【京都中央信用金庫】“信金王国”のトップランナー|ご当地銀行のM&A

京都府の地域金融としては地銀の京都銀行がある。ほかは京都中央信用金庫、京都信用金庫、京都北都信用金庫(宮津市)などの信金勢であり、京都はこれまで“信金王国”と呼ばれてきた。

その中でも預金高・貸付高などで一歩抜きん出ているのが京都中央信用金庫(京都中信)だ。2025年7月時点で、預金高は5兆4056億円、貸付高は3兆4155億円。京都府を中心に、滋賀県・大阪府・奈良県に計135店舗を擁する(同金庫ホームページより)。

5兆円規模の預金高、3兆円規模の貸付高となると、各県の県庁所在地に本店を置く地銀並み、もちろん信金業界では全国トップに位置する。

着実なM&Aで営業エリアを拡大

信用金庫は協同組織(組合)の金融の一翼を担う金融機関である。京都が信金王国といわれてきたのは、長い間、1941年に京都銀行が設立されるまで京都市内に本店を置く地方銀行がなく、各信用金庫が地域密着性をより重視し、顧客確保に動いてきたからだ。

京都中信は1940(昭和15)年6月、京都市中央市場信用組合として創立した。地元の基幹産業界が中心となって、地域金融を支えてきた。1951年4月には京都中央信用組合に名称変更し、同年6月の信用金庫法施行に伴い、10月に京都中央信用金庫に改組した。

京都中央信用金庫となって以降、いくつかのM&Aを実施している。1971年3月には西京都信用金庫を吸収合併した。さらに2001年1月には京都みやこ信用金庫、南京都信用金庫の事業を譲り受けた。

京都みやこ信用金庫、南京都信用金庫の両金庫は、いずれも80年以上の歴史ある信用金庫だった。

だが、大口融資と不動産融資への依存が経営を圧迫し、2000年1月に破綻した。その“受け皿金庫”になった格好だ。

府内一円、隣県に規模を拡大

着実なM&Aによって、京都中央信金は“預金規模”を3兆円、4兆円へと拡大し、“貸出金規模”も拡大していった。

営業地区も京都市から京都府一円、隣県に拡張した。隣県への営業地区の拡大は、市内・府内の地域密着を基盤とする信用金庫の域を超え、地方銀行の様相を呈していた。

1988年5月には滋賀県草津市に拡張し、1991年1月に滋賀県初の石山支店を開設。以降、滋賀県で営業地区を広げ、2006年10月には滋賀県大津市全域に拡張していった。

京都府内に関しては、1992年5月に八木町や園部町に営業地区を広げ、さらに丹波地方など京都府北部方面に営業地域を拡張していく。なお、名勝天橋立や伊根の集落があり若狭に近い宮津市には、日本で3番目に古いとされる京都北都信用金庫がある。

奈良県や大阪府に関しては、1996年5月に進出を始めた。奈良県では10年後の2006年10月には奈良市や生駒市全域にも営業地区を拡張している。同時期に大阪府では摂津市、寝屋川市へ拡張し、その後2022年9月には吹田市、豊中市、守口市、箕面市、門真市など大阪北部の各市に進出。

2025年3月時点では、市外京都府に34店舗、滋賀県に6店舗、大阪府に10店舗、奈良県に3店舗(いずれも店舗外ATMを除く)を擁している。

京都は信金王国といわれてきたが、それは酒どころ伏見を地盤として創業した伏見信用金庫(のちの京都みやこ信用金庫)、西陣の織物業者の信用組合として創業した西陣信用金庫をはじめ、大小の信用金庫がそれぞれの地域産業に密着していたからだ。

現在、京都市内に本店を置くのは、京都中央信用金庫と京都信用金庫の2金庫。大手行や隣県地銀の各支店も、京都市内に営業攻勢をかけている。長らく信金王国といわれ続けたが、その様相は変容してきた。

文・菱田秀則(ライター)

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