半導体装置販売・修理の「TMH」保守需要拡大を追い風にホワイトスペースM&Aを推進

半導体装置の中古販売や部品・修理サービスを手がけるTMH<280A>は、ホワイトスペースM&A(自社の事業ポートフォリオにおける空白領域を埋める企業買収)と代理店ビジネスを成⻑ドライバーとし、2030年代に売上高を現在の10倍以上の1000億円に引き上げる。

半導体の需要拡大に伴って、半導体製造装置の保守需要も伸びるとみられることから、事業拡大に踏み切る。

M&Aによって、半導体装置の販売・修理を中心とする現在の事業から、半導体工場を総合的に支援する企業への進化を目指す。

フィールドサービスからインテグレーターへ

半導体市場は、生成AI(人工知能)関連の需要拡大を背景に、データセンターやスマートフォンなどを中心に高性能な最先端半導体への需要が高まっている。

このため国内では、官民の協力による半導体の微細化技術の開発など、最先端工場への投資が進んでいる。

一方、旧型半導体は、IoT(モノのインターネット)製品や自動車関連などを中心に、パワー半導体やセンサーなどの需要が伸びている。

これらの需要を支えるために、20年以上前に投資された半導体製造装置が現役で稼働しており、同社では旧型半導体製造装置の保守を、最先端半導体の開発と同様に重要なテーマと位置付ける。

世界の半導体市場は、AI需要に関連した投資が牽引し、2025年に116兆円だった市場規模が、2050年には750兆円まで成⻑する可能性がある。

同社はこれに伴い半導体製造装置市場も順調に拡⼤するとみており、半導体装置の中古販売や部品・修理サービスの市場は、2025年の4兆7000億円から2050年には23兆5000億円に拡大するとみる。

この市場拡大を背景に事業の拡張を進める中で、成長ドライバーとしてホワイトスペースM&Aを積極化する。

M&Aの実施に関しては、候補先の絞り込み段階から内製化し、ソーシング(買収候補の発掘)から、プレディール(買収交渉やデューデリジェンスなどの案件検討)以降も自社主導で進める体制を構築する。

すでに、案件の検討から実行、統合まで各段階を担当する専門チーム(ソーシング、財務・法務デューデリジェンス、PMI推進)を整備している。

ソーシングチームは経営企画室を中⼼とし、定期的に選定候補を評価・検討する。

財務・法務デューデリジェンスチームは、投資リターン、投資⾦額の適切性評価、財務健全性評価を、PMI推進チームは、最終ターゲット決定と統合プロセスをそれぞれ行う。

M&Aの候補領域として、材料供給、ファシリティ(電力やガス、空調など半導体工場の設備インフラ)、⼯事、⼈材(教育・研修)、ソフトウエア(SIer)、メーカー機能(部品・エンジニアリング)などを挙げている。

これら領域の企業を傘下に収めて事業の空白領域を埋めることで、現在の半導体装置の販売・修理などを手がけるフィールドサービス企業から、将来は半導体工場を総合的に支援する「半導体製造インテグレーターへ進化する」としている。

2030年代に売上高1000億円に

TMHは、東芝出身の榎並大輔氏が2012年に大分市で、半導体製造装置部品の修理や販売を行う会社として設立した。

2018年に半導体製造装置や同装置部品に特化した越境EC(電子商取引)サイトを立ち上げたほか、2024年には半導体人材に特化した採用プラットフォームを稼働するなど事業を拡大してきた。

この間に培ってきた同社の強みは、エンジニアリング⼒とプラットフォーム⼒にある。

エンジニアリング分野は、半導体製造装置の解体や搬出、設置に加え、生産性改善の提案まで行っており、売上高の86%を占める。

一方、プラットフォーム分野では、EC(電子商取引)などのプラットフォームを活用した部品販売や修理サービスを行っており、売上高の14%を占める。

半導体装置販売・修理の「TMH」保守需要拡大を追い風にホワイトスペースM&Aを推進
TMHの売上高構成比

成長ドライバーとしてM&Aとともに注力する代理店ビジネスは、⼤⼿半導体装置メーカーの代理店となり、装置販売の仲介を行うとともに「各装置メーカーの国内での顔の役割を果たす」としている。

すでに韓国装置メーカーと国内での独占代理店契約を結んでおり、具体的な引き合いもあるという。

M&Aや代理店ビジネスなどの取り組みで、2028年11月期には、売上高182億9100万円(2025年11月期比2.12倍)、営業利益17億6700万円(同4.97倍)を目指す。

さらに2030年代のいずれかの時期に、売上高1000億円、営業利益150億円の達成を目標に掲げる。

M&Aや代理店ビジネスを軸に事業領域を広げ、半導体市場の拡大を取り込みながら成長を加速させる考えだ。

同社の沿革によると、これまでにM&Aの実績はない。

初のM&Aが実現する可能性が高まっている。

半導体装置販売・修理の「TMH」保守需要拡大を追い風にホワイトスペースM&Aを推進
TMHの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A速報、コラムを日々配信!】
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ