AI(人工知能)によるソリューション(課題解決)を提供するトリプルアイズ<5026>は、製造業向けに現場の機械に直接搭載するAIを共同開発する「エッジAI」事業を拡大する。
エッジAIは、機械などの端末(エッジ)側でAI処理を行うため、クラウド(データセンター)経由に比べ、高速、安全、安定した処理が可能になる。
同社はこの取り組みを加速させるため、M&Aを積極化する方針だ。
医療やアミューズメントなどが対象
エッジAIは、自動車では自動運転用のカメラやセンサーの情報処理、監視カメラでは不審行動の検知、製造現場では不良品の判定などで導入が進む。
物流でもロボットにエッジAIを搭載し、倉庫内の作業を効率化、省人化する取り組みなどが増えてきた。
同社は2024年に、トヨタグループと接点を持つBEXを子会社化し、AIを使った次世代の自動車の設計、開発、製造に取り組む体制を整備。
今後は、自動車分野に加え、医療やアミューズメントなどのAIの導入が進んでいない業界を中心に、AI実装の領域を広げていく。
こうした業界で、高い技術力や営業力を持つ企業を傘下に収めることで、実現を目指す。
M&A戦略では、買収価格の指標となるEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)倍率を4~5倍に抑えながら、AI周辺事業領域をはじめエンジニアが意欲的に働ける技術志向の領域を中心に企業を探索する方針を掲げている。
今後この戦略に沿って、製造業でのM&Aを積極化する。
2028年に国内エッジAI市場は3兆円近くに
トリプルアイズは2008年に、東京都内でITシステムの提供を目的に設立。2019年にAI画像認識プラットフォーム・AIZE(アイズ)の提供を始めた。
現在はAIソリューション事業とGPU(画像処理装置)サーバー事業の二つで事業を構成する。
AIソリューション事業は、AI・システム開発や、顔・画像認識AIを搭載した製品開発、自動車設計などから成り、売上高の約80%を占める。
GPUサーバー事業は、2023年に子会社化したゼロフィールドが担っており、AI向けGPUサーバーや、データセンターの提供などを手がけ、売上高の約20%を占めている。
同社によると、国内のAI市場は2029年に約4兆1000億円、世界のAI市場は2030年に約8260億ドル(約130兆円)規模にまで成長すると予想。また国内エッジAIの市場は、2028年に2025年比44%増の2兆6000億円に達すると見る。
同社は開発力、設計力、実装力に長けたエンジニアを抱えるほか、AIを実装するための基盤であるAIプラットフォームや、AIの学習や画像処理などを得意とするGPUサーバーを保有する。
こうした強みを背景に、事業領域の拡大を進める構えだ。
2025年8月期はAIソリューション事業が大幅な増収増益となったものの、GPUサーバー事業が振るわなかった。
このため売上高は57億1400万円(前年度比29.6%増)と増収になったが、営業損益は2期ぶりに 6100万円の赤字(前年度は3800万円の黒字)を余儀なくされた。
2026年8月期はAIソリューション事業が順調に推移するとともに、国際財務報告基準(IFRS)適用による、のれんに関する処理変更などによって営業利益の改善が見込まれるため、売上高58億3700万円、営業利益8100万円を予想する。
文:M&A Online記者 松本亮一
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