
M&A Onlineが大量保有データベースで2025年4月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、フジテレビなどを傘下に置くフジ・メディア・ホールディングスの株式を、旧村上ファンド系のレノが2025年4月3日(報告義務発生日は2025年3月27日)に5.19%を新規保有したあと、5度買い増し4月10日(同4月3日)に保有割合を11.81%に高めたことが分かった。
保有目的は経営陣への助言や重要提案行為など
フジ・メディア・ホールディングスは、元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発した問題で経営が揺らいでおり、2025年4月30日に「フジテレビの再生・改革に向けた8つの具体的強化策及び進捗状況」を発表。
この中で「編成・制作がキャスティングをする側、アナウンサーがされる側、という従属的な関係性が問題を生んだと認識し、アナウンス室を編成・制作部門から独立させる」としている。
合わせて代表取締役社長の金光修氏が2025年6月開催予定の株主総会で退任することを決めた。
レノはフジ・メディア・ホールディングス株の保有目的を「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。
またレノが4月10日に提出した大量保有報告書によると、取得した株式のうち、村上ファンドを率いていた村上世彰氏の長女の野村絢氏が、取得株の4分の3ほどに当たる8.91%分を保有しており、レノの保有割合は0.0001%以下に留まっている。
このほかテレビ関連では、日本テレビホールディングス株を、読売テレビ放送が3.44%買い増し保有割合を9.93%としたほか、米国の資産運用会社のキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが1.08%買い増し、保有割合を9.34%とした。
またテレビ朝日ホールディングス株を朝日新聞社が5.23%売却し保有割合を19.49%とするなどの動きがあった。
一方、旧村上ファンド系の動きとしては、南青山不動産がヨロズ株を1.02%買い増し、保有割合を13.7%に高めたほか、三井住友建設株についても、0.83%買い増し保有割合を27.8%とした。
日本郵便、トナミホールディングス株を81.16%保有
4月はこのほかに、ラーメン店「京都北白川ラーメン魁力屋」を展開する魁力屋の創業者で、社長の藤田宗氏の魁力屋株の保有割合が2.85%下がり65.83%となったほか、中華食堂日高屋を運営するハイデイ日高の創業者で代表取締役会長の神田正氏が、ハイデイ日高株を3.8%売却し保有割合を18.19%に引き下げた。
また日本郵政の子会社の日本郵便が100%出資し2025年1月に設立したJWTが、物流事業を手がけるトナミホールディングスの株式の81.16%を保有した。
幹線輸送ネットワークやロジスティクス事業、海外を含むフォワーディング事業の強化を狙いに、JWTが実施していたTOB(株式公開買い付け)が2025年4月10日に終了したことによるもので、トナミホールディングス株についてはTOB終了後に明治安田生命保険が7.12%を売却し、保有割合をゼロとしている。
2025年4月の大量保有報告などの提出件数は1231件で、このうち保有割合を増やしたのは405件、新規保有は211件、保有割合を減らしたのは542件、契約の変更などは73件だった。
文:M&A Online記者 松本亮一
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