2025年1月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月比17件減の82件となり、出足は低調だった。取引総額も5221億円と前年同月の約半分だった。
上場企業の適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

富士通の関連会社売却、非中核事業の選別加速
取引額1位は、ガス機器大手のパロマが持ち株会社を通じて富士通ゼネラルを買収する案件。買収総額は2566億円。パロマは北米を中心に海外事業を展開しており、北米以外にもアジア、欧州に事業を展開する富士通ゼネラルと地域的な補完関係が見込めると判断した。
気候変動対策として、空調機部門に強みを持つ富士通ゼネラルのヒートポンプ技術が省エネ面で注目されている。エアコンと給湯器で共通するこの技術基盤の統合が見込まれるため、買収を通じて次世代製品の開発強化を目指す。両社は、2016年から北米事業での空調製品の相互供給や全館空調方式エアコンの共同開発を進めるなど協業関係にあった。
M&Aの発端は、富士通ゼネラル筆頭株主の富士通。かねて事業の選択と集中を進め、2022年10月に非中核関連会社の新光電気工業や富士通ゼネラル、FDKのカーブアウトを公表していた。
住友ゴム、10年ぶりにダンロップブランド買い戻し
金額2位は住友ゴム工業が約830億円で米グッドイヤーから欧州・北米・オセアニア地域における「ダンロップ」ブランドを取得する案件。これにより既存の事業と連携させ、全社的なブランド戦略の強化を目指す。
住友ゴム工業は英ダンロップの日本法人として1909年に創業し、1980年代に欧米のダンロップ事業を取得して世界展開を図った。グッドイヤーと1999年の業務提携後、2015年の解消時に「ダンロップ」ブランドを分割、今回10年ぶりに買い戻すことになった。
航空機内装のジャムコ、ベインのTOBで経営再建
金額3位はベインキャピタルが航空機内装のジャムコをTOBで非公開化する案件。
ベインキャピタルのグローバルな人材ネットワークや経営ノウハウを活用し、財務基盤の立て直しと収益性の改善を図る。これにより現在の航空需要回復に十分対応できない現状を改善し、航空機内装品事業の深化や整備・機器製造事業の安定成長を目指す。
◎1月取引金額上位10件
1富士通ゼネラルガス機器大手のパロマ、持ち株会社を通じて富士通ゼネラルを買収2566億円2住友ゴム工業米グッドイヤーから欧米・オセアニアでの「ダンロップ」ブランドを取得830億円3ジャムコ米ベインキャピタルからのTOBを受け入れ451億円4大東建託不動産開発事業のアスコットをTOBで子会社化351億円5シーアールイー三井住友ファイナンス&リース、シーアールイーをTOBで子会社化217億円6ニッコンホールディングストヨタ自動車系梱包材メーカーの中央紙器工業をTOBで子会社化189億円7アマダカナデビア傘下でプレス機械メーカーのエイチアンドエフを子会社化177億円8SBIホールディングス銀行プラットフォーム運営のドイツSolarisを子会社化113億円9ジーエフシーMBOで株式を非公開化81億円10タカラバイオ塩基配列解析用試薬メーカーの米国Curio Bioscienceを買収63億円『ダイヤモンドMOOK M&A年鑑2025』を100名様にプレゼント
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