総合商社の「丸紅」整理局面を越え攻めに転換か 化粧品会社買収で消費者向け事業を成⻑の軸に

総合商社の丸紅<8002>は2026年1月に、子会社の丸紅コンシューマープラットフォーム(東京都千代田区)を通じて、低刺激、敏感肌向け化粧品の企画・製造・販売を手がける化粧品会社のエトヴォス(大阪市)を子会社化した。

同社は、低成⻑・低資本効率の事業について、売却や事業整理を通じて資本を回収し、事業ポートフォリオの入れ替えを進めてきた。

このため、近年は譲渡案件が先行していた。

こうした整理が進んだことで、成⻑領域への投資に踏み出しやすい環境が整いつつある。

エトヴォスの子会社化は、こうした流れの中で実施された攻めの案件として位置付けられそうだ。

低収益事業を回収、ポートフォリオ整理

丸紅は2030年度に向け、低成長・低資本効率の事業を資本の回収対象と位置付け、事業ポートフォリオの入れ替えを進める方針を示している。

ROIC(投下資本利益率)の低い事業を見直し、成長領域×高付加価値×拡張性を兼ね備えた戦略プラットフォーム型事業に重点投資する。

2026年3月期から2028年3月期までの3年間では、戦略プラットフォーム型事業への成長投資として1兆7000億円を充てる一方、低成長・低資本効率事業からは6000億円の回収を見込む。

収益性の低い事業から資本を抜き、高い成長性と収益性が見込める事業に再配分することで、2025年3月期に7%だった石油、ガスなどを除く非資源部門のROICを2028年3月期に10%に引き上げる計画だ。

資本効率を重視する経営への要請が強まる中、売上高や営業利益に年度ごとの変動が見られることも、ROICを意識した事業ポートフォリオ転換を進める背景の一つになっているとみられる。

総合商社の「丸紅」整理局面を越え攻めに転換か 化粧品会社買収で消費者向け事業を成⻑の軸に
丸紅の業績推移

最近のM&Aの実績には、事業構成見直しの方針が反映されている。

2020年以降に適時開示された丸紅にかかわるM&Aは14件あり、このうち9件は譲渡案件だった。

2021年には英領北海油ガス田群を保有する英国子会社Marubeni Oil & Gasを売却したほか、2022年には傘下の米穀物大手ガビロンを再編し、カナダ同業大手バイテラに譲渡。

2023年にはレジロール用記録紙大手の丸紅オフィス・サプライを手放すなど、事業の整理を継続してきた。

2025年には、丸紅I-DIGIOホールディングスのMVNO新設会社、産業機械・建機レンタルのベトナムMaxRent Vietnam、医療機器・医療用システム専門商社のクレアボ・テクノロジーズの計3社について、株式を売却した。

これらの実績は、資本の回収を伴う事業整理を進め、事業ポートフォリオの入れ替えを進めてきた姿勢を示すものといえそうだ。

総合商社の「丸紅」整理局面を越え攻めに転換か 化粧品会社買収で消費者向け事業を成⻑の軸に
2020年以降に適時開示された丸紅関連のM&A

資本効率重視の下で成⻑投資へ

丸紅は2022年に次世代コーポレートディベロップメント部門を設立し、消費者向けビジネスへの投資やM&Aを通じて、2030年度までに新たな収益の柱となる事業の育成を進めている。

丸紅コンシューマープラットフォームは、消費者向けビジネスへの投資や事業運営を担う会社として、次世代コーポレートディベロップメント部門の傘下に2025年に設立された。エトヴォスの子会社化は、同社として初の投資案件となる。

エトヴォスは2007年の創業で、肌に本来備わる力を高めるスキンケアと、肌に負担をかけないミネラルメイクの融合を掲げ、日本発のスキンケア・コスメブランドとして事業展開してきた。

同社では「ビューティー&ヘルス領域で強固な事業プラットフォーム構築を目指す丸紅グループの傘下に入ることで、急速な事業拡大が可能になる」としている。

今後、丸紅のグローバルなネットワークや経営資源を活用し、商品開発力の強化や販売チャネルの拡大などを進める計画だ。

エトヴォスの子会社化は、資本効率を重視する方針の下で事業の入れ替えを進めてきた丸紅が、成⻑領域へのM&Aを通じて新たな収益基盤の構築を進める局面に入りつつあることを示す案件の一つといえそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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