「マリコン」が建設M&Aの主戦場に! 清水建設はおあみ建設、麻生は若築建設を子会社化

マリコンと呼ばれる海洋土木会社をターゲットとするM&Aが活発化している。ゼネコン(総合建設会社)大手の清水建設がマリコン中堅のあおみ建設(東京都中央区)の買収を発表。

マリコン4位の若築建設に対しては九州の有力企業グループ、麻生(福岡県飯塚市)がTOB(株式公開買い付け)を行い、子会社化する運びとなった。

マリコンをめぐっては昨年、業界3位につける東洋建設がゼネコン大手の大成建設に買収された一件が記憶に新しいが、今や「建設M&A」の主戦場と化した感がある。

清水建設、250億円で子会社化

マリコンとは港湾・護岸、埋め立て・人工島、海底、浚渫(しゅんせつ=水底にたまった土砂を専用の船で掘削・除去する工事)などの海洋土木分野を主力とする建設会社のこと。別名、「海のゼネコン」とも呼ばれる。

清水建設があおみ建設の買収を発表したのは1月末。6月下旬までに2回に分けて行われる第三者割当増資を総額250億円で引き受け、あおみ建設を完全子会社化する(この間、あおみ建設は自己株式取得と消却を実施)。

海洋土木の専門性やノウハウを取り込み、国策として今後市場の成長が期待される洋上風力発電の施設建設需要に対応するのが狙いだ。

あおみ建設は売上高314億円、営業利益13億6300万円、純資産272億円(2025年3月期)。100年を超える業歴を持ち、海洋土木はもとより港湾施設の建設で実績を積んできたが、バブル崩壊後の苦難を経て今日に至る。

あおみ建設は2008年に合併で誕生

実は、あおみ建設はかつての上場会社。2008年、当時東証1部上場だった佐伯建設工業と、ジャスダック上場の国土総合建設が合併し、あおみ建設が誕生した。

ところが翌2009年、資金繰りの悪化に伴い約400億円の負債を抱えて経営破綻し、東証1部への上場が廃止となった。2012年、会社更生手続きが終結し、新生・あおみ建設としたスタートした。

清水建設はここ数年、M&Aにアクセルを踏み込んでいる。

2023年、北海道の地場ゼネコンである丸彦渡辺建設(札幌市)を子会社化した。北海道新幹線の全線開通などを見据えたとみられる。

昨年は、上場子会社で道路舗装大手の日本道路を完全子会社化した。持ち分法適用関連会社だった日本道路を2022年に子会社化した際とあわせて2度のTOBに約770億円を投じた。

マリコン3位の東洋建設、大成建設の傘下に

マリコンは五洋建設、東亜建設工業、東洋建設、若築建設の順で大手4社を形成する。このうち3位の東洋建設は昨年12月、大成建設の完全子会社となり、東証プライム上場を廃止した。TOBなどでの買収総額は1600億円に上り、建設業界で過去最大のM&Aとなった。

大成建設は海洋土木大手を傘下に取り込み、洋上風力発電関連工事などで幅広い連携を進めるとともに、陸上土木とあわせて土木分野の事業基盤をフルラインで強化する。

とりわけ東洋建設については2022年から23年にかけて、前田建設工業を中核とするインフロニア・ホールディングスと、任天堂創業家の資産運用会社であるヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)が買収を争ったことが思い出されるように、再編の火種がくすぶっていた。

「マリコン」が建設M&Aの主戦場に! 清水建設はおあみ建設、麻生は若築建設を子会社化
大成建設の本社が入るビル(東京・西新宿)

若築建設には麻生がTOB開始

マリコン大手の再編のうねりは今年に入り、さらに広がりを見せた。麻生は傘下企業を通じて2月13日、若築建設へのTOBを始めた。8.42%の株式を追加取得し、現在42.63%の持ち株比率を51.05%に引き上げて若築建設を子会社化する。

麻生は九州を地盤にセメント事業や建設事業、病院経営などを多角的に展開する企業グループ。建設事業では現在、日特建設(東証プライム)、大豊建設(東証スタンダード)の2社を上場子会社として抱える。

北九州市を発祥の地とする若築建設の株式については2019年から取得に乗り出し、筆頭株主に躍り出ていたが、さらに持ち株比率を引き上げて子会社化するのか、その出方がかねて注目されていた。ただし、子会社化後も若築建設の東証プライム上場は維持される見通し。

五洋、東亜建設の残る大手2社は?

マリコン大手4社では下位の東洋建設、若築建設が他社の傘下に入り、自主独立の旗を降ろす格好となった。

最大手の五洋建設は洋上風力発電用の風車の建設などに使われる大型の専用船を鹿島などと完成させるなどゼネコンとの連携を進めている。

また、2位の東亜建設工業では、物言う株主として知られる旧村上ファンド系投資会社による株式保有比率が2023年初めのピーク時に14%を超え、これが配当性向40%以上といった株主還元策の充実を促す契機にもなった。

文:M&A Online

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