
ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス(HD)<8179>が、5年ぶりにM&Aに踏み切った。
コロナ禍で200億円近い経常赤字を出すなど厳しい状況にあったが、2024年12月期に売り上げ、利益ともに過去最高を更新したことが後押しとなり、2025年2月にM&Aを積極化する方針を打ち出していた。
人流に依存しない食品物販事業を強化
ロイヤルHDは2025年8月5日に、おやつ定期宅配サービスの、たびスル(東京都世田谷区)を子会社化した。
たびスルは、介護施設・学童施設など向けに特化し、1日の一人当たりの予算や人数、利用日数に合わせて最適な、おやつを定期的に届けるサービスを展開している。
地域性の高い商品から定番商品まで幅広く取りそろえており、10万通り以上(1日一人当たり3品を提供の場合)のメニューを提案できるほか、1円単位の予算に対応できるなどの強みを持つ。
ロイヤルHDはコロナ禍で人流の減少によって業績が悪化した経験から、人流に依存しない事業として食品物販事業を戦略事業と位置付けており、この方針の一環として、たびスルの取得に踏み切った。
2000年代には10件近いM&Aを
ロイヤルHDは1951年に 機内食の搭載と喫茶営業を開始し、5年後の1956年にロイヤルを福岡市に設立したのが始まり。
1959年にファミリータイプのレストランの原点となる「ロイヤル新天町」を出店しファミリーレストラン事業を開始。1971年に郊外型ファミリーレストランロイヤルホスト1号店を出店し、業容を拡大していった。
現在は総売上高の40%ほどを占める「外食事業」のほかに、同30%ほどの空港、高速道路、オフィスビル、医療介護施設などでの受託飲食事業の「コントラクト事業」、同20%ほどのリッチモンドホテルの運営などの「ホテル事業」、同10%ほどの食品の製造、販売などを手がける「食品事業」で事業を構成している。
M&Aには積極的で、2000年に関西インフライトケイタリング(現 双日ロイヤルインフライトケイタリング)を子会社化したのを機に、2000年代に主なM&Aは10件近くに達した。
その後は案件が減少し、2018年のチャウダーズ(現 ロイヤルコントラクトサービス)の子会社化と、2020年のサービスエリア、パーキングエリア内の食堂や売店の運営事業の取得の2件に留まっていた。
好業績が追い風に
外食産業は、コロナ禍後の社会経済活動の正常化やインバウンド(訪日観光客)の消費拡大に伴い、回復の動きが見られる。
ロイヤルHDも外食の需要が底固く推移したほか、販売価格の上昇や新規出店などの効果が加わり、2024年12月期の売上高は1521億5000万円(前年度比9.5%増)、経常利益は73億1500万円(同38.9%増)といずれも過去最高を更新した。
2025年12月期は9.5%の増収、6.6%の経常増益と、2期連続の過去最高の更新を、さらに2027年12月期には売上高1875億円、経常利益100億円と右肩上がりの成長を見込んでいる。
こうした好業績を追い風にM&Aを積極的化する方針に転換。
この第一弾が、たびスルであり、今後も引き続きM&Aに踏み切る可能性は高い。
また、外食産業は、国内需要が回復する一方で、中長期的には国内人口の減少に伴う市場の縮小が見込まれている。
このためロイヤルHDでは、今後、海外事業を大幅に拡大する計画で、外食の直営店の出店やFC(フランチャイズ)展開などに取り組み、2024年12月期に3億円だった売上高を、2027年12月期には75億円に引き上げる。
この過程でM&Aの対象として海外企業も候補に上がってきそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一
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