デジタル広告の「マイクロアド」実店舗領域に事業拡張 台湾社買収で加速

デジタル広告事業を展開するマイクロアド<9553>が、広告やマーケティング支援にとどまらず商品販売や店舗運営などの販売領域へ事業を広げている。

同社は2026年3月3日、台湾や香港で、店舗運営代行や輸出入代行など手がけるPAL FILLER(パルフィラー/台北市)を傘下に収めた。

これまでのM&Aはインドネシアや中国の広告代理店、台湾の訪日観光SNSメディアなどオンライン広告やデジタルマーケティング領域が中心だった。

同社は2025年2月に新規事業として海外消費者向けの物販事業に乗り出しており、今後、同様のM&Aが続く可能性がありそうだ。

オンライン中心から実店舗の活用に

PAL FILLERは、日本企業の店舗運営にかかわる、採用から売り上げ管理までのマネジメント業務の一括受託をはじめ、百貨店などでのポップアップストア(期間限定店舗)の企画・設計・運営、さらには展示会出展代行や輸出入代行などを展開している。

現地の主要百貨店などの大型商業施設とのネットワークが強みで、有利な出店場所の確保から販売戦略の立案まで、ブランドの総代理店事業を手がける。

マイクロアドは2025年2月に、海外消費者向けに日本の人気VTuberなどのIP(知的財産)と、メーカーの商品とのタイアップ企画から販売までを行う子会社IP mixer(東京都渋谷区)を設立し、新規事業として海外消費者向けの物販事業に乗り出した。

今回のPAL FILLERの買収は、このIP mixerが実施した。

PAL FILLERを傘下に収めたことにより、IP mixerが手がけるIP商品の実店舗でのオフライン展開を推進・強化するとともに、マイクロアドの台湾子会社であるマイクロアド台湾と連携した日本企業の海外進出支援、ブランド総代理業を展開する。

マイクロアドのこれまでのM&Aはオンライン領域が中心で、2025年12月にインドネシアの広告代理店Mahakarya Adi Indonesia(マハカルヤ・アディ・インドネシア)と、中国の広告代理店の微告(上海)を子会社化した。

さらにマイクロアド台湾が、訪日観光SNSメディア「IKIDANE」の事業(取得後自社メディアJapaholic EN<ジャパホリック英語版>に統合)を取得している。

今回のPAL FILLERの取り込みにより、オンライン中心だった同社のM&Aは実店舗を活用した販売・プロモーション領域にも広がることになる。

デジタル広告の「マイクロアド」実店舗領域に事業拡張 台湾社買収で加速
マイクロアドの主なM&A

データプラットフォームを武器に成長

マイクロアドは2007年に設立され、データ分析を活用した広告配信やマーケティング支援を主力事業として成長してきた。

現在は売上高の44.6%を占めるデータプロダクトサービス(データプラットフォーム「UNIVERSE」を活用したデジタル広告など)と、同55.4%のコンサルティングサービス(企業のデジタルマーケティングの支援など)の二つの事業で構成する。

デジタル広告の「マイクロアド」実店舗領域に事業拡張 台湾社買収で加速
マイクロアドの売上高構成比

外部から仕入れたデータを用いて消費者の行動特性をとらえ、その行動データに基づいた広告配信を行う「UNIVERSE」を活用したマーケティング支援に強みを持つ。

2025年9月期は売上高156億7000万円(前年度比14.3%増)、営業利益6億1300万円(同99.4%増)となった。

「UNIVERSE」の利用企業が増えたことや、海外消費者向けの物販事業を開始したことなどにより売上高が拡大するとともに、営業利益も大きく伸びた。

2026年9月期は、売上高174億4400万円(同11.3%増)、営業利益8億1500万円(同33.0%増)の増収営業増益を見込む。

「UNIVERSE」で他社プラットフォームとのデータ接続が可能になり、新規顧客の獲得が進むほか、物販の売上高拡大を予想する。

業績が拡大する中、IPを活用した物販事業への進出や今回のPAL FILLERの取り込みにより、マーケティング支援にとどまらず商品企画から販売までを手がける事業構成が形になりつつある。

文:M&A Online記者 松本亮一

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