【9月M&Aサマリー】件数・金額ともに高水準、年間総額は9月時点で過去最高を更新

2025年10月02日(木)16:36

【9月M&Aサマリー】件数・金額ともに高水準、年間総額は9月時点で過去最高を更新

2025年9月のM＆A件数（適時開示ベース）は前年同月比17件増の132件、取引総額は8423億円で前年同月比11.7%増となった。件数は9月として過去最多を記録し、金額も高水準で推移した。

この結果、2025年の累計取引総額は15兆4555億円に達し、9月の時点で、集計を開始した2008年以来の年間過去最高額（2018年の13兆8437億円）を更新した。上場企業の適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM＆A（グループ内再編は除く）について、M＆A Onlineが集計した。

件数は9月単月で過去最多

2025年9月のM＆A件数は132件となり、前年同月の115件から14.8%増加した。これは9月としては、統計開始以来で最も多い件数となる。前月（2025年8月）の111件と比較しても18.9%の増加となり、活発なM＆A市場が続いていることを示している。

取引総額は8423億円となり、前年同月の7538億円から11.7%増加した。

特筆すべきは、2025年の累計取引総額が9月末時点で15兆8585億円に達したことだ。これは、これまで年間で過去最高だった2018年の13兆8437億円を3四半期で上回る記録的なペースだ。6月の豊田自動織機＜6201＞のTOB（4兆6840億円）や3月のソフトバンクグループ＜9984＞による米アンペア・コンピューティング買収（9730億円）といった超大型案件が、全体の金額を大きく押し上げた形だ。

金額上位にMBO、事業再編の案件

9月のM＆A市場では、経営陣が参加するMBO（マネジメント・バイアウト）や、大手企業グループによる事業再編に関連する案件が金額の上位を占めた。

1位：パラマウントベッドホールディングス＜7817＞、MBOで株式を非公開化（1384億円）医療・介護用ベッドで国内首位のパラマウントベッドホールディングスのMBOが発表された。買付主体となるのは現社長の木村友彦氏が代表を務めるTMKR（東京都江東区）。非上場化により、短期的な業績変動にとらわれず、海外展開や新規事業への投資といった中長期的な成長戦略を迅速に進めることを目指す。

2位：日本産業パートナーズ、三菱重工業＜7011＞子会社の三菱ロジスネクスト＜7105＞をTOBで非公開化（1330億円） 投資ファンドの日本産業パートナーズが、三菱重工業の子会社でフォークリフト大手の三菱ロジスネクストをTOB（株式公開買い付け）により非公開化する。

三菱重工業はグループの事業ポートフォリオ見直しを進めており、今回のTOB後も一定の株式を保有し、協業関係は維持する方針だ。

3位：三菱電機＜6503＞、セキュリティーソリューション提供の米国Nozomi Networksを子会社化（1304億円） 三菱電機は、工場や重要インフラの制御システムをサイバー攻撃から守るOT（Operational Technology）セキュリティ分野を強化するため、同分野で高い技術力を持つ米国のNozomi Networksを子会社化する。デジタル化が進む製造業において、高まるセキュリティリスクへの対応力を強化する狙いがある。