「U-NEXT HOLDINGS」財務戦略を転換 安定から拡大へ

動画や音楽の配信を手がけるU-NEXT HOLDINGS<9418>は、外部資金を活用した成長戦略に転換する。

これまでは安定化を重視した財務戦略を採ってきたが「財務規律を維持した拡大」に舵を切る。

今後5年間(2026年8月期~2030年8月期)、事業で創出した資金で150億円の成長投資枠を設け、合わせて外部から1000億円以上の資金を調達し、M&Aや新規事業創出、新サービス開発に充てる。

成長投資枠を7倍以上に

U-NEXT HOLDINGSは、2016年以降の10年間は年に1件ほどのペースでM&Aを実施してきた。

主力の音楽や動画事業の拡充を目的にした案件は数件にとどまっており、多くは新しい事業や新しいサービスにつながる案件だった。

2020年に譲り受けたアニメ放題は、アニメ専門のコンテンツ配信サービスを展開する事業で、2021年に譲り受けたinntoは、宿泊予約管理システムに関する事業だ。

さらに2022年に子会社化したバーチャルレストラン、2023年に子会社化したToremoroは、いずれもフードデリバリー関連のサービスを手がける。

2024年にはキャッシュレス決済サービスのネットムーブ、2025年には電力小売業の、くこくエネルギーをそれぞれ子会社化した。

今後のM&Aに関して、具体的な領域や規模などは明らかにしていないが、過去のM&Aの動向を見ると、アニメやフードデリバリー、キャッシュレス、エネルギーなどが候補となりそう。

M&Aなどへの成長投資の額は、過去4年間(2022年8月期~2025年8月期)は、162億円にとどまったが、今後5年間の投資枠は7倍以上の1150億円以上としており、M&Aの件数、規模とも大幅に増加することが予想される。

「U-NEXT HOLDINGS」財務戦略を転換 安定から拡大へ
U-NEXT HOLDINGSが2016年以降に適時開示した主なM&A

計画を上回る成果狙う

U-NEXT HOLDINGSは1964年に大阪で、大阪有線放送社として創業し、店舗向け音楽配信を始めた。

2001年に光ファイバー・ブロードバンドサービスに、2016年には電力小売り事業に参入。

2017年に映像配信サービスなどを手がけるU-NEXTと、音楽配信サービスなどを手がけるUSENが経営統合し、持ち株会社のUSEN-NEXT HOLDINGS(現 U-NEXT HOLDINGS)を設立した。

現在はコンテンツ配信事業(売上高構成比約32%、映像配信サービス「U-NEXT」など)と、店舗・施設ソリューション事業(同約24%、店舗向け音楽配信、自動精算機など)で売り上げの半分強を構成。

このほかに通信・エネルギー事業(同約41%、クラウドサービス、再生可能エネルギーなど)と、金融・不動産・グローバル事業(同約3%、リース、不動産仲介など)を手がけている。

「U-NEXT HOLDINGS」財務戦略を転換 安定から拡大へ
U-NEXT HOLDINGSの事業セグメント別 売上高構成比

映像・音楽コンテンツや、サービス創出力、ネットワークインフラ、安定した顧客基盤などを統合することで生まれるシナジーが強みで、2025年8月期は売上高3904億800万円(前年度比19.5%増)、営業利益315億7100万円(同8.5%増)の増収営業増益を達成。

2026年8月期も8.6%の増収、6.1%の営業増益を予想しており、2018年に決算期を12月から8月に変更して以来8期連続の増収営業増益を見込む。

2030年8月期には、売上高6000億~6450億円、営業利益450億~515億円を計画しているが、M&Aなどの成長投資で、非連続な成長を実現し、計画を上回る成果を狙うとしている。

5年後の着地点はどのあたりになるだろうか。

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U-NEXT HOLDINGSの業績推移

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文:M&A Online記者 松本亮一

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