外食・フードサービス業界で、M&Aが加速している。
2026年1~3月に適時開示されたM&Aの件数は17件となり、2017年以降の10年間で過去最高だった2025年同期の13件を上回るペースで推移している。
案件の半数近くは、新しいブランドや業態の取り込みによるポートフォリオ(事業構成)の拡充を目的としたものであり、インバウンド(訪日観光客)の獲得や海外展開などを狙ったM&Aも見られる。
中期経営計画でM&Aの積極化を打ち出す企業も多く、コロナ禍で影響を受けた外食業界では、事業拡大とリスク分散に向け、今後も高水準のM&Aが続きそうだ。
ポートフォリオ拡充案件が半数超
2026年1~3月に適時開示されたM&A17件のうち、ポートフォリオの拡充を目的とした案件は半数近いの8件だった。
業態やブランド数の拡大は、顧客のさまざまなニーズに応えることができ、顧客数の増加や事業成長につながることが予想される。
一方、一つの業態への依存度が高い場合、コロナ禍や物価高など消費者行動が変化する際に、影響を受ける可能性がある。幅広い価格帯を展開することに加え、店内飲食だけでなくテイクアウトやデリバリーなどの多様な提供スタイルを持つことは、リスク分散に役立つ。
他にも、経営資源を集中し事業ポートフォリオを最適化するために、外食事業の一部を譲渡した案件もあった。ただ、譲渡先は外食企業であり、譲渡先企業にとってはポートフォリオの拡充につながる取引でもあった。
これを加えるとポートフォリオの拡充を目的とした案件は半数を超える。
このほか、インバウンド(訪日観光客)需要の拡大を踏まえ、高級レストランなどの飲食店を運営する企業が、和食事業を強化する案件や、海外事業の拡大を目標に掲げる企業による海外企業の買収などがあった。
また、地方の私鉄による地場の飲食関連企業の買収や、投資会社による外食企業の買収のほか、飲食企業による再生可能エネルギー、システム会社、植物工場など飲食以外の事業取得も見られた。
ラーメン業界のM&Aに拡大余地
一方、2025年に9件あったラーメン関連のM&Aは、2026年1~3月は1件にとどまった。
「京都北白川ラーメン魁力屋」を展開する魁力屋<5891>によると、ラーメン業界では寡占が進んでおらず、シェア拡大の余地が大きい。
このほか、横浜家系ラーメン「町田商店」を展開するギフトホールディングス<9279>や、濃厚豚骨ラーメン「山岡家」を展開する丸千代山岡家<3399>もM&Aに前向きで、ラーメン業界のM&Aは活発な状態が続くとも予想される。
今後M&Aを計画を表明する企業も少なくない。ラーメンチェーン山小屋を展開するTrailhead Global Holdings<3358>は、M&Aによって飲食のブランド数を増やす方針を中期経営計画に盛り込んだ。多様な味へのニーズ対応や顧客層の拡大、客単価の向上などが狙いで、収益性が高い高価格帯ゾーンの拡充のほか、デリバリーやテイクアウトなどの中食需要に対応する業態の開拓を進める。
このほか、レストランやブライダルなどの事業を展開するひらまつ<2764>も、2026年4月以降にM&Aに乗り出す計画を中期経営計画で示した。当初2029年3月期からの実施を予定していたが、業績の回復を背景に実施時期を2年早めた。
これらの点を勘案すると、4月以降も外食・フードサービス業界のM&Aは、高水準で推移するとみてよさそうだ。
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文:M&A Online記者 松本亮一
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