ストライク<6196>は3月5日、SAKURA DEEPTECH SHIBUYA(東京都渋谷区)でスタートアップと事業会社の提携促進を目的としたイベント「第54回 S venture Lab.」を開催した。第1部では株式投資型クラウドファンディングのパイオニアとして知られるFUNDINNOが上場直後のリアルな舞台裏と次世代資金調達戦略を語った。
「金融の常識を打ち破った」──28歳で証券会社を設立したFUNDINNOの原点
第1部トークセッションは、FUNDINNO代表取締役COO・大浦学氏と、モデレーターのABAKAM代表取締役・松本直人氏の対話形式で進められた。
FUNDINNOは2015年に設立された、株式投資型クラウドファンディングのプラットフォーム企業だ。同社の事業は金融商品取引法(金商法)に基づく証券会社登録を前提とするため、参入障壁は高い。大浦氏は当時を振り返り、「証券会社登録もそんなに大変じゃないだろうと思って3ヶ月ぐらいでいけると思ったんですが、全然足りなくて。調達と業許可で2015年から2017年まで準備だけで2年ぐらいかかりました」と話す。
金融に精通した人材が参入を避けた背景には、当時の規制があった。2015年の金商法改正によりインターネット上でのベンチャー投資が解禁されたが、資金調達額は年間1億円未満、投資家1人あたり50万円までという厳しい総量規制が課されていた。「金融に詳しい人たちはビジネスモデル上なかなか儲からないとみて、誰も参入してこなかった。だからこそIT側から参入しようとしていた我々が第1号になった」(大浦氏)。
プラットフォームのニワトリ・タマゴ問題をどう突破したか
投資家と投資先の両方を同時に揃えなければ成立しないプラットフォームビジネスの宿命として、大浦氏は「常にどっちも足りないという状態でした」と率直に語る。
案件獲得の難しさは特に初期に顕著だった。「この仕組みで資金調達すると上場できないんじゃないか、次のVCから調達できないんじゃないかというネガティブな意見が非常に多く、最初の1件が成立してからも次の案件まで2ヶ月ほど空いたこともありました」(大浦氏)。
その後、同社は法律改正に向けたロビー活動を粘り強く続け、特定投資家(一定以上の資産を持つ富裕層や法人)向けにJ-Ships(特定投資家向け銘柄制度)を活用した大型ファイナンス支援が可能となった。1億円の総量規制が実質的に緩和されたことで、数億円から数十億円規模の調達支援が実現。「今は1件あたりの平均調達額が10億円前後になっていて、従来の平均3,000万円から見ると20~30倍の収益規模になっています」(大浦氏)。GMVベースではJ-Shipsを活用したミドルステージ・レイターステージ向けが、従来のクラウドファンディングの5倍以上の規模になっているという。
ディープテックのIPOが示した「株主数が多くても上場できる」という実績
FUNDINNOを通じて資金調達したイノバセル<504A>がIPOを果たしたことは、業界に大きなインパクトを与えた。大浦氏はこの実績を「上場後の株価形成を意識して、上場前段階から富裕層の個人投資家を仲間に入れていくという戦略がうまくマッチした」と分析する。
上場後に株価が右肩下がりになる傾向への処方箋として、大浦氏が強調するのが「上場前からの株主とのコミュニティ形成」だ。時価総額300億円以下の銘柄には機関投資家が流動性の問題から入りにくい。そのため、長期保有してくれる個人富裕層を上場前に囲い込んでおく意義は大きい。「上場後は株主名簿に住所と名前しか来ないので、メールアドレスも電話番号もわかりません。上場前から関係を作れていることは経営者にとって大きなメリットです」(大浦氏)。
また、株主数の多さが上場審査で問題視されるという懸念に対しても、「我々の場合は個人投資家を資本政策の中に積極的に入れて、仲間を増やすという考え方でやってきました。実際に上場の審査で株主数は論点になりませんでした」(大浦氏)と述べ、実績でその懸念を払拭した。
松本氏も「多様なスタートアップを生み出すには多様な投資家が必要で、そういった多様な投資家を作るプラットフォームを作られているFUNDINNOさんに共感して投資させていただきました」と語り、エコシステム全体への期待を示した。
セカンダリーマーケットの整備が日本のスタートアップエコシステムを左右する
スタートアップへの年間投資総額は、国が掲げた「5か年計画(0.8兆円→10兆円)」の目標に反して2024年には約7,800億円と減少に転じている。大浦氏は「IPO社数も例年100社前後のところが60社程度に減少しており、上場までの期間が長期化している。これがセカンダリーニーズの拡大につながっています」と現状を分析する。
FUNDINNOは現在、株主コミュニティ制度を活用したセカンダリーマーケットの整備にも取り組んでいる。ただし現状の規制では勧誘人数が49名以下に制限されるため、大型案件への対応には限界もある。大浦氏は「最も現実的な流動化の仕組みとして、VCの新規ラウンドが組まれるタイミングでその株価を基準に既存株主が売買できるようにする。IPO一点に依存するのではなく、年1回程度の流動化機会があるだけでもスタートアップエコシステムは大きく変わる」との展望を示した。
上場後の成長戦略としてのM&Aについては、「PLを買いに行くロールアップ型ではなく、GMVの拡大に直接貢献するもの──スタートアップ側の案件獲得機能の強化や、投資家側の口座開設につながるものを考えています」(大浦氏)と語り、事業の本質的な成長に資するM&Aを重視する姿勢を示した。
第2部では2社のスタートアップピッチを実施
Ultra-High Purity代表取締役・横山元浩氏は、バナジウム合金による超高純度水素精製モジュールの開発製造販売について。オーガンテック取締役CTO・小川美帆氏は、器官再生技術を核に、歯科・皮膚・毛髪領域で次世代医療の社会実装を推進する事業モデルについて説明した。
スタートアップエコシステムの「次の10年」へ──多様な投資家と流動性の拡充が鍵
トークセッション全体を通じて浮かび上がったのは、日本のスタートアップエコシステムが抱える「流動性不足」という構造的課題だ。
大浦氏は「フェアに挑戦できる世界を作るというのが我々のビジョンです。ITやAIを活用することで、多様な人たちがベンチャー・スタートアップを投資だけでなく多様な形で支えていける仕組みを作っていきたい。日本がこの30年で作れなかった新しい産業を生み出すために、注力領域に合った資金が入る流れを作ることはまだまだ可能だと思っています」と力を込めた。
次回の「S venture Lab.」は4月13日(月)開催予定。「創業139年ヤマハのオープン・イノベーションの加速」をテーマに、ヤマハの新規事業開発の最新動向を紹介する。

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