「三菱電機」欧州の昇降機会社を買収 ビルシステム事業強化へM&A加速

電機大手の三菱電機<6503>は2026年3月、アイルランドの昇降機会社Infinity Lifts Limited(インフィニティ リフツ)の全株式取得に向けた株式譲渡契約を締結し、2026年上期中に子会社化する。

保守・リニューアル事業の拡大を進めている欧州地域戦略の一環で、アイルランドでは2件目、欧州では5件目のM&Aとなる。

同社では「欧州各国で最適な体制構築を進めることで、グローバルでの昇降機事業のさらなる成長を目指す」としており、今後も欧州でのM&Aは続きそうだ。

ワンストップ対応体制を構築

インフィニティ リフツは2019年から代理店として三菱電機製昇降機の販売・据え付け・保守を手がけるほか、複数ブランドの製品も取り扱い、高い技術力とアイルランド国内での広範な販売網を持つ。

今回の買収は、2025年に実施したアイルランドのAscension Lifts Limited(アセンション リフツ)に続くもの。

三菱電機製品に精通するインフィニティ リフツの知見と、アセンション リフツが持つ他社製品の据え付け・保守技術、首都ダブリンの顧客基盤を合わせることで、メーカーを問わないあらゆるニーズにワンストップで応える体制を構築する。

これにより、アイルランドでの事業基盤を強化し、欧州全体での昇降機事業の拡大を進める。

欧州で5社目の買収

三菱電機はビルシステム事業を重点成長事業と位置付ける。

子会社の三菱電機ビルソリューションズを通じて、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機を中心に、空調・冷熱機器、ビルシステムまで、開発・製造・保守・リニューアルを一貫して手がける。

欧州の昇降機市場では、設備の老朽化や環境対応の需要を背景に、保守・リニューアル領域の拡大が続く。

こうした中、同社は2022年のスウェーデンのMotum AB(モートム)の買収を機に、M&Aによって保守・リニューアル事業の強化に取り組んできた。

今回のM&Aは、2023年のノルウェーのUNIHEIS AS(ユニハイス)、2024年の同国のALT Heis AS(アルト ハイス)、2025年のアセンション リフツに続くもので、欧州全体では5件目となる。

買収を通じて保守・リニューアル体制を拡充し、欧州での事業基盤の強化を進める。

ライフ部門が売上高の約40%

三菱電機の2025年3月期は、売上高5兆5217億1100万円(前年度比5.0%増)、営業利益3918億5000万円(同19.3%増)の増収営業増益だった。

事業は幅広く、ビルシステム事業を含むライフ部門(ビルシステム、空調・家電など)は売上高の39.2%を占める。

インフラ部門(発電プラント用監視・制御システム、鉄道車両システム、防衛・宇宙システムなど)が同21.9%、インダストリー・モビリティ部門(FAシステム、自動車機器など)が同29.5%を占め、これら3部門で全体の90%超を構成する。

このほかにビジネス・プラットフォーム部門(情報システム・サービスなど)の同1.5%、セミコンダクター・デバイス(パワー半導体、高周波デバイスなど)の同4.7%、その他部門(資材調達、不動産など)の同3.2%となっている。

「三菱電機」欧州の昇降機会社を買収 ビルシステム事業強化へM&A加速
三菱電機の売上高構成比

M&Aに関しては、直近では2026年3月に、三菱電機、ローム、東芝との3社で、電気自動車(EV)やデータセンター向け電力制御に用いるパワー半導体事業の統合に向けた協議開始で基本合意した。統合が実現すれば、同分野で世界シェア第2位の陣営となる。

パワー半導体など他分野での動きが進む中、欧州では相次ぐ買収により、保守・リニューアルを軸とした収益基盤の強化が一段と進む見通しだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

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