券取引所のプライム、スタンダード、グロース、TOKYO PRO Marketを合わせて120だった。
翌2024年は130で、2025年は7月までで53となっている。2023年は7月までに65で、2024年は7月まで71だったことをからすると、2023年当時と現在ではIPOの数を見る限り、状況は大きくは変わっていないと見ることができる。
新規上場申請のための有価証券報告書では、成長戦略遂行のために必要な人材の獲得と資金調達力の強化を、上場の目的としていた。
M&Aには資金が必要であり、新たな業態の開発や商品サービスの拡充などの今後の展開には人材も必要となる。M&Aが再上場手続きの再開に何らかの前向きに影響を与えることが予想される。
キタムラ・HDは次にどのような手を打つのだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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