マグネシウムやアルミの合金部品の「STG」年間1件以上のM&Aを実施 

自動車やカメラ向けなどにマグネシウムやアルミニウムの合金部品を供給するSTG<5858>は、今後年間1件以上のM&Aを実施する。

軽量化につながるマグネシウムやアルミなどの部品を採用する製品が、長期的に増加すると見て、事業の成長スピードを高めるため、M&Aを成長戦略の核に据える方針を掲げた。

この方針に沿って2028年3月期の経営計画数値を上方修正し、売上高、利益ともに3分の1をM&Aによって積み上げる計画だ。

精密機器、医療機器、ドローンも対象に

STGは2025年9月に、マレーシアのアルミダイカスト(金属を高圧で金型に射出する鋳造方法)部品メーカーE-Cast Industriesを子会社化した。

米中貿易摩擦などにより生産拠点を中国からASEAN(東南アジア諸国連合)に移転させる動きを背景に、日系、欧州系メーカーからの受注拡大が見込めることから買収に踏み切った。

このE-Castの子会社化を機に、継続して年間1件以上のM&Aを実施することで、事業成長を一気に加速することにした。

今後のM&Aでは、新たな顧客や製品、技術などの獲得に加え、生産効率の向上を目指す。

まずはアルミダイカスト事業の成長余地が大きいと見られるマレーシアを中心に、ASEAN域内での事業承継などによる売り案件の取り込みを進める。

同社によると、マグネシウム合金部品やアルミニウム合金部品は、自動車やカメラで需要が根強いのをはじめ、プリンターやプロジェクターなどの精密機器や、医療機器、ドローンなどでも活用が見られるという。

このためこうした分野で、顧客、製品、技術などの獲得につながる企業が有力な候補となる。

さらに、日本国内では、M&Aの対象をダイカスト事業に限定せず、金属加工事業者としての事業領域の拡大や生産能力の拡大などを目指して、買収先企業を選定するとしている。

M&Aで売り上げ、利益の3分の1を確保

STGでは、E-Castの子会社化によって業績が大きく変動する見込みのため、2025年11月13日に2026年3月期の業績予想を修正。

売上高を2億4000万円多い68億円(前年度比5.8%増)に引き上げる一方、営業利益は2億5000万円少ない3億2000万円(同34.0%減)に引き下げた。

E-Castの子会社化で増収となるものの、M&A関連費用が発生したことや、トランプ関税の影響なども考慮した結果、営業減益は避けられないと判断した。

同時に2028年3月期の売上高目標を20億円多い120億円(2025年3月期比86.7%増)に引き上げた。このうち3分の1に当たる40億円はM&Aで積み上げる。

当初M&Aによる創出額は20億円としていたが、E-Castを子会社化したのに加え、今後は最低年1件のM&Aの実施を計画しているため20億円多い40億円に高めた。

また営業利益は4億円多い12億円(同2.47倍)に引き上げた。このうち4億円はM&Aによって創出する。

当初はM&Aによる寄与は予定していなかったが、E-Castで2億5000万円、その後のM&Aで1億5000万円の営業増益を見込む。

マグネシウムやアルミの合金部品の「STG」年間1件以上のM&Aを実施 
STGの業績推移

マグネシウムの成形・加工に強み

STGは1975年にアルミニウム表面加工などを目的に創業し、1982年に有限会社の三輝ブラストを設立。2015年に社名を現在のSTGに変更した。

E-Cast以前のM&Aは、2011年のマグネシウム専業メーカーTOSEIの子会社化(2015年に吸収合併)と、2021年のマレーシアのアルミダイカスト製品メーカーSTX PRECISIONの子会社化の2件がある。

マグネシウムは軽量化に優れる半面、加工が難しい。STGはマグネシウムの成形・加工技術に強みを持っており、現在、マグネシウム合金部品の売上高が全体の40%ほどを占める。

E-Castを子会社化してまだ2カ月ほどだが、同社の高い技術力や市場の成長性を踏まえると、年間1件以上の目標を掲げるM&A方針のもと、次の案件も近いうちに実現する可能性が高いと見てよさそうだ。

マグネシウムやアルミの合金部品の「STG」年間1件以上のM&Aを実施 
STGの沿革と主なM&A

文:M&A Online記者 松本亮一

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