
ストライク主催の『第41回 Conference of S venture Lab.』が2025年5月22日、東京都港区のTokyo Venture Capital Hubにて開催された。今回のテーマは「CVCがリードする、次世代ビジネスモデルの創造」。
CVC戦略のリアル:最前線で語られる成功と苦悩
トークセッションでは、まず山田氏がFIRST CVCの事業を紹介。CVCコミュニティの運営やコンサルティング、スタートアップとの事業連携支援など、多岐にわたる活動を展開している。山田氏は、大企業とスタートアップの連携による新たな価値創造に強い意欲を示し、エクイティに関する課題解決やオープンイノベーションの促進に注力していると語った。
CVCを取り巻く環境の変化
山田氏は、CVCを取り巻く環境について、2020年からの変化を指摘。当初はCVC同士が集まって課題を共有するニーズが高かったが、現在ではそのコミュニティが拡大し、様々な情報交換や連携が生まれているという。
内田氏は、TOPPANホールディングスにおけるCVCの取り組みについて説明。2016年からベンチャー投資を開始し、当初は新規事業創出を主な目的としていたものの、時間が経つにつれて既存事業の補完型に近づく傾向があったと語った。しかし、現在は再び新規事業創出に軸足を移し、社内の動き方を再構築しているという。
シナジーか、それとも新規性か?CVCのジレンマ
舩津氏からの「既存事業の補完的な協業先を見つけるか、全く違う収益源を狙うか」という質問に対し、内田氏は「既存事業の方が投資しやすい」と回答。事業部との連携や投資委員会の承認を得やすい点がその理由だ。しかし、一方で「CVCで完結して動けるように制度上はなっている」と述べ、新規事業への挑戦も可能であることを強調した。
山田氏は、様々なCVCの事例を紹介し、「490社あれば490通りの正解がある」と指摘。財務リターンを重視するCVCもあれば、事業シナジーを追求するCVCもあり、それぞれの目的に応じた戦略が必要だと語った。
CVC成功の鍵:戦略リターンの可視化
CVCの成果をどのように測るべきかという議論では、内田氏が「財務リターンは続けるために必須」と強調。その上で、戦略リターンの重要性を指摘し、人材育成、本業との補完関係、新規事業、営業など、様々な側面から戦略リターンを評価する必要があると述べた。
山田氏は、CVCの評価について、「事業会社なので、事業として、PLとしてどうやって成長できたのかを説明していく必要がある」と語った。そのために、自社のニーズに合致したスタートアップを効率的にソーシングする仕組みが重要だと指摘し、FIRST CVCが提供するAIを活用したスタートアップデータベースを紹介した。
M&AはCVCの出口戦略か?
話題は、CVCにおけるM&Aの可能性について展開された。内田氏は、TOPPANホールディングスにおいて、マイノリティ出資からマジョリティのM&Aに至った事例を紹介。静岡大学発のブルックマンテクノロジをM&Aした経緯を説明し、「当初からM&Aは目線にあった」と語った。
山田氏は、最近M&Aの検討が増えていると指摘。セカンダリーの検討や市況の問題などが背景にあると分析し、「やった方がいい」と述べた。
CVCとM&A部門の連携
CVCとM&A部門の連携について、内田氏は「CVCだけで新規事業創出は難しい」と指摘。M&A部門との連携が不可欠であるとの認識を示した。
山田氏は、「CVCという言葉が大きすぎる」と指摘し、CVCの目的や役割が多様化している現状を説明。それぞれのCVCが何を達成したいのかというゴールから始めるべきだと語った。
変わるもの、変わらないもの:CVCとスタートアップの未来
最後に、市況の変化を踏まえ、事業会社とスタートアップの関係がどう変わっていくべきかという議論が行われた。
内田氏は、「スタートアップの売り上げを作りに行くところを一生懸命最初にやりまくる」ことが重要だと強調。そのためには、大企業のノウハウを活用し、スタートアップのプロダクトやサービスを自分たちの現場で販売・サポートする必要があると述べた。
山田氏は、「営業支援して売上を上げられるなら、M&Aした方がいい」と述べ、M&Aを前提とした事業連携の重要性を指摘。そのために、自社のニーズに合致したスタートアップを効率的に探せる仕組みが必要だと語った。

ピッチイベント
第二部では、以下のスタートアップ3社によるピッチが行われた。
- 株式会社Essen CSO 本間 夏貴 氏
- 株式会社THEATER GUILD 常務取締役 曽我 健 氏
- 株式会社チカク 代表取締役 梶原 健司 氏
各社は自社のビジネスモデルや強みをアピールし、参加者との連携を模索した。
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