エネルギー事業中堅の「ミツウロコグループホールディングス」新興のアクセサリーブランドを子会社化

LPガスや灯油、電力などのエネルギー関連事業を手がける中堅のミツウロコグループホールディングス<8131>のM&A戦略に、変化の兆しがみえ始めた。

同社は2026年1月20日に、創立4年のアクセサリーブランド「GLUCK(グルック)」を展開するグルックを子会社化した。

これまでのM&Aは、地域密着型事業や既存事業の拡充を狙いとした案件が中心だったが、今回は、既存のエネルギー事業とは性格の異なる新興ブランドの取り込みとなる。

M&Aの射程が広がる可能性を示す動きといえそうだ。

新興ブランド「GLUCK」を子会社化

ミツウロコグループホールディングスは、中核事業で高い収益力を持つLPガスについて、災害時に強い分散型エネルギーとして一定の収益力を維持できるとみる一方、人口減少を背景に大幅な市場拡大は見込みにくいと分析する。

あわせて、灯油などの石油製品の需要も減少傾向にあるとみる。

こうした環境を踏まえ、事業コストの削減を進めるとともに、次世代の中核となる事業の開拓や収益力の拡大に軸足を移す方針だ。

子会社化したグルックは2021年に福岡で創業したベンチャーで、EC(電子商取引)やポップアップの活用など、柔軟な商品企画力を強みに成長してきた。

ミツウロコグループは2026年5月に創立100周年を迎えることから、次の100年に向けた挑戦を加速する方針を掲げる。

グルックの子会社化について「世代も地域も異なる両社の共創は、ミツウロコグループの挑戦姿勢を象徴する取り組み」としている。

今後、グルックが持つデジタルマーケティング力やブランド運営力、商品開発力を取り込み、EC事業基盤の拡充と顧客体験価値の向上を目指す。

デジタルに強い若いブランドと、100年の歴史を持つ企業グループが交わることで、新たな事業価値の創出につなげる考えだ。

事業基盤強化型だったM&A

ミツウロコグループホールディングスがこれまでに適時開示したM&Aを振り返ると、直近では2021年に各種清涼飲料水を受託製造する静岡ジェイエイフーズを子会社化している。

同社の子会社化によって清涼飲料水市場に参入し、従来から手がけてきたミネラルウォーター事業と合わせ、飲料事業の規模拡大につなげた。

それ以前の企業買収では、2011年にバイオマス発電事業を手がける岩国ウッドパワーを子会社化。風力発電や太陽光発電に加え、バイオマス発電を取り込むことで、電力事業の業務範囲を拡張した。

さらに2016年には、コンビニエンスストアを展開するココストアリテールを子会社化し、事業を拡大している。

これらはいずれも、既存事業の延長線上で事業領域や収益基盤の強化を狙ったM&Aだった。

一方、今回のグルックの子会社化は、将来の成長を見据え、新たな価値創出を志向する点で性格が異なるといえる。

エネルギー事業中堅の「ミツウロコグループホールディングス」新興のアクセサリーブランドを子会社化
ミツグループホールディングスが2010年以降に適時開示したM&A

エネルギー事業を基盤に多角化

ミツウロコグループホールディングスは、1886年に群馬県内でカネイチ運送店を開業したのが始まり。

1892年には不振に陥っていた三鱗運送店の東京支店の経営を引き受け、社名を三鱗社と改めて東京に進出した。

1919年に三鱗石炭を設立し、1926年には三鱗石炭と三井物産が合弁で三鱗煉炭原料を創立した。これが現在のミツウロコグループホールディングスの創立にあたる。

1953年に石油製品とLPガスの取り扱いを開始。その後は、風力発電やエコステーション、天然水販売などへ事業領域を広げ、多角化を進めてきた。

現在の事業構成は、LPガスや石油製品の販売、太陽光発電システムの販売などを手がけるエネルギー事業が売上高の約45.2%を占める。

これに、風力発電や太陽光発電による電力販売を中心とする電力事業が約46.2%を占め、両事業で売上高の90%超に達する。

このほか、飲料や清涼飲料水の販売、売店やカフェテリアの運営などを担うフーズ事業(売上高構成比約6.2%)、不動産関連やスポーツビジネスを含むリビング&ウェルネス事業(同約0.8%)、アジア地域でレンタル収納などを展開する海外事業(同約0.9%)、保険代理店や情報機器販売などのその他事業(同約0.7%)で事業を構成する。

エネルギー事業中堅の「ミツウロコグループホールディングス」新興のアクセサリーブランドを子会社化
ミツウロコグループホールディングスの売上高構成比

こうした状況の中、2025年3月期は売上高3396億5600万円(前年度比9.9%増)、営業利益87億6900万円(同28.9%減)と増収営業減益となった。

主力のエネルギー事業と電力事業はいずれも増収となったが、エネルギー事業では人材や設備への投資費用が増加したほか、電力事業では容量市場への拠出金の影響が加わり、営業減益を余儀なくされた。

2026年3月期は、売上高3670億円(同8.1%増)、営業利益120億円(同36.8%増)を見込む。

電力事業でのユーザー件数の増加や容量市場拠出金の負担減少などを背景に、売上高は2期連続で増加し、営業利益は増益に転じる見通しだ。

こうした業績動向を踏まえると、これまで事業基盤の強化を主眼としてきたM&Aに加え、将来の成長余地を見据えた取り組みへと関心が広がりつつあることを、今回のグルックの子会社化は示している。

今後は、既存事業が生み出す収益を土台に、非エネルギー分野を含めた新たな成長領域への投資が続く可能性がありそうだ。

エネルギー事業中堅の「ミツウロコグループホールディングス」新興のアクセサリーブランドを子会社化
ミツウロコグループホールディングスの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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