住宅大手の住友林業<1911>は2026年4~6月に、全米13州で戸建て住宅事業を展開する米国住宅建設業界15位のTri Pointe Homes(トライ・ポイント・ホームズ、カリフォルニア州、2024年12月期の売上高は約6874億円)を買収する。
これによって住友林業グループの戸建て住宅の年間供給戸数は1万8000戸規模となり、全米5位に躍進する見通しだ。
米国では、住宅価格やローン金利が高止まりし住宅着工は低迷が続いているものの、中長期的には堅調な需要が見込まれており、日本の他の大手住宅建設会社も米国事業の拡大に動いている。
今後、米国市場を巡る日本勢の競争は激しさを増しそうだ。
M&Aで全米5位に浮上
住友林業は2030年に米国で年間住宅供給戸数2万3000戸を目指しており、今回のトライ・ポイント・ホームズの子会社化はその拡大計画の一環となる。
米国戸建て住宅事業はグループ全体の経常利益の約60%を占める主力分野であり、2030年に向け、さらなるM&Aの可能性は高い。
トライ・ポイント・ホームズは、住友林業の未進出エリアであるカリフォルニア州やネバダ州を含む全米13州で事業を展開し、2024年は6460戸を販売した。
高付加価値と好立地を重視した差別化戦略を採り、土地の仕入れから建築、販売、住宅ローン、保険まで幅広く手がける体制を構築している。
住友林業は2003年に米国戸建て住宅事業に参入し、ワシントン州で事業を開始した。
2013年にBloomfield Homes(ブルームフィールド・ホームズ)を買収してテキサス州に進出し、2014年にGehan Homes(ゲーハン・ホームズ)を取得してテキサス州での展開を加速。
2016年にはDRB Group(ディーアールビー・グループ)を買収し、メリーランド州を含む東海岸6州に事業を広げた。
2017年にはEdge Homes(エッジ・ホームズ)を取得しユタ州に進出したほか、2023年にはSIH(エス・アイ・エイチ)を買収しフロリダ州にも足場を築くなど、M&Aを通じて事業エリアを拡大してきた。
資材面の強化にも取り組み、2022年にFITP(トラスや床・壁パネルの設計、製造、配送、施工までを一貫提供するFully Integrated Turn-key Provider事業)に参入。
2023年にはノースカロライナ州に、壁パネル・トラスの製造工場を設け、FITP事業を加速している。
この間、年間販売戸数は2013年の516戸から2025年には1万262戸に拡大した。
今回の買収により、グループ全体の戸建て住宅の年間供給戸数は1万8000戸規模となり、全米順位も従来の9位から5位に上昇する見通しだ。
米国住宅市場、金利高で着工低迷も需給は逼迫
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2026年2月3日に公表した米国景気概況によると、米国経済は堅調に推移し、2025年7~9月期の実質GDP成長率は前年同期比年率4.4%と2年ぶりの水準となった。
そうした中、住宅分野では2025年10月の住宅着工件数が年率125万戸(現着工ペースが1年続いた場合の換算値)と、およそ5年半ぶりの低水準に落ち込んだ。
住宅価格やローン金利の高止まりが背景で、同社は「住宅着工はなおしばらく低迷が続く公算が大きい」と指摘する。
一方で、2025年11月の住宅価格指数は、前年同期比1.4%上昇し、30カ月連続の上昇となった。
同社では「米国では住宅の供給不足が根強く、住宅価格は今後も上昇が続く見込み」と分析する。
住友林業は、住宅価格の高騰や住宅ローン金利の高止まりに加え、関税政策によるインフレ再燃懸念や雇用・景気の先行き不安を背景に、消費者心理が弱含み、住宅購入の先送り傾向が続いていると分析する。
一方で、米国ではリーマンショック後の供給減少の影響が残り、なお400万~600万戸の住宅不足が続いているのに加え、ミレニアル世代やZ世代といった厚い購買層を抱えており、構造的には底堅い需要が見込まれるとみる。
国内着工減の中で成長軸を海外に
こうした中長期の需要見込みを踏まえ、他の大手住宅建設会社も米国事業の拡大を進めている。
積水ハウス<1928>は2024年に、戸建て住宅事業を展開する米国のM.D.C. Holdings(エム・ディー・シー・ホールディングス、コロラド州、2022年12月期の売上高8450億円)を子会社化した。
同社は当時、M.D.C.の子会社化により米国での事業展開エリアを16州に拡大するとともに、2022年度の引渡戸数ベースで全米5位に相当する年間1万5000戸規模のグループを形成すると説明していた。
積水ハウスは2017年にWoodside Homes Company(ウッドサイド・ホームズ・カンパニー)を子会社化し、米国の戸建て住宅事業に本格進出した。
その後、2021年にHolt Homes Group(ホルト・ホームズ・グループ)、2022年にChesmar Homes(チェスマー・ホームズ)を子会社化し、ユタ州やカリフォルニア州など7州に販売エリアを広げた。
2023 年にはウッドサイド・ホームズがアイダホ州で事業を展開するHubble Group(ハブル・グループ)の事業と関連する土地資産を取得した。
M.D.C.買収時に、未進出エリアへの展開手法として新たなM&Aの機会を模索していたとしており、今後も追加のM&Aを検討する余地は大きい。
大和ハウス工業<1925>は、2017年に東部を拠点とするStanley Martin(スタンレー・マーチン)、2020年に西海岸で戸建て住宅事業を展開するTrumark(トゥルーマーク)、2021年に南部を拠点とするCastleRock(キャッスルロック)を子会社化した。
スタンレー・マーチンは、2018年にフロントドア、2020年にEssex Homes(エセックスホームズ)、2021年にAVEX Homes(エイベックス・ホームズ)の戸建て住宅事業を譲受した。
このほかトゥルーマークは2023年にWathen Castanos Homes(ワーセン・カスタノス・ホームズ)を子会社化し、キャッスルロックも2024年にThe Jones Company(ジョーンズ・カンパニー)の戸建て住宅事業を譲り受けた。
これらの取得を通じて東部、南部、西部での事業拡大を進め、2025年3月期の米国内の販売戸数は7095戸となった。
同社は米国のほかオーストラリアでも戸建て住宅事業を展開しており、同分野の海外売上高比率は56%(2025年3月期)と、国内を上回る水準に達している。
直近では2025年4月に、飯田グループホールディングス<3291>が米国の住宅事業会社Patrick MalloyGroup(パトリック・マロイ・グループ)の事業会社PMCO Holdings(ピーエムシーオー・ホールディングス、ジョージア州)を子会社化した。
パトリック・マロイ・グループは、ジョージア州アトランタを拠点に、55歳以上のシニア層向け住宅開発に注力している。
年間販売戸数は公表していないが、2024年12月期の売上高は1億1700万ドル(当時のレートで約175億円)だった。
飯田グループホールディングスは、米国経済は今後も安定成長が期待できるとし、アトランタ都市圏は他州からの転入や人口増加を背景に住宅需要が見込める市場と位置付ける。
今回の子会社化を足がかりに米国住宅業界に本格参入し、他エリアへの進出も視野に入れる考えだ。
国土交通省が2026年1月に公表した建築着工統計調査報告によると、2025年の新設住宅着工戸数は約74万戸(前年度比6.5%減)で、3年連続の減少となった。
国内市場が縮小する中、住宅大手各社が米国市場での事業拡大方針を見直す兆しは現時点では見られない。
海外を成長の主戦場とする流れは当面続きそうだ。
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文:M&A Online記者 松本亮一
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