医療・福祉サービス大手の「トーカイ」 介護用品レンタル事業でシェア倍増を狙う

医療・福祉サービス大手のトーカイ<9729>は、介護用品レンタルを中核とするシルバー事業の拡充を成長戦略の柱に据える。

高齢者人口の増加を背景に在宅介護サービスの需要は拡大が続く一方、全国に7000社超の事業者が存在し、市場シェアは分散している。

同社は今後、業界再編が進むとみて、M&Aを積極的に活用し、各地域でのシェア拡大を加速する方針だ。

こうした取り組みで、現在約5%にとどまる業界シェアを2035年までに10%に高め、トップランナーの地位を狙う。

高齢化を追い風に投資を加速

日本の年齢構成を見ると、65歳以上の人口は2043年まで、75歳以上の人口は2055年まで増加が続く見通しで、これに伴い在宅介護サービスの需要は中長期的に拡大すると見込まれている。

一方、介護用品レンタル事業者は、地域密着型の中小事業者を中心に全国に7000社超が存在することから、同社は今後、市場再編が進む可能性が高く、M&Aなどを通じた成長機会は大きいと分析している。

この市場環境を踏まえ、同社は2026年3月期から2028年3月期までの3カ年を対象とする中期経営計画で、M&Aを成長戦略の中核に位置付けた。

シルバー事業などの成長をけん引する分野に3年間で100億円を投資する方針だ。

2022年3月期から2025年3月期までの4年間の前中期経営計画期間では、シルバー事業を中心に総額99億円のM&A投資を実行した。

主な案件としては、リハビリデイサービスやドラッグストア事業を展開するmik japan(投資額24億円)や、介護用品レンタル事業で長野県トップシェアを誇る介護センター花岡(同48億円)の子会社化が挙げられる。

このほかにも介護用品レンタル事業を中心に15件、27億円の投資を行っており、今後3年間ではこれを上回る投資規模を見込む。

同社は医療・福祉分野で培ってきた事業基盤に、積極的なM&Aを成長エンジンとすることで、業界再編局面で存在感を強化。介護用品レンタル事業で業界シェアを現在の5%から2035年には10%に高め、日本一を目指す。

医療・福祉サービス大手の「トーカイ」 介護用品レンタル事業でシェア倍増を狙う
トーカイが2022年4月以降に適時開示したM&A

M&Aを成長エンジンに

トーカイは1955年に、建設現場の作業員宿舎に貸布団を提供する事業で創業し、その後1962年には病院用寝具のレンタルを始めた。

1968年にダストコントロール商品のレンタル事業を、1985年に清掃事業を、1987年に病院給食の業務受託をそれぞれ立ち上げた。

さらに1995年に調剤薬局事業を、1996年に介護用品のレンタル事業を本格的に展開するなど業容を拡大していった。

現在は、寝具・リネンサプライ事業、シルバー事業、給食事業、調剤薬局事業、リースキン事業(環境美化用品のレンタル)、清掃事業など、幅広いビジネスを展開する。

直近期では健康生活サービス(医療機関・介護福祉施設・宿泊施設など向け寝具リネンサプライ、介護用品のレンタル・販売、リハビリ特化型デイサービス、給食など)が、売上高の約51.5%と半分以上を占める。

このほか調剤サービス(調剤薬局、ドラッグストアなど)の38.9%、環境サービス(リースキン、清掃など)の9.6%で構成している。

医療・福祉サービス大手の「トーカイ」 介護用品レンタル事業でシェア倍増を狙う
トーカイの売上高構成比

シルバー事業の中核を担う介護用品レンタル事業では、これまでに築いてきたケアマネジャーとの信頼関係や医療機関とのネットワークを強みとする。

退院時の窓口と連携した営業体制に加え、自社の拠点網を生かしたスピーディーな商品提供体制も競争力の源泉となっている。

2025年3月期は、売上高1495億4200万円(前期比8.2%増)、営業利益82億500万円(同1.5%増)と、増収営業増益を確保した。2026年3月期も5.6%の増収、0.1%の営業増益を見込む。

さらに2035年3月期には、売上高2500億円、営業利益160億円という長期目標を掲げる。

この成長目標を実現するには、介護分野を中心としたM&Aをいかに戦略的に積み上げられるかが鍵を握る。

医療・福祉サービス大手の「トーカイ」 介護用品レンタル事業でシェア倍増を狙う
トーカイの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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