日本を代表するスポーツカンパニーへの飛躍を目指す「スポーツフィールド」その道筋は

体育会学生やアスリート(競技者)ら向け就職・転職支援サイト「スポナビ」を運営するスポーツフィールド<7080>は、2027年12月期に100億円の売り上げを目指し、このうち半分近い45億円をM&Aで積み上げる。

同社は「日本を代表するスポーツカンパニーへの飛躍」を目標に掲げており、この目標達成に向けてM&Aの手法を活用し、スポーツビジネスや主要事業の価値向上が見込める企業に積極的に投資することにした。

ビジネスで通用する力を獲得

同社はスポーツを通じて身に付けた能力や魅力があるものの、スポーツ以外の進路が見出せない人たちを対象に、個別の面談を複数回実施し、ビジネスで通用する力を付ける自己成長を支援し、企業が求める人材を供給している。

これまでに築き上げてきた全国の体育会部活動や企業とのネットワークが同社の強みで、現在は総売り上げの半分近くを占める新卒者向けイベント事業や、総売り上げの30%弱の新卒者向け人財紹介事業、同既卒者向け人財紹介事業を展開している。

同社では全国の大学生1学年の人数は65万人で、そのうちスポーツ人財(スポ―ツに打ち込んだ経験を通じて社会や企業が求める高い価値を持つ人たち)は1学年に15万~30万人、体育会学生は1学年に5万人と推計しており、同社のサービスであるスポナビの登録者数が1万8000人ほどのため、成長の余地は大きいと見る。

さらに転職者数は年間300万人強で、このうち同社のサービスの対象となる若年層(25歳~34歳)が76万人なのに対し、同社の転職サービスの登録者数は1万6000人ほどのため、スポナビ同様成長の余地は大きく「日本を代表するスポーツカンパニーへの飛躍」が可能と判断した。

スポーツビジネスやシナジーが見込める企業が対象

目標達成のために計画しているM&Aでは、スポーツビジネスや現事業とのシナジーが見込める領域の中で、利益創出ができている事業や、高い確度で赤字からの回復が見込める事業、さらにスポーツ業界での事業承継課題の解決につながる案件などに的を絞り検討を進める。

2027年12月期までの3年間にM&Aや新規事業に20億円を投じる計画で、M&A後も買収企業の経営者には引き続き経営に関わってもらうとしている。

これまでに同社が適時開示したM&Aは、2020年のスポーツ用品製造販売のスポーツマリオが運営する求人メディアサイト「スポジョバ」事業を取得した1件に留まる。

事業を取得した当時の「スポジョバ」の累計会員数は1万人に満たなかったが、2024年12月期には8万人を突破したほか、スポジョバに関連したビジネスが、既卒者向け人財紹介事業の売り上げを押し上げるなどの成果が現れている。

上積み45億円分のM&Aとは

人材派遣や人材紹介などの人材サービス業界は、人手不足を背景に市場の拡大が予想されており、矢野経済研究所が2025年5月に発表した国内の新卒採用支援サービス市場調査によると、新卒採用支援サービスに対する企業からのニーズは高く、同市場は拡大していく見込みという。

また人材サービス大手のパソナが2025年7月18日に発表した転職市場レポートによると、転職市場は求人数、求職者数とも高止まりを続けており、求人倍率は高い数値を保っているという。

人材サービス業界のM&Aについては、適時開示情報の直近の企業買収案件を見ると、大手のリクルートホールディングス<6098>が2019年に、求人広告自動最適化プラットフォーム「ClickIQ」を運営する英国のBlackstone Pointを子会社化。

同じく大手のパーソルホールディングス<2181>は2024年に、ITサポート・コンタクトセンター運用などの富士通コミュニケーションサービスを、パソナホールディングス<2168>も2021年に、法務分野に特化した人材サービスを手がけるMore-Selectionsを子会社化している。

スポーツフィールドの2024年12月期の売上高は38億4500円(前年度比12.5%増)で、2027年12月期にはオーガニック成長(内部の経営資源を活用した成長)で55億円(2024年12月期比43.0%増)を見込む。

これにM&Aで45億円を上積みし、100億円を目指すことになる。

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
M&A速報、コラムを日々配信!
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ